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「じゃあ、ボイラーのスイッチも入れたし、もうすぐ、お湯も出ると思うから、今からお風呂にお湯をためるね。ちょっと待っててよ」
と言って、叶の前で新しい服を着ている祈は、くるりと一回転をしてその服装を叶に見せたあとで、祈はガラスのドアを開けてお風呂場に入ると、そこにあった真っ白なバスタブに蛇口をひねって、お湯を張った。
「うん。あったかい」
白い湯気の出るお湯を手で触って、祈は言った。
「じゃあ、私は家の中で、晩御飯のカレーの準備とかしているから、お風呂から出たら、着替えをして、奥の部屋に入ってきてね。そこのドアからリビングに移動できるから。あと、これは体を洗うタオルと、体を拭くバスタオルはこれを使って。じゃあ、あとは大丈夫かな?」てきぱきと動きながら、祈は言う。
「うん。大丈夫だと思う。ありがとう」叶は言う。
「いいの。いいの。遠慮しないでね。あ、お風呂のあとで、すぐに私の洗濯物と一緒に、洗濯をしちゃうから、着替えはそこにある籠の中に入れておいてね」祈は言う。
「洗濯は自分でするよ。悪いから」叶は言う。
「そんなの全然いいよ。気にしないで」祈は言う。
それから祈は叶に反論する暇も与えず、「じゃあ、またあとでね。叶くん。このあと、私もお風呂に入るから、お風呂場はそのままにしておいていいよ」とにっこりと笑いながら言って、木のドアを開けて、そのまま奥の部屋に移動をした。
そんな祈を見て、叶は笑いながら、小さくため息をついた。
一人になった叶はそれから、土で汚れた制服や下着や靴下を脱いで裸になると、ガラスのドアを開けて、祈の家のお風呂場に移動をした。
洗濯機の横にある、麦で編まれた大きな洗濯籠の中には、祈がさっきまで着ていた土で汚れた白いパーカーと白いハーフズボンがまるで祈の抜け殻のように、脱ぎ捨てられて、入っていた。叶はその洗濯籠の中に、お風呂場に入る前に、祈に言われた通りに、自分の汚れた制服をちょっとだけ遠慮しながら順番に入れていった。
青色のブレザー。赤色のネクタイ。白いワイシャツ。……灰色のズボン。(それから、下着に、靴下)
それらを順番に叶は洗濯籠の中に入れていく。
(赤い紐と電源の切れた携帯電話は、スポーツバックの中に大切にしまった)
これから叶の土で汚れた制服は、叶の下着や靴下と一緒に、祈に洗濯をしてもらうことになるのだろうけど、それを思うとすごく祈に申し訳ないと叶は思った。本当は洗濯くらいは自分でしたかったのだけど、祈が一緒に洗濯をしてくれるようなので、とりあえず叶は、夕食の手伝いを頑張ることにした。
実は叶は料理の腕には、こう見えても、結構自信があった。(もちろん、カレーも、叶はかなり上手に手作りで作ることができた)




