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遠い国での革命  作者: 100万灰色の橋
14/20

12月10日

シェルビア発ルーシ連邦行きの列車中において


辺境地方国のデモ隊から以来を受け「自由と民主主義のための闘争グループ(略してZMTグループ)」はシェルビアからポーレを経由し列車にて辺境地方国に向かっていた。


ZMTグループは自国シェルビアで民衆を扇動し「フォークリフト革命」を起させ、長期にわたる独裁政権を倒したという実績があり、この実績を見込まれデモが起こった、または起こりそうな際は世界各地のデモの指導者層から協力や助言を求められる程となった。

そして今では革命の販売と称して革命のノウハウを有料で教えている。


辺境地方国からもデモが勃発した直後から協力依頼を受けていたが、辺境地方国政府が辺境地方国への入国を制限したため入国できずにいたのである。そのため合衆帝国に仲介してもらいやっと入国のめどがたったのである。合衆帝国の付き人つまり監視をを一時的にメンバーに加えるという条件付きではあるが。


列車はポーレと辺境地方国の国境に差し掛かり停車する。入国審査である。

紺色の制服を着て腰に拳銃を吊った辺境地方国の入国管理官たちが列車に乗り込んでくる。


「パスポートを拝見します。」

入国管理官たちは乗客からパスポートを受けとると首から革ひもで吊り下げた機械にパスポートの情報を打ち込んでいき乗客にパスポートを返していく。


そうして次々に乗客のパスポートチェックが済んでいき、いよいよZMTグループメンバーの順番となった。


「パスポートを拝見します。」


入国管理官が決まり文句を口にする。

メンバーは素直にシェルビアの緑地に金色で国家のシンボルが描かれているパスポートを入国管理官に渡していく。

入国管理官はパスポートを受け取り、パスポート情報を機械に打ち込み、機械を見つめる。そこには『入国が制限もしくは禁止されています』という文字が浮かんでいた。


「あなたは辺境地方国への入国が制限もしくは禁止されているようです。詳しい話を聞きたいので詰所まできてください。荷物も全部持ってです。あなたたちも知り合いですか?でしたら一緒にきてください。」


入国管理官は丁寧だが毅然とした態度でグループのメンバーに話しかける。


「待ってください。私たちの辺境地方国への入国は制限されていますが、今回は特別に辺境地方国政府に許可をとっています確認してください。これが許可証です。」


監視役としてついてきた合衆帝国人が流暢な辺境地方国語で入国管理官に反論し懐から許可証をとりだす。


「ここでは判断できないので詰所まできてください。」


しかし許可証を見せられても入国管理官は頑として譲らず、グループは説得は無理だと判断しおとなしく入国管理官についていくことにした。

入国管理官は列車から50メートル程離れたところにある詰所の一室にグループのメンバーを案内した。その部屋には机とパイプ椅子が4つ置かれているだけの殺風景な部屋であり、おそらく取調室だと思われた。


「ここで待っていてください。すぐに上司を呼んできますので。」


入国管理官はそう言うと人数分のパイプ椅子を用意し部屋から出ていった。

しばらくすると先程より年輩の入国管理官がパソコンを持ってやって来た。おそらく先程の入国管理官の上司であろう。


「全員パスポートを出して。あと許可証だかも。」


いきなりの物言いにグループメンバーは驚かされたが全員がパスポートと許可証を入国管理官に提出する。


「それじゃあこれから色々君たちに質問するから正直に答えてね。嘘をついても損をするだけだから。」


年輩の入国管理官はそう言うとメンバー全員の名前や生年月日、入国目的や滞在先を質問してきた。

特に入国目的について詳しく聞かれたが、この質問については事前に入国の際に質問されるだろう予想されていたため全員が観光目的と答えることができた。


一通り質問を終えると入国管理官は上に確認をとるからといって部屋を出ていった。

それからしばらくして戻ってくると入国は許可されたと無愛想にいって全員のパスポートに入国許可のスタンプを押した。


「とっとと戻りなさい。列車はもうすぐ出発する。」


年輩の入国管理官はそういうと、詰所からメンバーを追い出した。


列車に乗り込み元の席に着くとすぐに列車は動き出し国境線から遠ざかっていく。


「なんとか入国することができたな。しかし無愛想な連中だ。」


メンバーの一人が愚痴をこぼす。


「旧議会連邦国家はどの国もあんな感じですよ。特に公務員はね。相手が無愛想でも気にしない事が一番ですよ。それがこの国にとっての普通なのですから。逆に笑顔で近づいてくる者には注意を払った方がいいですよ。」


合衆帝国の付き人が愚痴に答えた。


「さあ、そんなことより良く休んでおいた方がいいですよ。首都カツレツまでは4時間以上かかりますから。」


付き人が続け、他のメンバーも付き人に賛成なようでスウェットに着替えるとさっさと眠りについた。

こうしてデモ隊から依頼されたZMTグループは辺境地方国に入国することができたのである。


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