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 お湯から出る白い湯気で、小さなお風呂場の中は真っ白になっていた。

 叶は、本当はシャワーだけで済ませようかとも思ったのだけど、思ったよりも自分が疲れていることがわかったので、祈に申し訳ないと思いながら、お風呂の湯船に浸かることにした。

 温かいシャワーを出して、そこにおいている祈のシャンプーやリンスを使って、(それは木の香りのするものだった)叶は髪の毛を念入りに洗った。

 ……気持ちいい。

 あったかいシャワーは本当に気持ちよかった。

 生き返る、と叶は思った。

(ふと、鏡を見ると、叶の顔は思わず笑顔になっていた)

 それから真っ白なタオルに石鹸を泡立てて体を丁寧に洗った。汚れと一緒に、いろんなもやもやとした気持ちも、叶の心の中から落ちていくようだった。

 お風呂の湯船に浸かってから、叶は、少し早めにお風呂場を出て、バスタオルで体を拭くと、青色のスポーツバックの中に入っていた自分の着替えに、着替えをした。

 叶は、パジャマではなくて、部屋着のほうに着替えをする。

 それはやっぱり上下青色のジャージだった。(おそらく、それは自分の通っている高校のジャージだろうと叶は思った)


「お待たせ。お風呂ありがとう」

 そう言って、黒い髪をまだ少し濡らしたままにしている叶は、木のドアを開けて、祈の家のリビングに移動をした。

「あ、叶くん。もう出たんだ。遠慮しないで、もっとゆっくり入っていてもよかったのに」とばたばたとリビングの隣にある綺麗に片付いている物の少ないキッチンで、ダンボール箱のような荷物を持って、どたばたと移動をしていた祈は言った。

 叶はゆっくりとリビングの中を歩いて、キッチンのところまで移動をした。

「じゃあ、私も先にお風呂入っちゃうね。体が汚れたままで、本格的に料理はできないし、先に洗濯も一緒にしちゃう。叶くんの制服や下着は、お風呂場の中に私の洗濯物と一緒に、干しちゃってもいいよね?」

「うん。もちろん。どうもありがとう」叶は言う。

「どういたしまして」にっこりと笑って、祈は言う。

 祈はぱたぱたと足音を立てながら、叶と入れ替わるようにして、木のドアを開けて、お風呂場に移動をした。

 一人になった叶は、キッチンから祈の家のリビングの様子を、なんとなく観察した。

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