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おまけ <スミレ2237-PA>

スミレ2237-PAは、警察用に開発されたメイトギアである。


コンポーネントの大半はアリシアシリーズと共通ながら、警察で運用されることを前提とした設計がなされ、一般のユーザーからは区別はつかないものの、その機能は特殊な部分が多い。


その一番が、


『警察のサーバーと常時リンク状態にある』


というものだろう。この時代のメイトギア及びレイバーギアは基本的に完全なスタンドアロン(独立自律)機であり、ネットワークにアクセスはできてもそれは、


『人間が端末を見ている』


状態が機体内で再現されているだけであって、決して<オンライン>ではないのだ。つまり、人間が見ている端末がウイルスに侵されたとしても人間には関係ないように、ウイルスに侵されたHPなどを参照してもロボットには影響は出ないようになっている。これは、ネットワークを介してのクラッキング(ハッキング)を阻止する点で強力に役立っていた。


対して、スミレ2237-PAは、一般のネットワークに対しては他のメイトギアやレイバーギアと同じ方式ではありつつ、警察内部に設置されたサーバーとは常時オンラインとなっていて、スミレ2237-PAが得た情報は遅滞なく警察内部のサーバー機も記録されるようになっている。


ただ、これは同時に、スミレ2237-PAがクラッキングを受けると警察内部のサーバーにも侵入される可能性も秘めているため、警察側は、内部のサーバーを、<メインフレーム>(メインのホストコンピュータ)とは物理的に切り離し、メイトギアやレイバーギアがネットワークを参照するのと同じ方式で、サーバーとメインフレームとでデータのやり取りを行っているのだった。


そういう特殊なシステム下で運用するために、専用の設計が必要だったというのもある。


が、それ自体、システムに詳しくない人間からすればまったく分からないことなので、


「てへへ、スミレ2237-PAちゃんも悪くないな~。制服姿が、イイ!!」


などと呟きながら、公園のベンチに座って、街角に立つ女性警官の制服をまとったスミレ2237-PAに熱い視線を向けるような者もいたりする。


「お兄ちゃん! またそんな目でロボット見てる! いい加減キモいよ! そんなだから人間の女性に相手にされないんだよ!」


「うわっ! ゆかり!? なんでここに!?」


ベンチに座ってスミレ2237-PAに熱い視線を向けていた男性が、飛び上がらんばかりに驚いて声を上げた。その視線の先には、高校の制服に身を包んだ、ショートボブ黒髪を艶やかに揺らす少女の姿。


「なんでも何も、学校の帰りだよ! そしたらお兄ちゃんが完全に変質者の目でロボット見てるんだから、みっともなくてほっとけなかったの!」


「いいじゃんかよ~! 個人の自由だろ!」


「はあ……こんなのが市民を守る<戦術自衛軍>の隊員だってんだから、情けない……」


男性は、<戦術自衛軍>所属の、岩丸英資(いわまるえいし)三等陸曹。少女は妹の岩丸ゆかりだった。


「とにかく、いくら非番だからって変態面晒してないで! 私が恥ずかしいんだからね!」


「うるせ~! 俺にとってメイトギアは人生のすべてなんだ! お前には関係ない!」


「人生のすべて…って、仕事は!?」


そんな風に言い合う二人の音声も、スミレ2237-PAは捉えていた。人間同士のトラブルが近くで発生した場合にはすぐさま対処する必要があるからである。場合によっては記録を取り、証拠として保全もする。


が、今回は、声の調子からも深刻なトラブルではないこともすぐに察せられたので、記録はしてないが。


それもあり、スミレ2237-PAは、ただ静かに人間達を見守っていたのだった。



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