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47:読書in the炎

うっかりで4000字を消しました。すみません。

「おいおい、それは無いでしょうよ!」


 跳ねた俺の足元を炎が薙ぎ払う。え?刀に炎纏わせるとかありですか?しかも刀身伸びるとか。マジで俺やらかした感じだね。


 うーん、やばい。ただ壊すだけなら簡単なんだけども、それだとどうしても音が立つし、そもそも壊したところで相手の手札を増やすだけだもんな。粉々にしたって再生してきそうな気がするし。

 とりあえず安全なところに送った分裂体にメニューを開かせ、有用なスキルを探させ……たんだけどもエネルギーが足りない!うわー、強化に全振りはさすがに不味かったかな。実質詰みじゃねこれ。


 まぁでも俺だって人のことは言えないよね。うん。だって相手に斬られてもくっつきゃ再生できるし。だからこその泥沼なんだよなァ。


 ただ時間をかければかける程こっちが不利になる。朝になれば王宮の人達が起き出してくるし、この部屋に入ってくる可能性も無くはない。まぁ余程のことがない限りは入ってこないと思うけど。


 で、長引くことによるデメリットはまだある。もし後17日かかれば、邪神が復活する。それだけはどうにもならん。


「うぉっと危ない。はっはっは。そんな剣筋じゃ一生俺にゃあ届かねーよばーか!」


 相手の頭蓋骨がカタカタと音を鳴らし、怒り狂ったように斬りかかってくる。結局のところそこなんだよなぁ。相手がしっかり挑発に乗ってくれるなら、弱点が現れる可能性は高い。どんなものかは見当もつかないけど。


 迫り来る刀を避けつつ、時々反撃をする。そもそもこんな強敵が相手なのに、音を立てずにとかダルすぎるわ。うーん、辛い。

 というかもう朝じゃね?脱出はバレてるか。まぁでもスライムって知られなければなんら問題はないかな。もう王宮にたどり着いてるとは思わないだろうし、せいぜい部屋の前の警備を固められるのが関の山だろう。


 あ、ダンジョンのエネルギーが貯まってきた。分裂体にサーカスさせてエネルギーを貯めるっていう作戦、結構使えるかもね。これからも街でどんどんイベントやって行こうかな。


 と、思考が脇に逸れた隙をついて骨がまた斬りかかってきた。そろそろウザイな。おっ、ちょうどエネルギーも必要量に達した。そしてスキル取得っと。


 取ったスキルは空間魔法。名前の通りワープするための魔法のようなものだ。まだLv1だから距離は短いだろうけども、不意に転移で逃げるくらいなら出来ると思う。


 で、早速鑑定でスキルの性能を確認してみたんだけど、はぁ、これは酷い。いや、スキルの性能自体はすごく高いんだけどね?うん、今んとこほぼ産廃じゃねーかこんにゃろー。


 とりあえずレベル一時点で使える魔法は一つ。空魔天変の書、つまりは空間魔法の取扱説明書を召喚するだけの魔法という。

 まぁそれだけなら良い。1ページ目には読み終わった時点で空間魔法がLv2になるって主旨が書いてあったしね。


 たださー、それが分厚すぎる。ドグラ・マグラよりもかなり分厚いくらいって言ったらわかるかな?軽く千ページ越えってなんだよチクショウ。


 ぺちゃんこになって上段切りを回避してから足払いを避けるためにジャンプした先の空中で本を召喚して読み進める。


 目先に迫った炎を躱すために三回転ジャンプをし、そこから体の一部を伸ばして某蜘蛛男みたいに移動。で、更に読書。


 一体何が悲しゅうてこんなに人間離れした挙動をせんといかんのだ。俺のイメージだともっと読書って落ち着いてするものだと思ってたんですけど?

 前世では本って結構好きだったはずなんだけど、どうしてこんなトラウマレベルのものになってしまったのか。恨む、恨むぞこの仕様考えたやつ!


 躱す、躱す、読書。受ける、再生、読書。

 集中が途切れた瞬間、隙ありとばかりに炎と刀が飛んできて、その痛みでまた集中の世界に引き戻される。


 あー、辛い。気分はライオンから逃げながら玉乗りジャグリングをするシマウマ。要するに人の身じゃ無理ってことだよシャンナロー!


 そもそも【集中Lv6】とかいうスキルを取るくらいにはハイレベルな技術を要請されているのだ。なんでそんなん戦いの初心者にさせるかねー。というか番人でこんなんて酷くね?邪神とかマジでやばいんじゃねーの?


 ホントにあのデブ一体何をしでかしやがったか分かってんのかねー。俺は大変ご立腹だぜ?一生許さん。


 うん、でも俺って何のために戦ってるんだろ。街なんて滅びたところで俺は死なないし、このまま尻尾を巻いて逃げた方がいいんじゃないか?

 そこまで人の幸せにに入れ込む必要なんて俺には全くない。骨なんて無視してしまった方が楽だし、逃げるだけなら俺にもできるはず。




 ……でも、そうはいかないんだよなぁ。そんなことして、母ちゃんに誇れるのか?あの日俺は確かに誓ったはずだ。二度と後悔はしないと。最強になってやるんだと。


「俺の心がんな事で折れると思ったか、ヒャッハー!」


 いやー、葛藤からの右ストレート、最高!なんて思ってたらいきなり短い今世の走馬灯。致死量の炎と斬撃が俺の目の前に迫る。あ、死んだわ。


 ……痛みは感じない。ん?もうイッちゃった感じ?あーあ、止めきれなかったなー。なんて思って目を開けたら、さっきと変わらない王宮の一室にいた。ただ一つ変わったのは、魔道具と骨が再び融合したこと。


 やべ、邪神復活しちゃった感じ?

無駄になる……スライムの……読書ォ!

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