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「コーヒーでお願いしていいかな? あ、それから、コーヒーなんだけど、僕が淹れてもいいかな? 祈もコーヒーでいいなら、二人分」と叶は言った。

「もちろん。ありがとう」とにっこりと笑って祈は言った。

 叶がコーヒーにフィルタをセットして、銀色のポットに水を入れて、(だいたい、十分くらい)しばらくの間、待ってから、ゆで卵の入っている鍋をどかして、その空いたコンロの上で、お湯を沸かしているときに、祈は角砂糖を引き出しの中から取り出して、それをフォークやスプーンと一緒に、リビングのテーブルの上に持っていった。

 叶はそんな祈の後ろ姿を少しの間、目で追ってから、視線を戻して、お湯が沸騰するのを見ると、銀色のポットを持って、コーヒーを真剣に淹れた。

 コーヒーは、とてもいい匂いを出していた。

 手作りのカレーは、ちょうどいい具合にできあがった。煮込んだ時間はだいたいだけど、でも間違いなく一時間以上は煮込んでいるはずだ。いい感じにできたと思う。(もちろん、もっと煮込めば煮込むほど、美味しくなるのだけど、今はこれでいい。味も、火の通り具合もいい感じだ。上出来だった)

「いい匂い。すごく美味しそう!」

 カレーの匂いを嗅いで、叶の隣で、祈は言った。

 それから、祈は炊飯器の蓋を開けて、白いしゃもじで、大きな白いお皿の上に綺麗に半分だけ、ご飯を盛り付けた。

 その間、茹で上がったゆで卵の殻を剥いて、叶は包丁で、それを半分に切った。それをサラダの上とそれからカレーのお皿の上に、それぞれ、綺麗に盛り付けた。

 最後に、上手にできあがったカレーを鍋の中から、おたまですくって、半分だけご飯の乗っているお皿に綺麗に盛り付けた。

「よし。これで完成だね」と祈を見て、叶は言った。

「うん。できた。すごい!」と胸の前で両手を合わせて、祈は言った。

 そんな会話をしていると、二人とも、なんだか自然と笑顔になった。


 二人はできあがったカレー料理を持って、リビングのテーブルまで移動をした。そのあとで、サラダのお皿と、水の入った透明なコップと、それから、叶の淹れたコーヒーの入った白い陶器のカップを、テーブルの上に持って行った。

 食事の用意が整ったリビングのテーブルの上は、思っていた以上になかなか見事なものだった。もし、花があるのなら、そこに彩りとして綺麗な花を飾りたいな、と叶は思った。

 そこで、テーブルに向かい合うようにして座ると、二人は、一緒に「いただきます」をした。

「誰かと食事だなんて、本当に久しぶり。なんだか、すごく嬉しい」

 祈は本当に嬉しそうな笑顔でそう言った。

「僕もそうかもしれない。すごく楽しい」と叶は言った。

 そんな叶の言葉(冗談)を聞いて、祈は声を出して笑った。それは、これからとても楽しい夕食の時間が始まることを、予感させてくれるような、そんな素敵な明るい笑顔と笑い声だった。

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