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大家の女性、鍵を開ける

目的の部屋は、二階の一番奥だった。ナニーニは、ためらうことなくその部屋の方へと歩いて行く。本当にアリシア達を招いているかのように。


そして、目的の部屋のドアの前に座り、


「んあ~っ!」


とまた一声上げる。


すると、大家の女性が、


「はいはい、分かった分かった。今開けるよ。窓を塞いだら途端にこれかい。よっぽどあの兄ちゃんが気に入ってたってことかねえ……」


アリシア達や刑事達を追い抜きつつブツブツと言いながら鍵を開けてドアを開いた瞬間、ナニーニがその隙間から部屋へと入り込む。


「二年分の家賃は前払いされてたからね。部屋は使ってた時のまんまだよ。窓の猫用の出入り口が開いてたから閉めた以外は触ってない」


やはり顔を逸らしたまま不機嫌そうにそう言った女性に、


「ありがとうございます。おじゃまします」


刑事達は言いながら部屋へと入っていく。


そこは、畳敷きの六畳のリビングとフローリングの約三畳のダイニングのみの単身者用の部屋だった。指名手配されている住人が住んでいた時のままだとは言うが、部屋の中はベッドとチェストと冷蔵庫という、ロクに生活感もない殺風景なそれである。


ただ、ベッドだけは、着ていたものが脱ぎ散らかされた状態で置かれ、なるほど人が暮らしていたのだという印象を抱かせる。


そしてナニーニは、ベッドに上って体を丸め、寛ぎ始めた。


実に慣れた様子だ。


「千堂さん。アリシアに確認してもらっていいですか?」


刑事の一人が、廊下で待機していた千堂に声を掛ける。


「分かりました。アリシア、頼む」


そう言ってアリシアを伴い、部屋に入ると、


「はい。間違いありません。九八.七パーセント過去のデータと一致。彼の、<ジョン・牧紫栗(まきしぐり)>の匂いであるとみて問題ないと考えます」


アリシアが部屋の匂いを嗅いでそう告げた。


「分かりました。ありがとうございます」


刑事達が真剣な表情で部屋を見渡しながら応える。


その時、刑事の一人の端末に着信が。


「応援、現着とのことです。現在、店の前で待機中」


「よし。スミレとあと一人を寄越すように伝えてくれ。他はそのまま待機」


「了解」


刑事達がやり取りすると、


「おじゃまいたします」


警官の制服を着た若い女性を伴って、男性刑事が部屋に入ってくる。


『こんにちは。スミレ2237-PA(ポリス・アシスタント)』


『こんにちは。アリシア2234-HHC』


アリシアが<警官の制服を着た若い女性>と、人間には聞こえない挨拶を交わす。それは、JAPAN-2(ジャパンセカンド)が製造する、警察専用のメイトギアだった。コンポーネントの大部分はアリシアシリーズと共通ではあるものの、警察での運用を前提に設計されたモデルである。



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