表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

6

水族館の日が近づくにつれて私は重大なことに気がついてしまった。


『‥‥あ、貴方が一人で行くのがかわいそうだからですわ。』


と言ってしまったけれど、そもそも一人で行くわけがないと…。

これに気づいたときの衝撃といったらもう…

お茶をひっくり返しそうになった。


そして思う。あんな偉そうなことを言ってどんな顔で会えばいいのかしら、と。


楽しみだけど行きたくない。

でも水族館デートなんてめったにないし、かといってあんなこと言った後だしどうしましょう…

いっそ水曜日なんて来なければいいのに。



とか思っていても、時間は進むわけで。

私は鏡の前でくるくると回転していた。


「うーん…。」


膝より上のワンピースに灰色のニットカーディガン。そして茶色のショルダーバック。

タイツを履くべきか、それともこのまま靴下にするべきか。どっちの方が合うのかしら。


結局悩んだ挙句、タイツを履くことにした。



「お嬢様、氣堂様がいらっしゃいました。」


「わかりました、今いきますわ。」


鞄の中チェックに入っていたので、ドアを開けられなくて良かったと思った。



***


玄関に行くとVネックにジーンズとラフな格好をした氣堂蓮が立っていた。

格好はラフだが、後ろの車が高級車なため王子様感がひしひしと伝わってくる。


「おはよう」


「おはようございます」


「今日はなんだか雰囲気違うね。」


いい方に?悪い方に?

即座に浮かんだ疑問を無視する。


「…貴方はいつもと変わらないですわね。」


「それはいい方なのかな、悪い方なのかな。」


…それ私が聞きたかったやつなんだけど。

というかいい方に決まってるでしょうが。


「そんなのいい……」


呆れながらいい方と言おうとしてはっとする。


え、いい方って言ったら私が氣堂蓮のことが好きってバレない?

待って。それはいいんだけど、周りには美好さんとか使用人さんとかいるし。

バレて破棄とか悲しすぎるんだけど。


「いい方ってことかな?」


やんわり微笑んでくれる。


や、いい方で合ってる。合ってるけど今は違くて。

でも悪い方とかはっきり言えないし。言える状況じゃないし。


あぁ、でもなにか言わなきゃ、なにか。

いい、いい…


「い、いい年して鏡も見たことありませんの!?」




…やっぱり、近日中に庭師に穴を頼んでおこうと思った。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