探す者
青年中村 優はバイト日には大学終わりからそのまま向かい夜22時にあがる。それからバスと電車を使い家に帰り着くのは深夜12時をまわるが、優はそれを嬉しく思っていた。今の季節は夏であり、夜が涼しいという理由だけではない。それは優が住む街に起因するのだ。優の家は田舎町である。田舎は情報伝達の速度が尋常ではない故に優の嫌われ者のという評判は住民全員に行き届いている。バイトがない日はどうしても帰宅ラッシュの時間帯と被ってしまうため町に入ると帰り際すれ違う度に陰で何か言われているのだ。それに比べバイト日では町に着いても田舎故に優が町に帰りつく時間帯は誰もいない。
優は町の駅に着き自転車で舗装された道路をしばらく走り山道に入りまたしばらく走り山道を抜け田んぼ道に入る。
優の家はこの田んぼ道に設置された四つの街灯を抜けた先にある。また家の真横は竹やぶが広がり庭のすぐ後ろには杉の木が生える妖在山とういう山道に抜けることが出来る。
優はと夜空を見上げ今日が満月であることに気づく。
「お、今日は満月か。綺麗だなーしかも周りは静かだし、最高だな!おい!」
優は田んぼ道を走り、二つ目の街灯を抜ける。
「あー疲れた。でもこの時間帯は最高だわ。ん?」
3つ目の街灯に抜ける時黒い者が田んぼ奥に佇んでいるのが見えしばらく見ていると、消えた。優は気のせいかと思い
4つ目の街灯を抜けた瞬間肩に痛みが走る。
「痛った!なんだ?」
街灯に戻り確認すると歯型だ。人間のではなく、肉食系の生き物の歯型に見えた。
「何も見えなかったけど、なんで急にこんなのついたんだ?痛っ!あー痛いほんとに。早く帰ろ」
優は家の庭に周り自転車を置き玄関に入る。家族は就寝している。そのまま静かに風呂に入り、上がったら消毒をしようと考えていた。
次の日
朝起き噛み跡を見るが昨日となんら変わっていなく、やはり人間の噛み跡ではない事に再認識した。
「なんか気味が悪いな。でも痛みは引いてるそれが余計に怖いな。」
それから何日か過ぎ休日に入ったが、あれから痛みはなく優は噛み跡のことなど忘れていた。
日曜日
優の部屋は二階の庭側にある。
朝起きるといつも通り窓を開け杉の木が生える山を眺め、朝食を食べだらけていながらしばらくすると両親が小学生の妹と共に買い物に出掛けていった。
優の家は平日父の帰りがバラバラの為休日の夜は必ず家族で食べるというルールがあると同時に夕飯のご飯を買いに朝から両親と妹は毎回休日は出掛けるのだ。
その分夕飯は豪華なのである。
優は夜まで一人の為テレビを見ながらだらけていた。ある程度見終わると昼になっていたので昨夜の夕飯のあまりものを温め食べ終わると二回に上がりまただらける。何という暇人なのだろう。
妖在山 山中
杉の木の枝を俊敏にかける者達がいる。
「おい!日の本ではない者がこの地いるというのは本当か!?」
「ああ本当だとも。」
「なぜおるのだ?なにが目的なのだ?」
「あのー深く考えても分からないなら考えなくもいいんじゃないですか?」
「そうだと おいらもおもうだ。」
「なにをいうておるのだ阿呆どもめ、そやつは人間に自ら変えてやったと言っておるらしいぞ!」
「そんなことは知っていますよ。」
「そー騒ぐな。少し黙れ。なにも我らには関係ない事だ。」
「はーなぜそうもお前らは無関心なのだ?」
妖在山 山中南
杉の木の太い枝に乗り何かを探す者がいる。
「あぁー暑い。なぜこの国はこんなに暑い。変えてやったはいいが山が多い分探すのに手間がかかる。」
何かを探す者はここ数日山の中を駆け巡っていた。だが遂に見つけた。
「お!おった!おった!やっと見つけぞ。今そっちに行くぞ。我が同胞になったものよ!」
目的の物を狙いにさだめ何かを探す者は杉の木の太い枝から飛んだ。