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 叶は祈の次にその水道で手を洗った。

 水は、祈の言っていたように、本当に冷たくて、気持ちよかった。

 よく見ると、青色の先端に真っ白なノズルのついたホースが、その水浴び場には置いてあった。

 近くには、花壇があって、そこには綺麗な花が咲いていた。美しいピンク色と赤色の花だ。それから、その向こうに見えるのは、スイカだろうか? そんなものを育てているような小さな白い柵で囲まれた緑色の菜園があった。

「そのスイカ。私が育ててるんだよ。すごいでしょ?」

 叶の視線に気がついて、胸を貼って、自慢するようにして、祈は言った。

「うん。本当にすごい」と叶は言った。(叶は花を育てたり、植物を栽培したりしたことは、これまでの人生の中で一度もなかった。もちろん、記憶はないので、知識として、覚えている範囲でだけど……)


「さあ、入って」

 家の裏にある白いドアを開けながら、祈は言う。

「うん。お邪魔します」

 そう言って、叶は祈のあとについて、家の中に入っていった。

 裏口から靴を脱いで、家の中に入ると、そこはすぐにお風呂場になっていた。木の床に真っ白な壁をした、とても清潔感のある綺麗なお風呂場だった。白い洗濯機と丸い鏡の洗面台があって、その横には洗濯物を入れる麦で編まれた大きな籠があった。

「とりあえず、叶くんは先にお風呂に入っちゃっていいよ。その間に、その今着ている高校の制服は、私が洗濯しておいてあげる」と祈は言った。

「僕が先にお風呂に入ってしまってもいいの?」きょろきょろとお風呂場を見ながら、叶は言う。

「いいよ。もちろん。なんて言ったって、叶くんはお客様だからね」

 にっこりと笑って祈は言った。

「わかった。ありがとう。じゃあ、先に体を洗わせてもらうよ」と叶は言った。

「どうぞ。すぐにお風呂わかすから、ちょっと待っててね」と祈は言った。

 それから祈は「えっと、その前にちょっとだけ、簡単に着ている服を着替えさせてね」と叶に言って、叶に少しだけ家の外に出てもらうようにお願いをした。

 叶は「わかった」と言って、そのままさっき入ってきた白いドアから一旦、外に出て、祈の着替えを白いドアの前で待った。その間、叶は夏の太陽の輝く青色の空を眺めていた。(緑色の草原に吹いている風が、とても気持ちよかった)

「もういいよ」

 祈の声が聞こえる。

 叶が家の中に入ると、祈は土で汚れた真っ白なパーカーと真っ白なハーフパンツから、真っ白なゆっくりとした大きめのTシャツと青色のハーフズボンという格好に変わっていた。(足元には白いふわふわのスリッパを履いていた)顔も洗面台で軽く洗ったのか、土の汚れは落ちていた。

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