ある妻の出産
「遅いですわね・・・まだお戻りになりませんね・・・」
大きなお腹を抱えながら、私は窓辺に立ち窓の外に見える大きな樹海を眺めた。
「はい、奥様。お戻りの知らせがきましたらすぐにお知らせしますので
ベッドにお戻りください。体に障りますので。」
「分かったは、マルクスが戻ったらすぐに知らせてね。」
メイドにそう言われベッドに戻る事にした。
夫には、出産予定日は伝えてあった。
予定では一昨日の内には屋敷に戻って出産に立ち会う筈だったのけど
出産予定日の今日になっても知らせもないのだ。
初めての出産とかさなり少し不安になってしまう。
「よいしょっと。」
メイドが心配した目でこっちを見ているので
あまり煩わせてもいけない。
私は、ベッドに腰を掛け、横になろうとする。と、急にお腹が痛み出した。
「あ、ううぅぅぅぅ・・・お腹が痛い・・・」
私が急に苦しみだしのを見たメイドが慌てだす
「奥様大丈夫ですか!?メイド長大変です!!」
大声で叫びながら、言葉の通り転がるようにドアから飛び出した
痛みに苦しみながらも、いつものメイドの光景に思わず笑みが漏れた
「奥様!生まれました!!男の子ですよ!!!」
目を覚ました私にメイド長が叫ぶ。
痛みに少し気を失っていたらしい。
お産婆をしてくれたシスターは、両手を合わせて神様にお祈りをしている所だ。
部屋の外からはメイド達の喜びの声が聞こえてくる。
「神様ありがとうございます」
周囲の喜びとタオルに包まれた我が子の顔を見て、実感が湧いてきた。
子供を抱きながら神に感謝の言葉を述べる。
ああ、マルクス!貴方と私の子がとうとう生まれたのよ!
後はマルクスにこの子を抱かせてあげる事が待ち遠しい。
あの人は何時になったら帰ってくるのだろう。
わが子を見たあの人はどんな顔をするのかな?
喜んでくれる?立ち会うのに間に合わなかったから悔しがるかしら?
しかし、この思いは届かなかった・・・。
「た、大変です!奥様!!ご主人様が!!!」
駆け込んで来たのはウィルだった
ウィルは長年この辺境伯家に仕える執事だ。
その執事があんなに大慌てで部屋に飛び込んで来たのだ。
「ウィルそんなに慌ててどうしたの?マルクスは?」
「ご、ご主人様が・・・じゅ、樹海にてお亡くなりになられました・・・。」
私はウィルのいっている事が分からなくなった。
マルクスが死んだ?もう直ぐ帰ってくるはずのあの人が死ぬ筈なんてないわ!
何かの間違いではないの?
私は目の前が真っ暗になった・・・。
まさかマルクスがそんなことありえないわ・・・。
好きな作品を見ると100万字越える作品多数・・・。
やつらは化け物か!!