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アレスタとアル

ご感想、ブックマークありがとうございます。私事ですが、最近LiSAさんのライブに行かせて頂きまして。かなり楽しかったです。やっぱり、ライブは最高ですね。

では!!続きをどうぞ!!

小雨に打たれながらも、やっとファスタールが見えてきた。今ではもう見慣れた門と櫓だが、雨の中だと何故か威圧感が増している様に感じる。


最初は、黒パンを買うのが目的だったが、この天気では露店で売ってないだろう。仕方がないので、イフリタルの宿まで在庫があるか聞きに行かなければならない。


しかし、今黒パンを買っても荷物になるし雨で台無しになりかねないので、先に商業ギルドで依頼を見る事にした。


今日のファスタールは、雨のせいか静かで当然だが広場には子供達の姿は無く、花々が雨に打たれ揺れているだけ。


広場を抜けてギルド方面へ。やっと教会が見えてきた。商業ギルドまではあと少し。


(ふぅ。やっと着いた。少し休憩したい)


商業ギルドに入り緊張が緩んだのか、なんだか疲れが出てきた。

受付前にある休憩スペースのテーブルに座り一息つきながら周りを見ると、結構人がいて驚いた。


(雨の中の移動は色々大変だから、皆今日は様子見かな?)


商人の格好をしている人が数人いるから、多分そうだろう。ホロ付きの荷馬車でも、完璧に雨を防げるかと言うと無理があるし、雨で魔物の発見も遅れるからね。


掲示板に人が居なくなるのを待って少し。

スペースが出来たので、アルは依頼を見に行った。


[胃腸薬3個 銅貨6枚]


[急募!!火炎石2個 銀貨4枚]


[初級ポーション1個〜 銅貨5枚]


etc.........



(う〜ん、あんまりすぐ出来そうな依頼がないなぁ。やれて胃腸薬か。)



確か、必要なハーブはまだ庭にあったはず。問題は、浄化水か。あれは、新緑樹の雫と聖水を一定時間煮詰めると出来る。丁度、今日雨が降っているから明日森に行けば新緑樹の雫が手に入るだろう。


採取の行程も含めれば3日は掛かるが、仕方がない。


帰りに教会で聖水買わないといけないか。

なんか、お金稼ぐのに出費があるのって矛盾してるよなぁ。やっぱり、自分で採取出来たらお金も貯まるんだろうか?


素材と言えば


魔物の素材は、高く取引されるらしいが、、、。けれど、それは命の駆け引きに勝った対価としてもらえる物だ。

自分にも、戦闘職が1つあるけれど経験不足だしなぁ。

初心者が死ぬ事なんて、よくある事だし。クエストを受けるにしてもソロプレイなんて絶対やりたくない。かと言って、冒険者と一緒に行動なんて考えられない。

あんな自分勝手な奴等といたら、命がいくつあっても足りないだろ。



やっぱり、薬師が無難だなぁ。薬師になれば、薬効の上昇補正があるらしいしね。まぁ、自分のステータスなんて鑑定にお金掛かるから見たことないけど。



(さて、そろそろ受付も空いたし、クエストを受けて教会に行きますか)


