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31話:移動中


 チョップスティックと合流した俺たちは、これまでの流れを一通り説明した。


「へえー……麻薬の密売組織を潰すとか、なかなか面白そうなことをやってるじゃねえか。それにしても……こいつらも随分強くなったみたいだな」


 グランは『楽園』のことよりも、エリスたちのレベルが上がったことの方が気になるようだ。

 チョップスティックのメンバーも『グラスコーの迷宮』を完全攻略して全員30レベルを超えた。

 だけどそれ以上にエリスたちのレベルアップのペースが速いから、チョップスティックのメンバーのレベルを追い抜いていた。


「こうなるとさっさとその魔族の貴族をぶち殺して、俺たちも『バレアレスの大迷宮』に行かねえとな」


「そうすっよ、アレク。エリスたちばかり贔屓するのは駄目っす。私たちのレベルアップにも付き合って貰うっすよ」


 そう言いながら盗賊のシーラがニヤニヤしている。


「でも私としては、ソフィアの態度の方が気になるっす……アレク、なにをやらかしたっすか?」


 カタルナの冒険者ギルドで、俺たちは食事をしながらテーブルを囲んでいるんだけど。

 何故かソフィアが、ずっとジト目で俺を見ている。


「いや、別に何もしてないから。ソフィアは俺とエリスのことを何か勘違いしてるみたいだけど、俺は仲間として腹を割って話しただけだよ」


 エリスには俺がこの世界でしてきたことを全部話したけど。

 ソフィアにも話した方が良いかは、少し迷っている。

 いや、ソフィアを信用していないとかじゃなくて。

 天然のソフィアに話したら、ややこしいことになるんじゃないかって思っているだけだ。


 他のみんなにも俺が魔王だってカミングアウトしようと思ったけど。


『そうね……今すぐみんなに話す必要はないと思うわ。アレクは隠し事をしていることが後ろめたいみたいだけど、全部受け止めるのはなかなか難しいから。

 アレクはみんなのことを想って動いているし、みんなも貴方を信頼している。

 魔王に転生したのは貴方のせいじゃないから、それで良いじゃない』


 エリスに話したら、こんな風に言われた。

 俺が魔王ってだけで、特にレイナとガルドとの関係は壊れるだろう。

 それも覚悟の上で正直に話すべきだと思ったけど、確かに俺は魔王に転生しただけで魔族の立場で行動している訳じゃない。


 それに俺がカミングアウトすると、エリスに迷惑を掛けることになるからな。

 俺がレイナとガルドと対立したら、板挟みになるのはエリスだ。


「ふーん……腹を割って話をしただけね。つまりエリスと仲良くなったってことよね?  だったらソフィアが気になるのも仕方ないんじゃない?」


 神官のメアが口を挟んで来る。


「いや、だから変な誤解はするなよ……レイナ、どうしたんだ?」


 メアたちと話をしていたら、レイナが憮然とした顔で俺を見ていた。


「別に……あんたとエリスが腹を割って話したって、私は初耳なんだけど」


「ああ、言ってなかったかもな。でも大した話じゃないだろ」


「……そう言われると、なんかムカつくわね」


 レイナの態度に、シーラとメアがニヤニヤしながら小声で話してる。


「これって……新たなライバル出現すね」


「ソフィアも苦労するわね」


 いや、全部聞こえてるから。


※ ※ ※ ※


 勝手に盛り上がっているシーラとメアは放置して、俺たちは魔族の領域に乗り込む準備をする。

 陸路は険しい山岳地帯で阻まれているし、国境を越えて迂回しないと魔族の領域に辿り着けないから。ウルキア公国から向かうなら、船を使うのが手っ取り早い。


 ということで帆船をチャーターする。

 みんな船は初めてだったけど、船員を雇う必要はない。

 俺は操船スキルもMAXだからな。


 大きさは50人くらい乗れる奴で、食糧や水など必要な物資を積み込んで出発。

 途中で魔族の船に遭遇したり、海洋性のモンスターに襲われたけど撃退した。


 戦闘中以外は、ソフィアがいつも俺の傍にいるのはちょっと気になったけど。

 余計なことを言うとシーラとメアがうるさいから、ソフィアとも普通に話をするだけだ。


 船で移動しているから暇なのか、レイナが手合わせしてくれと言って来たから付き合ったら、ソフィアが自分もと参戦して来た。

 結局ガルドやグランまで参加して、船の上でも退屈しなかった。


「みんな、楽しそうね」


 エリスは参加せずに、優しげに微笑んでいるだけだったけど。

 俺とエリスが話をしていると、毎回ソフィアやレイナがやって来て。


「アレク、もう1回私に付き合ってよ」


「あんた暇そうだから、模擬戦するわよ」


 何故か2人とは、10回以上模擬戦をすることになった。

 いや、俺とレベル差があるから模擬戦をするだけで経験値が入るし、プレイヤースキルも上がるから良いんだけどさ。


 さすがに海から直接ロドニア伯爵の城に乗り込むと、配下の魔族の海軍に迎撃されるから、城から離れた場所に上陸した。

 ちなみに城の位置を知っているのはゲーム知識じゃない。過去に紛争が起きたときにウルキア公国軍が情報を掴んでいて、その情報を教えて貰ったからだ。


 対岸に上陸すると、今度は陸路を移動する。

 人数が増えたから、風の馬(ウインドホース)に馬車を引かせる。

 だけど馬車だとスピードが少し落ちるからな。

 今度タイミングを見て、移動用モンスターを追加でテイムしてくるか。


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