表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遠い国での革命  作者: 100万灰色の橋
15/20

12月17日

辺境地方国内にて


この日、メタルリヤ大統領はシーラ大統領とモスカウの城塞内で会談を行った。

そしてその会談でシーラ大統領は辺境地方国に対して天然ガス価格を従来の3分の1にすることと、ルーシ連邦内の民間企業を通して辺境地方国の150億G分の西部経済連合債務を買い取る事が約束された。


そしてこのニュースは即座にテレビ中継されルーシ連邦と辺境地方国内さらには西側諸国に知られることになった。


「辺境地方国民の皆様。私は今日シーラ大統領と天然ガス価格の大幅な値下げ、具体的には今年の3分の1の価格での販売と150億Gの経済支援の約束をしました。しかもシーラ大統領は150億Gの支援には何の見返りも求めないことを約束してくれました。これはルーシ連邦と辺境地方国の絆の表れです。


これによって国民の皆様の負担は大きく軽減されます。エネルギーが下がることによって辺境地方国の工業も賑わい、そこから我が国の経済は伸びていくことでしょう。」


このテレビ中継を見た辺境地方国の大多数は、結局はメタルリヤは西部経済連合ではなくルーシ連邦を選んだか、と少しだけ落胆した。しかしながら、それより辺境地方国に金が入り少しでも生活が楽になるのならばまあ良しとしようという考えのほうが強かった。夢の追い求めるより現実に手にはいる金のほうが重要である。


こうして、金が手に入り豊かになることを知らされた国民はデモへ参加することに消極的となっていった。国民の貧困という不満が解消された今、西部経済連合に編入する必要はない。金さえもらえるのならば当面はどちらについてもいい。辺境地方国の国民の考えは固まった。



~~


西部経済連合加盟国、第三ライヒ、首相官邸にて


第三ライヒ首相キルヒェは首相官邸の執務室で勤務中に秘書によって辺境地方国がルーシ連邦からの支援を受け入れることを選択したと聞かされた。


辺境地方国がルーシ連邦からの支援を選択したことにより、辺境地方国の西部経済連合への加盟は不可能となったがキルヒェはそのことを喜んでいた。第三ライヒとしてみれば、現在のヘラスに加え、ガストロノミカなども財政が悪化してきており、そのほとんどは第三ライヒが金を出すことにより補完されている。


これ以上財政状況が悪い国を西部経済連合に引き入れ、それを第三ライヒが負担することになれば第三ライヒ国民に不満がたまりキルヒェの支持率に深刻な影響をあたえるであろう。

そしてなんと言っても辺境地方国の財政状況の悪さはヘラス、ガストロノミカの比ではなく、また慢性的に赤字が続いていることから、もし辺境地方国が西部経済連合に加盟したとなれば長期に渡って第三ライヒの財政を圧迫したであろう。

なので今回辺境地方国がルーシ連邦を選択したことはキルヒェを大いに安堵させた。


ヤルズルスキー大統領には悪いがポーレにはもう少し旧議会連邦国家との緩衝国となってもらうとしよう。金がないのならば体で払ってもらう。マフィアのようなこのの暗黙のルールは国家の間でも適用されるのだ。

金がないポーレにはその国土をもって緩衝国となってもらう。


第三ライヒは自分勝手だと他の加盟国から批難されるかもしれない。しかし外交とは相手とテーブルを挟みながら笑顔で握手をし、テーブルの下では相手の脛を思い切り蹴りあげるものである。すべては自国の利益のために。


第三ライヒは裏切り者であると他の加盟国から批難されるかもしれない。しかしながら西部経済連合とは先の大戦の敗戦国である第三ライヒを閉じ込めるべくして作られた檻でおり好き好んで自ら檻に入ったわけではないので裏切り者と言われるのは間違っている。むしろ裏切り者として西部経済連合という檻から放逐してほしいとすら思っている。なぜ檻に入れられた第三ライヒが檻を支えなければならないのか?


そんな無益な考えを打ち消してキルヒェは日常の業務にいそしむのであった。西部経済連合で最も強大な国家である第三ライヒ首相の処理すべき仕事は非常に多いのであるから、少しでも時間は無駄にはできない。


ガストロノミカ

首都はローメ。すべての道路はローメに通じるという諺で有名である。他にはピザやパスタも美味しい。

リーマンショックの煽りをもろに受け、経済の建て直しに失敗し、近年財政状況が悪化してきている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