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清子の人生 名前
清子とかいて「せいこ」とよぶ。
実は本当の名前は清「せい」だったが
昭和生まれなのが災いしたのか
学生時代は「きよし」と
まずは男子の名に読み間違えられ
「せいです」と訂正する、煩わしい流れが
当たり前になっていた。
自由が許される場面では、
勝手に後ろに「子」の字をつけた。
そうすると、性別間違えはほとんど
なくなったのだ。
美しい母に似て
みずみずしい肌に黒目が大きく
品のいい鼻筋。
清子は美しい娘だった。
だが、世の常のように
美人だから幸せであったかというと
悔しいことに、最初の半生は
そうでなかったと思う。
怒りに充ちた、苦しい思いをしてきた。