34:お・も・て・な・し
いやー、やらかした。最初は大丈夫だと思ってたんだよ?軍隊に料理を堪能させられると確信してた。ただねー、食材が、ない。
さーてどうするか。収納してるの魔物の肉しかないしなー。あれ?こっちの世界動物いたっけ?まぁいないとしても蛇なんかあんまり食べんわな。とりあえず今ある食材が、
・ジャイアントスネーク
・ブラックナイトボア
・バイティングバット
・バーサークグラスホッパー
・ヒカリマヨイダケ
・キューブオニオン
・マグマジンジャー
・ヒカリマヨイダケ
・ポパイスポマッチ
といったゲテモノ達と、そこら辺に生えてた植物だ。見た目は違うのに鑑定では草としか表示されないんだよねー。
で、どうしようか考えてる間にうちの料理人達が目にも止まらぬ早さで料理を始めた。
はっ、この甘辛いながらに旨みを凝縮したようなこの香りは、豚のしょうが焼きか?!
この出汁の風味が漂い空腹に働きかける、わびさび溢れるこの匂い、コウモリを和風スープにしただと?!
な、このどこか懐かしく田舎を感じさせるこの料理、バッタとキノコで佃煮を作ったというのか!
そしてこの耳に心地よい油裂音!メニューが1品だけでは飽き足らず、蛇の唐揚げまで作りだしただと!
そして仕上げとばかりに並べられたそれは!白米だ!いや、よく見ると少し粒も大きい。まさか、あの草の群れの中から大麦を見いだしたのか!
いやー、あの草の中に調味料いっぱい混ざってたんだねー。というか即席で出てきたゲテモノでこんだけ料理出来るとか、やっぱ食材揃えたらどうなるかが楽しみだなー。
おっ、軍隊の人も到着したようだ。
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side:騎士長
私はある街の護衛騎士団の騎士長をしている。今回はダンジョンの調査をしに来た。通常ならば、ダンジョンの調査で騎士団が出向くことなどないのだが、A級昇格間近の冒険者パーティがやられたことと、恐らくある程度進化したことにより移動手段を得たダンジョンであろうことから、危険度を見て我々が出張ったという訳だ。
しかし、そろそろ暗くなり、腹も減ってきた。今日はここらで野営をするか。そう思っていたところで、ふと気づいた。今まで視界に入らなかった訳では無い。ただ、大きすぎて見えなかったのだ。おそらく王都をも遥かに凌駕する大きさであろう。こんな街が一夜でできるとは思えない。随分と形が違うようだが、これが報告にあったダンジョンなのか?
入口のような門を見つけ、声を張り上げる。
「こちら、ジレイドルの街から来た護衛騎士団だ!誰か出てきてはもらえぬか!」
「騎士団の皆様でしたか。どうもお疲れ様です。中には料理もあります。泊まっていきませんか?」
ほう、どうにも妖しい雰囲気をまとった男だ。細身の体からはさして筋力があるようにも感じられないが、騎士としての本能が、手を出してはいけないと警鐘を鳴らしている。
しかし、ダンジョンマスターの様な外見的な特徴も見られない。スライム種なら人に化けて出迎えることも可能だろうが、ダンジョンにスライムがいるなど聞いたこともない。
それに、中から美味そうな匂いがするのも事実だ。兵達もの疲弊していることだし、今日は警戒しつつも泊めてもらうことにしよう。
「あぁ、すまないがそうしていただけると助かる。あいにく兵達も疲れているのでな。」
「ではごゆっくり。」
男の顔に笑みが広がる。やはり底を見通せないやつだ。街の中は以外にも静かだった。かといって人がいないわけでもなく、店では店員が働いている。勤勉な者が多いようだ。
そうして自分たちが通されたのは、宮殿かと見間違えるほどの立派な屋敷だった。そしてなんとこの宿、風呂がついているらしい。汗を流すため早速入ってみると、石畳に桜が1本植わっており、また脱衣場の棚に銅貨をいれると酒が出てきて、月見酒も楽しめるという趣向であった。
出てきた料理もまた見た事がないようなものばかりで、想像を絶するほど旨く、貴族や王でも果たしてこんなものを食べられるのかと思う程であった。
その後、程よく沈む天にも昇るような寝心地の布団で眠る内、我々は当初の目的も、抱いていた警戒心も忘れ去ってしまうのであった。
一応解説を入れておくと、スライムにダンジョンマスターの紋様がつかないのは不定形だからです。
また、宿は外観こそほかの建物に合わせて洋風ですが、中はthe・和風です。完全に作者の趣味なのでした。




