いやったらしい自己弁護と人間としての本能
鈍いねー
「は?」
帰ってきた返事は疑問系であった。確かに自分でもおかしいとは思う。
『お前はレズビアン?』と聞いているのと同義だからだ。
しかし、事実女の子しか麻子を襲わないからしょうがない。
こう書くと『襲っている女の子は全員レズビアンである』と言うようだが
襲っていた数人の様子を見る限りそれの可能性はないようだった(あくまでかもしれないだけど)。
可能性から潰していっているだけであり本気でそんなことを聞いているわけではない。
「ごめん忘れてくれ、ただの冗談だ」
「ああ、そう、いいの?私はお察しの通り女の子が好きなのだけれど」
へ?
「…ただの冗談よ」
あ、なんだ。
『言っていい冗談と悪い冗談があるぞ』と自分の発言を棚に押し込んで言おうとしたが、彼女の声で遮られた。
「そろそろ席に着いたら?というかあなたは何しに来たの?」
哲学的な質問なのか、何故こんな早くに学校に来たのかどっちなんだと考えあぐねていると、チラホラ電車組の生徒がダベりながらクラスに入ってきた。
その時ようやく朝早く来た理由を思い出した。
「数学の課題終わってなかったんだった…」
チャイムが鳴り始めた。
ホームルームが終わり、一時限目が終わり、二時限目の休み時間にあることに気づいた。
忘れていた。課題じゃない。課題の件は怒られただけだ。
僕と話したあの女は美化委員で同じだったのだ。そこまで他人に興味がなかったとは自分とはいえ呆れてしまった。
「ねぇ、朝見てたでしょ何誰かと話してた?」「わぁっ!」「キャっ!」びっくりした。空いているドアに背を向けて立っていて気づかなかったのだ。
後ろには麻子がいて驚いている。「急になんだ?びっくりさせるなよ」「そっちこそ!」
「で、何」
「諭史さぁ、あんたまた私のこと言ってたでしょ?やめてよね、マジきもいし」
麻子は本気で引いているようだ。「いや言ってないし!言ったとしてもこっちの勝手だろ?仮に他人に言ったとしてお前に何か不利なことがあるのか?」
麻子は目の表情を変えた。疑いの目ではなく呆れた目だ。
「…他人に聞いたら馬鹿にしてたって言ってたけど」「…」
ああだめだ言い逃れない。つーかばらすなよ。
「本気で困ってるからやめてほしいんだけど!」「はぁ?本気で困ってるって本気で困ってる人はそう簡単に口に出さないだろ?」
麻子はまたしても目の表情を変えた、赤い 充血したその眼と透明な液体を頬につたわせたのをみて、
麻子が泣いているということを理解した。
「あ…」
現実は小説より奇なり
現実は木で小説はパルプ
「お前のケツを押さえつけたぞ!」だって
読みたいな
電子書籍は電子機器?