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僕だってチートがあれば苦労なんてしていない  作者: 結城慎二
戦わなければ生き残れない!
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開戦!

 街道は一本道でホルスの二頭立てキャラバンが通れる程度の道幅しかない。

 徴税に来てるくらいだからそれくらいは敵だって判っている。

 ……はず…………たぶん。

 だから行軍は二列か三列縦隊なはずだ。

 畑に出るまでは軍を展開できない。

 そこをまず飛び道具で狙い撃つ。

 先制攻撃だ。

 町からなだらかに下っている斜面はそれなりに見通すことができるので、戦闘が始まったのは見て取れた。

 弓より射程の短い投石兵の女性陣がまず街道の出口に一斉攻撃をする。

 次の投石準備をしている間に狙いを絞った弓兵八人がそれぞれの的を撃つ。

 しばらくはこれの繰り返しだ。

 敵の先頭がどの兵種だったか判らないけど、少し下がって弓兵を展開することになる。

 こちらの兵は準備万端畑に設置した置盾に隠れながらの投石・射撃なのに対して、相手側は不意を打たれて浮き足立っている。

 とはいえ、こちらは民兵であっちは正規兵と傭兵という戦闘のプロ。

 体制が整うと不利になる。

 特にこちらの主力は女性の投石兵だからね。

 弓兵の戦力差は二十対八。

 投石で相手にどれだけ損害を与えられていたかが気になるところだ。


「始まっておったか。どうじゃ、戦況は?」


 ラバナルがチャールズを連れてやってきた。


「始まったばかりだよ。まだなんともいえない」


「そうか」


鉄の(ストーン)弾丸バレットの威力はどうなった?」


「うむ。なかなかの威力になったぞ」


「ここから狙える?」


 ここから戦場までは一カル半ってとこだろうか?


「届きはするじゃろうが」


 威力はない、と。


「じゃあ、一度に何発撃てる?」


「一度に? やったことはないが三発はできるじゃろう」


「じゃあ、早速お願いしたい」


「おお、いいじゃろう! ぬふふ」


 味方でも怖いな。


 敵の弓兵が森の木を遮蔽物にしてこちらへの反撃を始めたので、ラバナルには弓兵のところまで出張ってもらい、弓兵とともに投石兵の撤退と剣兵の突撃まで撃ちまくってもらう。

 弓では貫くことができない樹木も鉄の弾丸なら貫通する。

 すげぇ威力だ。

 種子島(火縄銃)どころの騒ぎじゃないぞ。

 接近戦が始まる。

 弓兵同士が剣兵同士の白兵戦の頭上越しに相手を撃ち合う。

 飛び道具合戦は互角の勝負を続けているけど、白兵戦が不利だな。

 そもそも三十六対十七人。

 やっちゃったな。

 机上の戦略そのままに指揮しちゃダメだろ、自分。


「サビー、急いで伝令。カイジョーにギラン隊を援護させろ」


「はっ!」


「オギン」


「ここに」


「ラバナルに騎兵を狙うように指示を出せ。そろそろくるぞ」


「かしこまりました」


「オレは、なにをすればいいですか?」


「僕と一緒に前進。投石隊と合流する」


 接敵と同時に圧されていたギラン隊は、カイジョー隊が乗り出して逆に攻勢に出る。

 あー……畑が荒れる。

 今の所二割くらいか。

 できれば三分の一、最悪でも全体の四割程度で収めたい。


「お館様」


 前進しようとしたところに、ルダーが作った車椅子をガブリエルに押してもらいながら、チャールズが声をかけてきた。


「なんだ?」


「ワタシにもなにか手伝うことはありませんか?」


「なにができるんだ?」


 せいぜい十日だろ? 魔法の修行を始めて。


「火や水を生むことができるようになりました」


 む。


「どの程度の規模で?」


 訊ねると、彼はスラスラと魔法陣を描いてポンと左の手の上にピサーメ大の火の玉を生み出した。


 いや、すごいけど……たった十日やそこらで、そんなことができるようになるってのはそりゃあすごい(なるほど、あの人族嫌いのラバナルが手元に置いて弟子にするだけのことはある)けど、その程度だと……


「水は? 雨のように振らせるとかできるか?」


「雨のように……」


 ふむと、顎に手をあて小首をかしげる。


「たぶんいけると思います」


 まじか!?


「チャールズ、すぐさま雨を呼び、街道の入り口付近に降らせろ」


「は、はいっ!」


「お館様、なにをなさろうとしているのですか?」


 サビーの疑問はもっともだ。

 なにを突拍子も無いこと考えてんだって思うよね。


「騎兵対策だ」


 言葉足らずだけど、今は戦況が優先だ。

 ウンチク垂れてる暇はない。


「サビー、投石隊と合流する。急ぐぞ」


「はっ!」


 投石兵と合流した頃、街道の入り口付近に小さな雨雲が生まれてポツリポツリと雨が降り出した。

 すげーすげー、いや、その才能羨ましいよ、チャールズ。

 すると鬼の形相でラバナルが走ってきた。


「あれは、魔法じゃろ」


「ああ、チャールズが雨なら降らせられるというんで命じた」


「なんの意味がある?」


「畑を水浸しにして騎兵の機動力を削ぐためだ」


「なるほど」


 といったのはサビー。


「あの程度じゃ意味がなかろう」


 確かにそうなんだけど……!


「ラバナルならできるのか?」


 うん、ちょっとした挑発だ。

 ラバナルは不敵に笑ってこういった。


「当たり前じゃ!」

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