クエストの内容が書かれた紙の右下にある、クエスト番号を受け付けに伝える。


補足だが、常時貼られているクエスト紙を乱暴に取ってしまうとギルドに怒られる。紙もタダではないのだ。流石商業ギルド。


冒険者ギルドのクエストは、一回限りの内容の物が多いので皆剥がす様に取るけれど、単純に冒険者が荒いだけだ。クエスト失敗したら作り直さないといけないのにね。

誰から聞いたか忘れたが、失敗料に紙代も含まれているらしい。本当かどうかは分からないけど。



ーーーーーーーーーーーーーー


ギルドを出たアルは、そのまま教会に寄り聖水を銅貨1枚で購入した後、宿屋通りへ向かって歩いていた。


「おーい!アルじゃねぇか!こんなとこで何してんだよ」


丁度、イフリタルが見えてきた時に誰かに呼び止められた。声の主を探してみたら、[白翼]と看板がある宿屋の二階窓からアレスタが手を振っていた。



白翼は、中級の宿屋だが一般の冒険者が泊まるには贅沢だろう。一泊銀貨8枚はするはずだ。

あいつらは3人パーティーだから、女2人部屋だとしても金貨1枚と銀貨6枚。


、、、、あいつら金持ちだったのか。



「おい!アル?どうした。せっかく会えたんだから飯でも食おうぜ!!そっち行くから待ってろよ」



アレスタは、こちらの返事も待たずに窓を閉めてしまった。正直言って、乗り気ではないが今日の予定は、後は黒パンを買うだけだしなぁ。



「待たせた!ミルとリリは、風呂入って寝るらしい。男2人だが許せよ!んじゃ、行こうぜ!!」


颯爽と歩き出そうとするアレスタに、アルは待ったをかける。


「いや、行こうぜ!!じゃねーよ。まだ、行くとは言ってないし、食事代なんて持ってきてない。(金が無いとは言いたくない)」


あん?と、不思議そうにこっちを向いたアレスタだったが、「しょうがねーな。今回は奢ってやる!ほら、行くぞ」と歩き出してしまった。


仕方がなく、後について行くが何処に行くつもりなんだろうか?酒場なんて、あまり得意じゃないんだが。


「アル、悪いが飯の前に魔道具屋に寄るぞ?ミルからの頼まれ物があってな」


「別に構わないけど、ここら辺に魔道具屋なんてあったか?記憶に無いんだけど」



長年ファスタールに来ているが、魔道具屋は露店街にある店しか知らない。こんな宿屋通りにあるとは思えないんだが。



「まぁ、そうだろうな。看板もねぇし、魔術師くらいしか用はねぇだろうからな。あそこの路地にあるんだぜ」



アレスタが指を指した路地は、なんとも不気味な感じがした。天気が悪いのもあって、闇が深くジメジメしてる気がして、鳥肌が立った。アルは、アレスタに襲われるんじゃないかと一瞬不安になったが、そんなアルを見て、アレスタは笑いながら「大丈夫だって!!まぁ、俺も最初に連れられて来た時はミルを疑ったがな」と、ズンズン路地を進んでいく。



