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プロローグ
空から涙が降ってくる。
どこまでも白く、この世のどんなものよりも冷たい、儚い涙。
それは、誰の涙だろうか。
今まで戦い続けて死んできた子どもたちが流した、無念の涙だろうか。
こんな無様な姿をさらし、親不孝な馬鹿息子の俺を見た母さんが流した、嘆きの涙だろうか。
あれほど息巻いていたくせになぜ助けてくれなかったのかと、俺を責めるあいつが流した、慟哭の涙だろうか。
それとも――
全ての元凶である神を目の前に敗れ死んでいく俺を、天が泣き笑いをしているのだろうか。
後悔で一杯だった。
俺は結局、世界で誰よりも助けたかった女の子を助けることもできず、目の前にいる神に殺される。
これから、俺は死ぬ。
それはもう――
変えようもない――
現実だった。