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私が転生したもの

 意識が戻ったとき私は湖のほとりにいた。

 転生したのになぜ森のなかにいるんだろうか?

 まぁ、幼児プレイは勘弁してほしいから、そこから始まらなくてよかったと、素直に思う。


 自分の体を確認し、私は人型であることが分かる。

 つまりは、『人間種』にちかしい。もしくはそれである。

 女神様はスライムとかゴブリンとかの魔物になる可能性もあるとか言っていたから、少し安心した。


 前世の体とは大分違う。


 今の体は理想的な体型である。

 体はきゅっと、引き締まっており、出るとこは出て引っ込むところはしっかり引っ込んでいる。

 何もかも平凡だった私にとって、このスタイルのよさは夢のようなものだ。


 まぁ、世の女性の皆が思うことだと思うけど。


 華奢であるが、病気であるような細さではなく。洗練された・・・無駄な筋肉や脂肪を落とした、無駄の無い体つきだ。

 湖に写る顔つきは・・・


「誰???」


 と言いたくなるような、前世の私からは考えられないような整った顔立ちだ。女神様のそれに近いきがする。

 あの神々しい感じ。


 声は透き通るような声だった。

 歌手でも目指せるんじゃないか?


 腰上まで伸びる長い髪は、森の木々の隙間から差す陽光に反射して、光輝くような綺麗な銀髪であった。


 ただ一つ問題があるとすれば、その肌が死人のように青白いところであろうか?

 病的なまでに白い肌ならまだいい。それならこの体には合っているだろう。

 たが、青白いのだ。昔、祖父が亡くなった際にその肌を見たことがあるが、それと酷似している。あるいはそれ以上か・・・


 次に、今の服装だが・・・何も着けていない。

 比喩とかそういうわけではない。文字通り全裸だ。

 一糸纏わぬ姿とはこの事を言うのだろう。


 ちょっと待て、何故だ?

 ある程度成長してから私は前世の記憶を思い出したということではないのか?

 この世界での私は全裸で森の中に入るような変態なのか・・・

 いや、それはない。それはないと信じよう。


 なにか理由があるはずだ。


 ふと、足元に封筒のような物が落ちていることに気づく。

 そのなかに入っていた便箋を開く。

 どうやら、女神様からの手紙のようだ。


 その内容というのは、


『おはようございます。愛菜様。

 それではまず、この手紙で貴女の転生したものについてご説明させていただきます。


 一言でもうしますと、愛菜様が転生されたのは『吸血種』と呼ばれる種族です。』


 やっぱり、人間種じゃ、なかったか・・・


『吸血種』って、あの有名な吸血鬼とかだろうか?

 ハロウィンの仮装で吸血鬼の格好をして、町を歩いたのがいい思い出だ。


『『吸血種』というのは、読んで字のごとく、人の生き血を啜り、生きる魔物のことを指します。


 魔物とは知性が低く、人に害をなす存在です。

 魔物の体内には魔石があり、魔物を討伐しそれを入手することで生計をたてている人もいます。


 愛菜様の世界で有名な吸血鬼は、この世界では魔素だまりから生まれるので一応は魔物に分類されますが、その体には魔石はなく、『魔族種』に分類されることもありますね。


 ただ、外見だけでは吸血鬼とは分からないので、『人間種』の国で生活しているものも存在しますね。


 魔素だまりからは百年に、一度しか生まれませんし、生まれても、すぐに討伐されることがほとんどです。


 なので数が圧倒的に少ないです。


 それと、不死性を有した種族ですので、その血を飲むと不老不死になれると思われており、これを手に入れようとする人もいます。実際はただ飲んで取り入れるのではなれないのですが・・・この話はまた今度、機会があれば。


 とまあ、このような『吸血種』ですが、愛菜様が転生を果たされたのは、傾国の魔物と呼ばれる吸血鬼の下位個体。『下級吸血鬼』です。


 今現在、愛菜様の肌は青白いと思われますが、進化を経て上位個体になればなるほどその外見は人と代わり無いものとなります。』


 つまり、今は、死人と似たようなもので、肌の色は悪いけれど、進化すれば人のように健康的な肌色になるということだろう。

 肌色もよくなり、進化というのだから力も増すのだろう。


 一石二鳥だ。


『次にスキルやステータス、所持品の説明ですが、これは実際に見ていただいた方がよろしいかと。


 念じれば確認できますので、ステータスと念じてみて下さい。』


 この世界でステータスはその人のプロフィールという、認識だろうか?


 取り合えず確認してみよう。


 ==================================


 ステータス

 名前:ラナ=カガリ(Lv.1) 17歳

 種族:下級吸血鬼

 称号:

 加護:女神の加護

 生命:200/200

 攻撃:80

 魔力:80/80

 敏捷:100

 スキル:

  鑑定(Lv.Ex)

  隠蔽(Lv.Ex)

 ユニークスキル:

  血操術(Lv.1)

 種族固有スキル:

  吸血

  採血

  再生(Lv.1)

  眷族化(Lv.1)〈空き1〉

  召喚術(Lv.1)〈空き1〉

 耐性:

  状態異常耐性(Lv.1)


