表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

神林家から初めての登校

 翌朝。三人とご飯を食べて学校に登校する。


「なんで制服ばらばらなんだよ?」

「それは三つ子である事を秘密にする為です」

「成る程……」


 それは良いとして……、


「ここから僕の学校まで結構あるんだけど!」


 ネットで調べたら7kmほどあった。


「あぁ、成る程。これは遠いですね」

「そうなんだよ……。毎日タクシーじゃあ出費が幾らあっても……」

「分かりました。ではこうしましょう」

「え?」


 彼女達はいつも車で高校に行くらしく、僕は三人の中で一番僕の高校に近い高校に通う誰かの車で送ってもらうことになった。その誰かというのが……。

 怒りん坊とかよ……! そして今僕達は後部座席に座っている。彼女は窓際に向いて表情は見えないが機嫌が悪い気がする。僕はあまり彼女を怒らせない様にと思い、目線を僕側の窓際に向けた。そうしていると、


「あのさっ」

「?」

「あんた、学校生活どうなの?」

「え? それってどういう……?」

「楽しい?」

「え……いや別に?」


 なんだ? あの怒りん坊が普通に話しかけてくる。


「ふーん、そっ」

「……」

「学校じゃあ友達いるんでしょ?」

「え? あんまりいない……かな」

「……ふーん」


(な、何なんだろうか?)


「なんで友達いないの? 作る気ないの?」

「えと、陰キャだから……?」


 とまあこんな感じの質問を淡々と学校に着くまで彼女はしてきた。そして彼女の方が先に学校に着いたので車から降りて、


「前田さん。じゃあ彼を送り届けてね」


(へぇ、優しい所あるんだ……)

 そして僕はその方にそのまま学校へ送ってもらったが、途中で降ろして貰うべきだった。黒塗りの高級車を校門前に着けて僕が降りたもんだから、周りはがやがやした。数少ない友達の一人である山本に色々訊かれる。


「どうしたんだ吉野。あの車は!? え、まさか遂に芸能関係者になったのか?」

「うーん、近からず遠からずと言ったところか?」

「そうなのか?」


 彼とは小さい時からの仲で僕の家庭の事情を知っている。


「学校始まって以来の出来事じゃないのか?」

「そ、そうかな?」

「気をつけろよ。あれ見てお前に興味を持った人間はいると思うぞ」

「お、おう。バレないように気を付ける」


 はぁ、やらかしたなーっ。これは秘密事項だから学校の男子にバレたら大変だ。そしたら昼休み昼食を終え一人で勉強をしていると、3人ほどの女子から急に友達申請を受けた。(まぁ、普通に承認したけど)

 そしてついにやにやしながら神林家に送迎され帰宅すると、


「それはお金目当てですね」


 一刀両断に勉強を教えているてんこつ下に小さな髪の団子を作っている末妹に言われた。


「え、そうなん?」

「はい。間違いないかと」

「あらあら、残念ねーっ」


 そして一緒の机で勉強しながら長女はにやにやする。

(女怖い……)

 ところで……、


「ところであいつは?」

「郁乃ですか?」

「あ、そうそう、あの……」

「怒りん坊?」


 ポニーテイルの長女はにやにやしながら言う。


「え? あ、まあ」

「仕事です」

「あ、そうなんだ」

「今日はバラエティーだから」

「ん?」

「バラエティーは私と郁乃が担当なんです」

「あ、そうなんだ」

「はい」

「そして私がドラマと映画担当で郁乃がドラマとバラエティー担当」

「そして私が映画とバラエティー担当なんです」

「な、成る程。舞台は?」

「舞台はー、時間がまだ余裕があるうちの一人がしてる」

「へぇ」

「それより吉野君。ここ分からないんで教えて下さい」

「あ、あぁ」


 そして勉強が終わり僕は部屋に戻ると、彼女達が出演しているドラマやバラエティーを見ることにした。そして、しばらく経つとシチューの良い香りがしてくる。それから羽美の呼び出しが聞こえ、三人でご飯を食べた。そしてふと思った。


「つまり昨日は三人がたまたま休みだったんだな」

「はい。そうですね」

「じゃあ大体一人欠けてるんだ」

「夕方以降は大体そうだねーっ」

「そっかぁ、大変だな」

「それより吉野君。シチュー少し作り過ぎたのでどんどん食べて下さいね」

「あ、ありがとう」


 そしてご飯を食べ終わる頃に郁乃が戻って来た。


「疲れたーっ」

「郁乃、お帰りなさい」

「今日は色んなクイズ出されて難しかったわー」

「そっかー、それより郁乃聞いてよ。吉野っちがさーっ……ごにょごにょ」


 そして彼女は何を聞いたか目を細めて、キモッと言った。えと、何の話でしょー?


「お腹すいたでしょ。シチュー出来てますからどうぞ」

「羽美、ありがとう」


 そして彼女はシチューを食べた。三人を見ているとなんか彼女達の仲の良い雰囲気が伝わって来て微笑ましかった。そして僕は部屋に戻り自分の勉強をする。勉強が一段落着いたので風呂に入ろうと思いドアに向かうと足下がくしゃっと鳴り見るとまたしても紙があった。

『別の女の後ろなんか追ったら許さないんだからね! 神林美優』

(えーーー、そんなこと言われてもっ)

最後まで読んで頂きありがとうございます。

ブックマーク、評価頂ければ励みになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