3:はじめてのおつかい、というか狩り
ハァ…ハァ…。体から力が抜け、地面にだらしなく溶けだす。為す術もなかった。逃げたと言ってもステータス5では限界がある。
おそらく襲撃者は俺に気付いていたし、今も感知されているだろう。まさに道端の小石と言ったところか。ハハッ。笑えない。
最初は戸惑っていたものの、この数ヶ月で、母ちゃんを家族として認識しつつあった。そんな母ちゃんが襲われて、俺にできたのは逃げることだけ。
正直、凄く後悔してる。
だから、後悔するのはこれで最後だ。
俺は最強になって、大切なものを守れるようになる。
いやいやそう決めたからってこれはないでしょう神さま仏さま?!
襲撃者から逃げること10分位。たどり着いたのは蜘蛛の巣。え?あ、主が来た。プルプル、僕悪いスライムじゃないよ?蜘蛛の動きが止まる。説得も可能かな?
ってギャアアアアア!いやお前毒飛ばすんかい?!言っとけよそういうの!とまぁ毒をくらって死にかけている現在。
その後、あれ?毒効いてなくね?て思って鑑定してみたら能力が増えてた。その名も、【毒吸収】。
『スキル:毒Lv1を取得しました。』
うん、こんな風にくらった毒を自分のものに出来ると。強い(確信)。
ただねー、蜘蛛って牙も使えるんですわ。ステータスの差は絶望。液状になりながらも蜘蛛の噛みつきを済んでのところで躱し、分裂を始める。30体程に増えたところで、重みに耐えきれず蜘蛛の巣が潰れた。計画通り。
いやー、蜘蛛さん怒ってんねー。でもね、あんたもう俺のフィールドの中なんですわ。早速分裂体を壁や天井に貼り付けて、背中の岩に毒を塗っていく。ある程度時間はかかるけど、その間蜘蛛は足止め用の軍隊に苦戦中。数って怖い。
そして一斉に、【尖岩射出】!大量の毒付き石礫をくらって、ついに蜘蛛は絶命した。
『Lvが4にアップしました。』
『ステータスが上昇しました。』
『スキル:毒Lv1が毒Lv2になりました。』
『スキル:温度変化耐性Lv1が温度変化耐性Lv3になりました。』
『スキル:尖岩射出がLv1から尖岩射出Lv2になりました。』
『スキル:転がるLv6を取得しました。』
おっ、Lvが上がった。しかし4かー。一気に10くらい上がると思ったんだけどなー。この蜘蛛割と強敵に感じたけど、この洞窟内では大したことないのかな?まぁいいや。とりあえず自分を鑑定してみる。
〖名無し〗
種族:ロックスライム
Lv :4/50
HP :16/16
MP :16/16
攻撃力:16
防御力:50
魔法力:16
素早さ:50
能力:【心の目】【変化】【分裂】【人間語】【毒吸収】
スキル:【転がるLv6】
【温度変化耐性Lv3】【尖岩射出Lv2】【毒Lv2】
称号:【転生者】
いやちょい待てや。素早さの防御の上がり幅おかしいでしょ。転がるをLv6で取得したあたり、高速でぶつかる要塞と言ったところか。種族的なあれかな?
そうそう、人間食べまくってたら言語も手に入れた。やっぱあれか、敵を食べたらスキルが手に入るのかな?
スライムだけの特性ならいいんだけど、もしそういう世界なら、敵が見た目にそぐわないスキルを持っている可能性も高い。まぁそれはあとから考える。
とりあえず蜘蛛実食。うーん。不味い。まぁ不味いもんなんて食べ慣れたからいいけど、やっぱ人間に変身したら美味しいものも食べれるかなー。人化ルートもありだね。
さて、この食事のメインであるスキル取得、どうなるかなー?
『スキル:噛みつきLv1を吸収しました。』
『ポイズンスパイダーの遺伝子情報を取得しました。』
そうそう、初めて食べた種族からは、遺伝子情報が手に入る。普通の変身がMPを消費するスキルなのに対して、遺伝子情報を手に入れた生物には無償で変身できる。
今持っている遺伝子情報は人間に偏っていたから、魔物のストックが増えるのは嬉しい。仲間のふりして近づいて、背後からグサッといけるわけだしね。
噛みつきの方は結構単純。噛みつきの威力が上がる。スライムの場合勝手に体が牙に変形する。単純だからこそ、使い勝手が良い。
初めての獲物だ。しっかり完食しよう。そして、強くなるためにまた狩りに出かける。