心
大(僕は麗美さんの為なら何でも出来ます。
貴方の様な方にはこの先出会う事は出来ないでしょう!)
はぁーやっぱり食事なんてしなければ良かった。、、さっきから同じ事ばかり言ってる。
せっかくの料理が台無し、、、
窓の外を見る。
街の灯りが宝石の様に光輝く、、、
何でも出来る、、、か。
ふとカプセルの事を思い出す。
麗美(ねぇ田中さん私の為なら何でも出来るなら私の為に死ねる?)
大(はっ?、、し、死ねるか?、、ですか?
私が死んでしまったら麗美さんには会えなくなりますよね?)
麗美(その通りよ。その上で死ねるか?って事
! ここに毒の入ったカプセルがあるわ。私が欲しいなら今すぐカプセルを呑んで見せて。)
大(えっ、、、あっ、、す、少し時間をください。か、考えます。)
はー。どうしょうもない男だ。
男なら嘘でも呑みます!って言えないかね。
麗美(田中さんは、とても優しい人です。私なんかよりもっと素敵な人がいるはずです。
申し訳ありませんが私はこれで失礼します。)
田中はずっと下を向いている。
タクシーを捕まえるとワザと遠回りして帰ろうと思った。 いつ、この素敵な夜景が見れなくなるか分からないから見れる内に見ておきたくなった。
ピロピロピロ、、、着信。誰だろ。
ホストのヒロだ。
ヒロ(麗美、久しぶり。最近、お店にも来てくれないし、寂しいよ。 今から会おうよ。)
麗美(ねぇヒロ。私の為なら今すぐ死ねる?)
ヒロ(、、、あぁ死んでもいいぜ。)
私はヒロのマンションに向った。
ヒロは会うなり、すぐに求めてきた。
麗美(待って。さっき言ってた事本当ならこのカプセル呑んでよ。)
ヒロ(、、、後でいいだろ?今は麗美を愛したいんだ!)
私はヒロを突き飛ばし、部屋を飛び出した。
一人街をフラフラ歩いていると。なんだか全てがどうでも良くなって来た。
ふと歩道に目をやると一人の青年が露店を開いていた。 似顔絵一枚500円
その青年は私と目が会うとニコリと笑い
青年(お姉さん一枚書かせてくださいな!)
無垢な笑顔、、、汚れた私を見透かしている様にも思える。
青年(あっ。お代は絵が気に入ったらでいいです! 下手だったり気に入らなかったらいりません! 5分で書きます!)
私には特に断る理由もなく、書いて貰う事にした。
麗美(貴方いくつ?)
青年(17です。)
若っ!私と10違う!
麗美(学校は?両親は?)
青年(学校は小学校しか出てません。両親はいません。ぼくは孤児ですから。)
青年はニコリとしながら言う。
麗美(ごめんなさい。変な事聞いちゃって)
青年(謝らないないでください。謝られると悲しくなります。)
私は自分が恥ずかしくなった。10も下の青年に説法を受けたのだ。
青年(出来ました!)
その絵は満面の笑顔で笑う私が描かれていて見ているだけで元気を貰えそうな絵だ。値段がたとえ何万円しても私は買うであろう。
不思議と、涙が出てきた。
青年(、、、気に入りませんか?)
青年の声で私はハッとした。
麗美(い、いや。素敵な絵だわ。買わせて貰うわ。)
あっ!いけない!カードしかない。
麗美(ごめんなさい。現金が無いわ。コンビニで降ろしてくるから待ってて)
ぎゅるるるー 青年のお腹の音だ。
青年は真っ赤な顔をして下を向いた。
麗美(フフっ。なんか食べ物も買ってくるわね。)
私は急いでコンビニに走った。
おにぎりとサンドイッチを買い急いで戻ると
青年が酔っ払いに絡まれていた。
酔っ払い(こんな下手くそな絵描きやがって
こんなもんに金がはらえるか!)
ビリビリビリ!
酔っ払いは青年の書いた絵を破り捨てると唾を吐き行ってしまった。
私は駆け寄ると
麗美(大丈夫?怪我は無い?)
青年はニコリと笑い。
青年(失敗しちゃった。)
と言う。
私の中で何か熱い気持ちが込み上げてきた。
青年は道具を片付け、帰っていった。
私はただ見守る事しか出来なかった。
青年は笑顔だったが間違いなく泣いていた。
私が声をかければ彼は傷つく、、、そんな気がした。
私は今日一日で色んな気持ちになった。
それは、私が生きている証なのだ。
人は心で生きている。