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それは実家からの仕送りのように

ようやく世界観の説明ができます。

 ジョーたちが村を出た後も村の再建は日常として続いている。

 住む場所は人間の基本だからできるだけ速やかに取り戻さなきゃいけない。

 多少体制が変わってはいるけれど。

 まず、新しく焼きあがったルンカーで新しい窯を作った。

 前の窯よりふた回り大きい窯を作った事で、生産スピードが上がった。

 粘土質の土でドームを作っただけのものと違って、焼きあがるたびに補修する必要がなくなったのも能率が上がった理由だ。

 ヘレンが雑木林に入る時に護衛につくのがオギンの役割として割り振られた。

 これによってジャリとジャスの仕事が中断される事がなくなって、これも生産速度の向上につながっている。

 ジャスは時々ルダーについて行って畑の管理を分担してる。

 もちろん僕もたまに畑には出向くけど。

 畑にはジョーのキャラバンから仕入れたデーコンの種などを植えたのでルダー一人に任せるというわけにいかなくなったからだ。

 仕入れたのは葉物野菜や根菜なので、収穫サイクルが早い。


 「だからと言ってフル回転で畑を使っていたら土が痩せるけどな」


 それ以上に休耕地化している畑を耕すのが一苦労だ。

 農耕用の動物が欲しいな。

 サイズ的にはデヤール辺りが候補にあげられるけど、あれって飼い慣らせるんだろうか?


「試してみるか?」


 と、言ったのはサビー。

 ガーブラと一緒に時々雑木林の中に入って狩をしてくる。

 成功率は神様からちょっぴり優遇してもらっているはずの僕よりちょっといい。


 …………。


 ねぇ、リリム?

 僕、本当に優秀にしてもらってるの?


「はずよ」


 ……はず……ですか?

 確証はないんですか?

 本当にチート的優遇じゃないんですね……。


 もちろん、森の奥の主の話はしているので、彼らも奥へは行かない。

 それに家を建てるのが優先なので、彼らも狩に専従しているわけじゃない。

 その二軒目の家が完成して、三軒目の縄張りを終えようとした頃に村に新しい住人がやってきた。


「へぇ、本当に何もない状態なんだね」


 とか、失礼なことを言うのは女性の方。

 背が高くて目つきが悪いからか、言動も相まって顔立ちが整っているのに美人の印象がわかない。

 もう一人の男の方は大きな荷車を二頭立てのホルスに引かせている。

 お!


「イラード! ザイーダ!」


 名前を呼んで二人に歩み寄ったのはオギン。

 ってか、三人揃ったな、乗り物付きで。


「サビーたちは?」


「今日は雑木林に狩に出てるよ。日暮れまでには戻ってくるけどね」


「そうか。で、村長は?」


 イラードに訊ねられたオギンが僕を指差す。


 …………。


 指差すだけかよ!

 仕方なく僕も彼らのところへ歩き出す。


「なるほど、少年が村長やってるって聞いちゃいたけど、本当に少年だな」


 口悪いな、ザイーダ。


「ジャン・ロイです。一応十五歳」


「十五になったから『ハイ、大人です』とはいかないんだよ? 少年」


 いちいち一言多いな……まぁ、元服してないからそう言う意味でも間違っちゃいないんだけど……。


「ワタシはイラード・タン。この口が悪い女はザイーダ・ベックです。今日からお世話になります」


 しっかりした人だ。


「こちらこそよろしくお願いします」


「早速ですが、荷物を降ろす場所は?」


「ああ……」


 僕は村に残っている住人を集めてみんなで僕の小屋へ移動する。

 ルンカー作りをしていたジャリたちにも手伝ってもらって、小屋に積んでいた炭を一度出し、荷車の荷を小屋の中に運び込む。

 目立ったのは書物だ。

 いわゆる本の形で綴じられているものは全体の一割くらい。

 あとは巻物だった。

 その大半が皮紙でわずかに紙と呼べるものが混ざっている。

 ここから類推すればやっぱり近代には到達していないようだ。

 他には日用雑貨と農耕具。

 これはあれだ。

 ホルスを農耕動物として使えと言うジョーの配慮があるようだ。


 あ・農耕具はしまわなくていいよ。


 他に金床や槌、フイゴなんかがあった。

 ジャリが目を輝かせている。


 …………。


 判ってる。

 判ってるから。

 使わせてあげるよ、いずれ。

 その他には斧、鋸、鉈といった開拓必需品と丈夫な縄や袋など。

 なるほど便利道具がいっぱいだ。

 空になった荷車には炭を載せる。

 次回のルンカーを焼く分を残して村に持っていくんだ。

 基本的に村で煮炊きに使ってるからね。

 今まではここと村とを往復する人が抱えて持って行ってたんだけど、これで手間が省ける。


「今度ルンカーを焼いたら、その次は炭を焼くから」


 と、宣言した。

 そのためには何本か木を切ってこなきゃいけないな……。

 明日は体格のいいガーブラと炭焼き担当のルダーを連れて雑木林に行こう。

 僕たちよりもちょっと早く村に戻っていたサビーたちが二人との再会を喜び、獲れたてのラバトで鍋料理を作り、ささやかな宴を開いた。


「えー……村の住人が十二人になりました。まだ二軒目の家ができたばかりで半分以上の人がテント生活のままですが、なるべく早く全員がちゃんとした屋根の下で暮らせるように明日以降もみなさん頑張りましょう」


「固いなぁ」


 僕の挨拶に感想を述べてくれたのはルダーただ一人。

 他の連中は話も聞かずに鍋をつつく。

 まぁ、いいけど。

 さて、住人が増えてその分することが増えたわけだけど、人手が増えたことでできることも増えてきた。

 数は力だね。

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