路地に入って50mくらい歩いただろうか。暗闇にポゥッと灯りが見えたが、どうやらそこが目的地らしい。


店のドアの上にランタンがあり、店の前には

看板らしき物は何もない。アレスタが言うには、このランタンがあれば開店しているらしい。


扉を開けようとすると、ギィっと扉が擦れる音を出しながら口を開ける。



アルは、恐る恐る店内を見回し入って行く。

色とりどりの薬品が並んだ棚があり、少し埃っぽいが不思議と不快感は無い。


「おい、ババア居るか?客が来た・・・って危ねえ!」


ブォンと風切り音がしたと思ったら、アルの目の前を銀色の[何か]が通り過ぎて行き扉に突き立った。



「あっぶねぇな!!ババア!コラ!毎回毎回物騒なもん投げつけんじゃねぇよ!!」


「誰が!!ババアじゃ!ったく最近のガキャ目上を敬う事を知らん。何の用じゃ糞ガキ」



ヒヤリと頬を汗が伝う。扉には、台所にあるような三角形の包丁が突き刺さっている。

ゴクリと生唾を飲み、アルはアレスタと言い争っている人物を見た。



歳は30代くらいだろうか?セミロングの赤髪に鋭い目をしている。アレスタは彼女をババアと言っているが、どう見てもそんな歳ではない。



「ババアはババアだろうが!!妙な幻術使いやがって。そんな事より、ミルの奴からの依頼の品出来てんだろ?ほら、代金だ」



チャリンと硬貨の入った小袋をカウンターに置きアレスタが言う。



「はん、一丁前に催促かい?舐めんじゃないよ。とっくに出来てるさね。ほら!持ってきな」



ボンと煙が出たと思ったら、そこから一本の杖が現れた。一体どうなってるんだ?とアルが呆気にとられていると


「ん?なんだい。あんた今日は1人じゃなかったのかい。危うく包丁で1人消すとこだったよ。あんた、名は?」


カウンターに手をついて赤髪の女性に問われる。



「アル、、、アル・グラッゼです。えっと、貴方は」


「私はグロリアだ。グラッゼ、、?あんた、両親は商人かい」



「え、、えぇ。そうですが」



「ふーん。そうかい。いや、何でもないさね。気にしないでおくれ。そんなことよりアレスタ。この坊やを連れてきたって事は、腕が立つんだろう?」


「ん?いや、アルとは最近知り合ったんだよ。強いからどうかなんて分からん。なぜだ?」



「はぁ、、。アンタねぇ。最初にミルと来た時に言っといただろう?ここは誰でも入れる所じゃないんだよ」



グロリアが言うには、この店は所謂非公認の店らしい。扱う商品も危険かつ高価な品物が多く表立って商売出来ない物が多すぎるらしい。

だから、看板も出していないしこんな路地で商売しているのだそうだ。



本来、この店は魔術を扱う者以外は見つけられない様に出来ているのだそうだ。アルが路地で感じた不思議な違和感は、店を守る結界によるものらしい。



「知っちまった以上は仕方がない。坊や、此処の事は他言無用だよ?本来なら、この馬鹿が連れて来たんじゃなけりゃ、薬で記憶を消してやる所だがね」



「き、肝に命じておきます」



「よろしい。うむ、馬鹿が連れてきた割には素直な坊やじゃないか」



「うるせぇ!さっきから人を馬鹿だの何だの言いやがって!!アル!!もう用は済んだんだ、サッサと飲みに行くぞ」



杖を乱暴に回収したアレスタに手を引かれて店を出ようとする



「ちょっと待ちな!ほれ、坊や。アンタとは縁がありそうだ。これを店に来る時には持っといで。 なに、入店許可証みたいなもんさ。またおいで」



グロリアが投げた物をなんとかキャッチに成功したアルは、そのまま引き摺られるかのようにアレスタと食事に向かうのだった。




食事は、アルの思った通り居酒屋でアレスタはガブガブと酒を飲んでいた。アルはあまり酒には強くないので、果実水と野菜と肉のソテーなどを食べていた。



「ところでアルよぉ、お前もう成人してんのか?ババアの話で気になったんだが、職業は何になったんだ?」



ジョッキを持ち赤ら顔のアレスタが聞いてくる。



(器持ちだと教えるにはまだ信用出来ないし。適当に話を合わせて誤魔化すか)



「俺は、何処にでもいそうなサポート職だったよ。強くも何ともない」



「んだよ、そうなのか?サポートって事は、治癒師とか狩人とかか?」



「いや、そんな大層な職業じゃない。錬金術師だ」



ブッと酒を霧状に吹き出したアレスタが、まん丸な目で見てきた。



「錬金術師だぁ?おいおい、アルよぉ、お前、、、。なんだ、まぁその頑張れよ!!人生楽しくだ!!」



から笑いするアレスタを半目で睨みながら、やはり錬金術師は不遇職なのだと認識させられた。もっとも、アレスタにはそう言ったが教会で正式な刻印を済ませていないので、正確には錬金術師ではまだない。



「しかし、そうか。サポーターねぇ。アル、俺んとこのパーティにはサポーターがいなくてな。もし、冒険者ギルドに入ってんならフリーで俺達と組まないか?流石に、パーティには入れられないが素材集めくらいなら休憩中とかに出来るぜ?」



そうアレスタは聞いてきた。少しだけ一緒にいただけだが、此奴はきっとお人好しなんだろう。良い意味で冒険者らしくない奴だ。



「いや、せっかくの誘いだが俺はギルドには登録してないんだ。するつもりもない」



「登録しない?なんでだ?錬金術師なんて、素材集めに一番必死な職業だろうに。お前どうやって生活してんだよ」



グサッと心にくる一言を言いやがる。こちとら錬金術師じゃなくてもカツカツで生活してんだよ馬鹿野郎。



「ほっとけ。それより、そんなに飲んで大丈夫なのか?お前が言った通り金が無いんでね。1銅貨も出せねぇぞ」



先程の意趣返しといきたかったが、「心配すんなよ貧乏人。金ならあるさ」と、笑いながら言われた、正直殴りたい。



(チッ、アレスタの奴。しかし、冒険者はやっぱり稼ぎがいいみたいだな。そんなに稼げるもんなのか?)



