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必勝の聖眼の神殺しと戦女神  作者: 暁 白花
ショートストーリー
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どっちがヒロイン? どっちが受け? 攻め? ハッキリしてよね!!

ショートストーリーは、時系列としてはバラバラです。転移後であったり前だったり、はたまた中学生だったり、小学生だったりです。



 とある日の昼休み。俺は詩音と千尋から質問をされた。


 それは、彼女たちが執筆中の小説に出てくるヒロインについてだ。


「ねぇ、男子――というか、ラノベとか少年マンガに登場させるヒロインってどういうタイプが好まれると思う?」


「千羽くんの忌憚のない意見意見を聞かせてください」


「そうだな……」


 ――と、考えるふりをしてみるも、好まれる正ヒロインなんて存在しないんだけどな。


 大抵がサブヒロインに人気を持っていかれたりする。そしてスピンオフが描かれたりするし、人気投票で正ヒロインが入れ替わったり、作者はどうしたんだよ、という女子キャラをヒロインに格上げして顰蹙を買ったりする。

 

 二人にそう答えると、じゃあどうしよう、どうすれば良いんだろうと悩みだした。


「少なからずヒロインって読者のその後の性癖を歪めるほどに影響力がある、というのも一つの形ではないかな?」


「どういうこと?」


「せ、性癖を歪めるって、何を言い出すんですか? まったく、もう」


「まぁ、性癖って聞けばエロいことかも知れないけど、見た目とかの好みかも知れないし、性格かも知れないだろう?」


「因みにエロでいえば何?」


「ヒロインの洗脳から操り人形化とか」


 詩音がジト目で見てくる。


「いや、俺がそうだとかじゃあ無くて、そういうこともあるって話だよ」


「で、では逆に好みが変わるっていうのは?」


「ん~。黒髪ロングの所謂正統派ヒロインから金髪ショートの励まして、元気付けて、引っ張ってくれて、優しいだけじゃく、駄目なところは駄目と言ってくれて、出来たり克服出来た時は自分のことのように喜んで、自信を持たせてくれる料理も出来る、とか」


 そういうヒロインが存在している。


「異性を感じさせなかったり、その癖、やたらとドキッとするような仕草とか笑顔とか服装とか?」


「まぁ、そんな感じ」


「じゃあ逆に嫌われ系ってどんなのよ」


「暴力系、ツンデレ、キャンキャンうるさい暴言系、足手まといの無能系、主人公のやることに理解がないとか、昔の待つ女系ヒロイン」


 中には作者自身が生み出したヒロインを作者が嫌い、存在を消しにかかることもある。


「け、結構多いわね」


「そう、ですね……」


「まぁ、足手まといの無能系、理解がない、待つ系のヒロインって非日常の非常識の中の日常と常識を表す存在でもあるんだけどね。まぁ、身体能力も戦闘能力もなく、一つの特能で戦場に出てこられたり、口喧しくされたり、私情というか、痴情を持ち込まれると、ね。あと、死闘を繰り広げた主人公を障害物のように飛び越えるヒロインとかも嫌だなぁ……。まぁ、そのヒロインが他に大切に想う存在が居たとしても、障害物扱いはされたくないなぁ……。まぁ、地球外生命体に侵略されたり、カードゲームで命賭けの対戦したり、離島でデスマッチをしたりすることなんて現実にはないから、関係ないんだけどさ」


「なんだかそれを聞くと少年マンガやラノベにヒロインって必要なのかなって思えて来るよ」


「『少年マンガにヒロインを登場させるのは間違っているのだろうか?』ってタイトルで一本書けそうだよね」


「作家に憧れる男の子が主人公で?」


「周りにはヒロインのモデルになりそうな女の子がいて、誰が彼の正ヒロインになるか、とか?」


 俺の思い付きに乗る二人。


「ただし、狙いは二番目狙いからの正ヒロインを狙ってるっていう感じでね」


「最初から正ヒロインだと逆転されるから?」


「そうそう」


 ――と、まぁ、その日の昼休みは終わった。だが、後日この話には続きがあった。


「昨日のヒロインの話だけど、少年マンガにヒロイン出さないとなると、男の子ばっかりになるわよね」


「それはそれで一部の淑女の方々や、これまた一部の男性が喜びそうですが……」


「まぁ、イケメンだらけだとホスト系マンガとか言われそうではあるな」


「でも、あの、わたしたちの知る男子って千羽くんと彼らだけです」


「あの二人にしつこく絡まれている私としては知人どころか、幼馴染みだったという過去とか消したい存在ね」


「奴らは王道のガッチガチの少年マンガの登場人物だと思うけど?」


「まぁ、イケメンサッカー高校生と、熱っ苦しい熱血馬鹿だけど?」


「それもあるけどさ、そうじゃなくて、奴ら、互いのことになると激しく怒るだろう?」


 二人は顔を見合せて首を傾げる。


「奴ら詩音や千尋、有馬が例え馬鹿にされても何をされても憤り、本気で怒るふり(・・)はしても、周囲と敵対しようとしてまで、味方になることはない。むしろ馬鹿にされる方も悪いと事情も経緯も知らずにいうだろうさ。けれど、奴らは互いのことを傷付けられ、馬鹿にされ、嗤われたら本気でキレる。仲間や彼女の為にはキレられないけれど心友のためならキレられるし、周囲と敵対することも厭わない」


 納得顔の二人。


「俺が思うに、奴らは愛しあっていて、その想いに気付いていないだけだと思えてならないんだが……」


「それって……」


「東方腐敗の同人誌のような、ですか?」


「そうそう。詩音や千尋にしつこく絡むのは、互いに自分に意識して欲しいからなんじゃないかな?」


「それなら、『早く、くっついちまえよバカップルが!!』って、東方腐敗の同人誌に登場するモブのセリフはあながち間違いじゃなかったのね」


「なんという、観察眼なんでしょうか……。御見逸れしました東方腐敗の皆様方……」


「興味は微塵もないけれど、議論を白熱させている東方腐敗のためにも、どっちがヒロインで、どっちが受けで攻めなのかハッキリさせて欲しいわね」


 この日の昼休みはこれで終わった。


 放課後、何処の教室で東方腐敗の「わたしたちの目に狂いはなかった!! これで勝つる!!」という雄叫びが聞こえたとか聞こえなかったとか。



 








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