8:火竜との邂逅
ダラダラ。今日も今日とてNEET中。もうこれダメだなー。癖になりそう。
堕落しそうだと思っていても中々辞められない。うーん。まぁ考えるのは後にしよう。って思ってたら爆発音。
何?!天罰ですか?と思ったけど地盤が崩れたとかなんかだろうなー。めんどいけど見に行くか。
「気をつけて下さい!隣の洞窟と繋がった可能性があります!」
くっころ騎士が叫ぶ?え?隣に洞窟なんてあるの?何それ初耳学。いやーそういうことは早く言ってもらわないと。マジでないわー。
「その洞窟は『火竜の巣』と呼ばれており、あちこちを竜が闊歩しております。竜といえば神話世界を除いて最強の種族である龍の下位種。警戒しつつ、共に闘いましょうぞ!」
なんて日だ!とんでもない所に繋がっちゃったよチクショウ。というかくっころ騎士も戦うんだね。騎士名乗るくらいだしそれなりに戦えるのかな?だとすれば僥倖だ。
そう思っていた時期が俺にもありました。いやーもうやばい。竜が1匹入って来ててさー、蜘蛛の巣に引っかかって暴れてたんだよね。そこにくっころ騎士が単身凸って尻尾でぶっ飛んだ。
その衝撃で巣も破れちゃうしさー、全く、迷惑な騎士だよ。ちなみに火竜はよくある飛竜みたいな見た目ではなく、どちらかと言うとティラノサウルスのような鱗に覆われたフォルムだった。
で、早速竜と戦うわけだけど、どんな攻撃すればいいかなー?とりあえずアラクネモードに変身!
で、かまいたち。弾かれたよくそっ。今出せる最大火力だし、通ると思ってたんだけどなー。
効かないかー。詰みかな?とりあえずやれることはやろう。
まずフォートスライムに変身!そして転がる!母ちゃんの姿は覚えてるから、20分くらいなら変身出来る。そして転がる。圧倒的な質量と勢いを持った巨体が、竜に襲いかかる。
しかしそこは、下位種と言えど龍は龍。鱗が少し割れた程度でダメージを抑えた。だが、鱗を割ることは出来た。露出した柔らかい肉を、かまいたちで切る。
流石に、鱗の下の肉を切り裂かれたのは初めてだったのだろう。竜が咆哮をあげる。と同時に、鱗も再生し始めた。
は?いや待て待て、そこ再生するの?
巨大化も対策されてるよね?マジでどうしよう。
うん、やっぱり心の中じゃ少し舐めてた。まともに戦って負けたことはなかったし、大抵の敵はあっさり倒せていた。だから、慢心した。反省する。後悔はしない。そして、今から本気を出す。
『スキル:底力Lv1を取得しました。』
やったね。強そうなスキルゲット。今からでも役に立ってくれるはずだ。
そして俺は、竜の口に突っ込む。いかに体が硬い鱗に覆われていようが、口は無防備だ。
なんて思ったら火球が飛んでくる。そっかー、火竜なのか。忘れてた。辛いな。攻撃する手立てが無くなる。一か八か、巨大化ももう一度試すか?
という訳でフォートスライムに変身。同じように転がるが、玉乗りの要領で躱される。なんてと〇っぴー、いや、トリッキーな動きなんだ。
とここで意識を取り戻したくっころ騎士が切りかかる。しかし折れたのは剣の方だった。くっころ騎士の方へ火竜の爪が接近する。気付いた時には前へ飛び出していた。
くっころ騎士も、なんだかんだで仲間と言える間柄になっていた。仲間をかばって身を呈するなんて柄じゃないけど、どうせ家族も記憶もないんだ。ここはくっころ騎士が生きるべきだろう。
しかし怖い。死の恐怖に身が強ばる。そしてその鋭い爪が体に接近し、意識を失った。火竜が。
危ねー。マジで紙一重だったぜ!ついに毒が回った。え?俺が無策に突撃するわけないでしょ?そこの騎士とは違うんだから。実は鱗を割った時、一緒に分裂体を侵入させておいた。いくらスキルの毒が効かなくたって、竜に通る毒はある。その毒の名は拒絶反応。俺という異物を除去するため、竜が自分で作り出した毒だ。
しかし我ながらえげつない。もうこの竜の体はズタボロのはずだ。辛うじて意識があるのは、分裂体が脳まで到達していないから。生き殺しにするのも可哀想なので、口の中から侵入し、俺の手で殺してやる。初めての竜、俺を成長させてくれた強敵への、最後の礼儀だ。
『レベルが26にアップしました。』
『ステータスが上昇しました。』
『転がるLv8が転がるLv9になりました。』
『体組織射出Lv6が体組織射出Lv8になりました。』
『酸攻撃Lv8が酸攻撃LvMAXになりました。強酸攻撃Lv1が派生しました。』
『強酸攻撃Lv1に酸攻撃LvMAXが統合されました。』
『強酸攻撃Lv1が強酸攻撃Lv5になりました。』
『水魔法Lv6が水魔法Lv7になりました。』
『噛みつきLv1が噛みつきLv3になりました。』
『服だけ溶かす毒Lv2が服だけ溶かす毒Lv4になりました。』
『かまいたちLv7がかまいたちLv8になりました。』
『肥大化Lv8が肥大化Lv9になりました。』
『底力Lv1が底力Lv3になりました。』
なんかスキル派生したぜ。ラッキー。
ステータスは後で確認するとして、今は竜を実食させてもらおう。
次回、竜の実食!