5:くっころ騎士、配下になる
「くっ、殺せ!」
えーとね。どうしてこうなった。最初はね、ただの実験のつもりだったんだよ?ネタと思って放置してたけど実は超有能とか、そういうのあったら勿体ないしね。で、切りかかってきた騎士にそれを試した。
「王国騎士たる私に何をする気だ!」
んでもってスライムで拘束してたらなんかピーピー言い出してね。うるさいなぁもう。とりあえず体組織射出の練習に使うか。オラッ!
「なんだこれは……ベタベタする……」
多分硬質化させると武器になるんだよねー。粘着性を持たせたり、ゴムっぽくしたり、自分の体を弄れるインフィニティ・スライムにとって、体の一部を射出するこのスキルは相性がいいと言える。
「この私にイタズラする気だな?!
変な同人みたいに!」
マジでうるさいなぁ。他のやつさらってこれば良かった。まずさぁ、こいつ思い込みが激しいんだよね。
女騎士みたいに言ってるけどこいつおっさんだし。ないわー。え?何を期待してたのかな?
ただねー、実験の為とはいえ粘液まみれのおっさんの裸とか、変なものを見てしまった。服だけ溶かす毒、お蔵入り確定だね。とりあえず声帯を再現して話してみる。
「オレ、ワルイ、スライム、チガウ」
うわー。めっちゃ片言じゃん。声帯作り初めてだし、あんまり喋れないのも仕方がないか。
「何?喋れるのか!随分と賢いスライムだな!」
え?何?他のスライムって話せないの?てっきり同じようにすれば出来ると思ってたんだけど。新事実発覚。このおっさんに色々聞いてみるのもありかもね。まずはこの洞窟のことだ。
「コノドウクツ、ナニ?」
「ほう、知らないのか。ここは王国地下のダンジョン、粘菌の洞窟だぞ?
この奥のボスの間には未だ倒されていないフォートスライムがいる。」
え?フォートスライム?母ちゃんだよね?死んだし。そっかー。まだ知られてないのかー。というか母ちゃんも割と強かったんだね。それをワンパンした襲撃者ってどんな化け物よ。
まぁいいや。とりあえずこの人間仲間にしておきたいなー。
「フクジュウ、シ、ドッチ?」
「簡単なことだ。私は王国に忠誠を誓った。魔物に服従するなど死んだ方がマシだ!」
その後王国の素晴らしさや情報を熱く語り始めた。
あー。そういう感じの人かー。いいね、覚悟を決めたやつは嫌いじゃない。でもさー、それならやりようはあるんだよね。
「テキニ、ジョウホウ、ナガシタ、イイノ?」
恐らく俺に王国の情報を流しただけで、この騎士は反逆罪にでもなるのだろう。ドジって怖いよね。そのことに気づいたのか、その騎士の顔は蒼白になる。こいつ……アホだ!そして配下1人ゲットだぜ!
ナニを期待したんですかねぇ?