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「本当に?」真っ暗な闇の中で叶を見て、祈は言う。

「本当に。すごく緊張している。さっきから心臓がすごくどきどきしている」叶は言う。(叶は真っ暗な闇の中で祈を見る。目には見えないけれど、でも確かに叶はその闇の中に祈の視線を感じている)

「……胸に耳を当ててもいい?」

「え?」

 叶は祈の言葉に一瞬、驚いたのだけど、それから直ぐに、「もちろん。いいよ」と優しい声で叶はいった。

「ありがとう」と祈は言う。

 それから祈は自分の耳を叶の胸に当ててみた。

 すると確かに叶の心臓はどきどきと、普通の状態よりもずっと速く鼓動をしていた。

「本当だ。すごくどきどきしている」と嬉しそうな声で祈は言った。

 二人で一緒に、(まるで真っ暗や夜や強い雨から、二人で一緒に逃げるようにして)同じ叶のベットの中にもぐりこんでから、さっきまでの真っ暗な闇の中で泣いていた祈とは全然違って、祈はすごく安心しているようだった。


 それが叶は本当に、……本当に嬉しかった。


 祈が安心してくれるのなら、泣き止んでくれるのなら(真っ暗で顔は見えないけど、きっと祈はもう泣いていないと叶は思った)それ以上の自分の幸せはないと思った。

 もちろん、叶自身も、こうして、祈が隣にいてくれると、すごく安心することができた。

 それも、もちろん嬉しかったのだけど、でも、それ以上に、祈が無事(そう。無事だ。祈はきっと、僕と同じように、ううん。あるいは『それ以上に危険な場所に今、たった一人で立っているのに違いない』と思った)でいてくれることがなりよりも、嬉しかった。

 こうして一緒に眠ることで、ずっと近くにいることで、祈がすごく安心できるなら、あるいは、祈を僕が守ることができるのなら、『祈を救うことができるのだとしたら』、それ以上の安らぎや幸せなはいと思ったのだ。


「……叶くん。今、なにを考えているの?」と真っ暗な闇の中で祈は言った。

「君のこと」と叶は真っ暗な闇の中で祈を見て、そう言った。

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