「なぁ、アレスタ。随分と羽振りがいいみたいだが、冒険者ってそんなに稼げるもんなのか?一般人よりは稼げるかもしれないがどうなんだ?」



「ん〜?まぁ、一定以上のランクの奴らは儲けはいいんじゃないか?高ランクの魔物なんて宝石売ってる様なもんだしな。逆に、駆け出しなんかは出費の方が多くて赤字だらけだぞ?まぁ、経験を買ってると思って頑張るしかねぇんだけどな」



ゲラゲラと笑いだしたアレスタを見ながら、ソテーされた肉を頬張る。



なるほど、まぁ、考えれば当然の事か。初心者をいきなりパーティに誘っても金が掛かるだけで、メリットなんて無いも同然。プラス場慣れしてない奴の面倒も見ないといけない訳だ。



だから、初心者はソロでクエストを受けるしかない。その為の武器やら道具やらに金が掛かるって事だ。



(その出費をケチって死ぬ奴が多いんだけどね)



しかし、待てよ?先程考えた通り、初心者を連れて行くメリットは此奴らには無い。あっても、荷物持ちの手間が無くなるだけ。

俺は、実戦経験も無いし冒険者のクエストなんて受けた事もない。アレスタの言う通り、素材も集まるし何より経験を積める。

うーん、一考する価値はあるか?

って、考え方が冒険者寄りになってきてるな。此奴の影響か?完全に戦闘職の考え方だぞ、、、まったく。



アルは自分に呆れながらも、食事を続けながらアレスタと下らない話をしていた。



「ゲフ、、、飲み過ぎた。昼間っから飲む酒は美味いな!!なぁ、アル」



「いや、飲んでんのはアレスタだけだろう。でも、食事は美味かったな。本当に奢りだし、アレスタの事だから会計の時に金が無いといつ言うのかヒヤヒヤしたが」



「おい!」と、キレ気味にアレスタが言っているが知らん。そんな事より、先程の話をアレスタに聞かなければ



「なぁ、さっきフリーで組まないかって言っていたが、それは冒険者にならないと一緒には行けないのか?」



「ん?あぁ、クエストの話か。いや、一緒に行く分には問題はねぇ。だが、冒険者じゃないから報酬なんて出ねぇし、死んでもギルドは何もしちゃくれねぇぞ?遺族への形見の譲渡なんかも無しだ」



考えてみればそれは当然の事か。報酬が無いのは正直痛いが、知らない冒険者がいるギルドになんて出入りしたくもない。アレスタ達とだって、誘われなかったら一緒になんて考えもしなかっただろう。



「だけどよアル。せっかくクエスト受けるんならギルド登録は必須だぜ?冒険者にはランクがあるのは知ってるだろ」



「あぁ、聞いた事はあるけど。俺は商業ギルドに登録してるから身分証には困ってないからな」



商人にはランクなんてものは存在しない。全て口コミでの評価で判断される。だからこそ、商人の世界はシビアに出来ている。昨日の人気店が今日には閉店しているなんて事もあるくらい真っ黒い部分もあるのだ。



「ランクが上がれば、素材の買取価格も上がんだ。つまり、ギルドに貢献すりゃ、評価も上がるし生活も向上するって事だ。ギブアンドテイクってやつだな。お前がしようとしてんのは、せっかく成功した報酬をドブに捨ててるって事だぞ」



アレスタの言う通り、理解している。だが、俺はどうしても冒険者が好きになれない。人のトラウマはそう簡単には克服する事は出来ない。たとえ、それが損をする事になるとしても無理なものは無理なんだ。



「分かってるさ。それでも、俺は冒険者ギルドには登録しない。俺は、冒険者が大っ嫌いだからな」



少しの沈黙の後、そうかとアレスタが言う。アレスタも自分達冒険者が人々にあまり良い印象を持たれていない事は知っているんだろう。悲しそうな顔をしていた。



「なんだ、、、無理やり誘って悪かったな。」と、頭を掻きながらアレスタが言う。



「別に悪くはないさ。冒険者は嫌いだけど、だからって冒険者全員が悪い奴らじゃ無いしな。アレスタ達の事は嫌いじゃないから勘違いするなよ」



言っていて恥ずかしいが、本当の事だ。俺は、冒険者と上手く話せた事なんて無かったし、一緒に食事をするなんて考えもしなかったのに、アレスタとは気軽に話せるし、何より嫌な感じがしない。



小さい頃の事があってから、人の悪意には敏感になっている自分が話せると言う事は、少なくともアレスタには裏表が無いと思っていいだろう。



「そうか、、、。まぁ、なんだ。良かったよ。俺達も、3人でパーティを組んでいるが、言っちまえば知り合いなんてミルとリリくらいだ。冒険者じゃ無い知り合いなんて、店の定員くらいなもんだ」



「じゃあ、これが初めての冒険者じゃない知り合いだな」



そう言うと、そうだなと笑いながらアレスタは言った。


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