 ==================================


『ステータスには、愛菜様の名前やレベル、種族、称号、加護、生命力、攻撃力、魔力、敏捷力、各スキルに耐性が表示されていることかと思います。


 レベルに関しては経験を積むことによって、上昇します。


 最も簡単に成長するなら魔物を倒すことでレベルを上げることが可能です。


 称号は、謂わば二つ名のことです。


 勇者なら勇者の称号が、魔王なら魔王の称号が表示されます。


 加護は、私の加護を与えました。


 加護の効果は様々ですが、女神の加護の場合、成長補正がかかりますので、通常よりもレベルの上昇が早くなります。


 生命が0になると死亡します。


 攻撃、魔力、敏捷は、そのままの意味です。


 攻撃は、物理攻撃力


 魔力は、魔法を使用する際に必要な力です。


 敏捷は、素早さです。


 比較対照として『人間種』の平民の場合は、生命3~30、攻撃1~10、魔力0~10、敏捷10~20ほどです。』


 まあ、魔物の初期状態としては強い方だろう。

 まだ、他の魔物を見たことがないからわからないが・・・


『次に、スキルについてですが、鑑定スキルを愛菜様は有していますので、詳しく見ようと思えば、詳細を見ることが可能です。』


 どれどれ・・・おお、これは結構便利だ。


【鑑定】:そのものの詳細をレベルに応じて見ることが可能なスキル

 

 この鑑定のスキルは、相手のステータスを見ることも可能らしい。

 レベルがExに達しているので、相手の強さの確認や目利きには期待できそうだ。


【隠蔽】:ステータスの隠蔽が可能なスキル


 これは、鑑定のスキルを持っている人対策だろう。

 鑑定と、同様にレベルがExに達しているからこれ以上は上がらないようだ。


【血操術】:血を操作するスキル


 このスキルで血の圧縮して形を作って武器を作ったり、飛び道具にしたら使えそうだ。


【吸血】:吸血鬼の宿命のようなスキルであり、対象者に牙をたて、血を取り込むスキル。血を吸った対象のスキルを手に入れられる。なお、相手はスキルを失わない


 生き血を吸う?

 血を吸うのってどんな感覚なのだろうか?

 今は、牙みたいなの確認できないけど、血を吸おうとしたら伸びるのだろうか?


【採血】:接触状態で使用し、スキルの使用対象者の血を取り出せるスキルであり、更に、血を飲むとその血の持ち主のスキルをランダムで半数手に入れられる。


 あ、これ便利かもしれない。


 牙をたてて血が吸えなくても、体のどこかさえ触れていれば血が採れて、血さえ飲めればスキルが手に入るわけだし。


 死亡した相手の血でもスキルはとれるらしい。


 あと、このスキルにレベルは無いようだ。


【再生】:レベルに応じて不死性が上がるスキル


 つまり、回復が早くなるってことだろう。

 致命傷を負っても、時間と共に再生していくということもあるみたいだ。

 レベル1の状態だと1秒に1ずつ体力が回復するらしい。


【眷族化】:己の血によって対象を己の眷族にするスキル


 吸血鬼の代名詞だな。

 高位の吸血鬼になればなるほど眷族も多いようだ。


【召喚術】:己の体内、謂わば魔力の中に魔物や、神獣などを従え、任意での召喚を可能とするスキル


 つまりは、テイムしたモンスターを体内に取り入れて、魔力を消費して召喚できるスキルか。

 逃げるときの殿しんがりに使うのに便利そうだ・・・私は残忍な奴だな。


 魔物になったせいで考え方も変わったのだと思うことにしよう。

 決して元からそんなことを考える人間ではなかったはずだ。


国落としとかでも使えそうだ。

 確かに神獣を王都の中で、暴れさせたら、国が滅亡するだろうし・・・

 神獣が強いのかはしらんが、何か名前的に強そうじゃないか。


 神の獣だぞ?


『耐性はその名の通り、その耐性を示します。』


 つまり、私は状態異常耐性を持っているわけだから、毒とか麻痺とかその類いが聞きにくくなるのだろう。


 レベル1だから、今はあまり期待できないけど・・・


『説明は以上になります。


 分からないことがあれば、鑑定スキルで確認できますので


 それでは、異世界ライフをお楽しみください。


 またお会いできる日を楽しみにしています。』


 まだ、右も左も分からないが、取り合えず今は、レベルを上げて強くなろうかと思う。


 ◆◇◆


 先程は気づかなかったが、近くには封筒の他に袋が落ちていた。


 何だろう?


【鑑定】で確認してみると、どうやら魔法袋というその見た目以上の容量の物を入れることができる魔道具らしい。


 青い猫型ロボットの四次元ポケットみたいなものだろうか?

 女神様の手紙にこのことは書いていなかった。

 書き忘れ?


 まぁ、いいや。取り合えず中身を確認する。


 さすがにこのまま全裸でというわけにもいかないだろうから、服とか入っていればいいのだが・・・

 今の私には前世のように裸でいることでの羞恥心はない。

 これだけ聞くとただの変態の露出狂に聞こえるが、そうではない。

 生まれ変わり、魔物になったせいなのか、何も感じないのだ。

 体が魔物のそれになり、心も変わったのかもしれない・・・


 まぁ、それはともかく、魔法袋の中身は全部で4つだった。


 一つは純白のドレス。


 もうちょっと防御力の高い皮の防具とかでもいいから入っていてほしかったが無いものはしかたないか・・・


 もう一つは上下ワンセットの下着


 これも白色だ・・・


 次にこれまた白色のブーツが入っていた。


 何でここまで白色にこだわるのだろうか?


 トレードマーク?


 最後に試験管のセットが入っていた。その数20本。


 【鑑定】して分かったことだが、ドレスやブーツには、自動洗浄の効果があり、汚れてもすぐにきれいになるという効果があった。


 それと、このドレス、鉄の鎧とかより、よっぽど防御力が高い。

 一種の魔道具のようだ。


 試験管についてだが、これは、血液を保存できるもののようだ。

 この試験管の中では時間が経過しないらしい。

 つまりは、血のストックを作れるようだ。

 あと、一本一本その容量は、人間一人分もあるようだ。


 これは、魔法袋に似ている。液体しか入らないようだが。


 とりあえずこのままでというのはまずいから服に着替えるとしよう。

次回もよろしくお願いします。

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