第9話
結月が朱莉と歩き出してわずか数分後。やや離れた場所から爆発音が轟く。結月は音のした方向へ視線を向けた。
「トラップ、でしょうか」
「多分、ね。ちょっと見に行ってみよう」
決して野次馬根性などではない。ただ今回のゲームの参加者、そのレベル、そして罠の威力を確認したかっただけだ。木陰から煙の立ち上る木々の根元を見やると三人のプレイヤーが血を流して倒れている。ゆっくりと近づき足でうつ伏せになっている身体を仰向けにすると、爆発を正面から食らったであろうプレイヤーはまだ生きていた。他の二人も恐らく息はある。
「ねぇ、聞こえる?」
「……ぁ」
「初参加?」
プレイヤーは一度頷いた。
「他の二人も?」
再び肯定が返ってくる。結月はそっとその場を離れた。
「結月さん、あの人たち……」
「死んではいない。本気で生き抜く覚悟があれば、まだ希望はあるよ。あとは本人の生命力次第だ」
その後も似たような現場に何度か遭遇した。ベテランは既にゲームをクリアしているだろう。今残っているのは間違いなく初参加や二、三回目の初心者、結月のような中堅プレイヤーだ。だがこれで焦る必要はなくなった。ゲームの生還率はおよそ七割、今回の場合は三十人が脱落する。現段階で十人以上は負傷していることを結月は確認していた。
「やっぱり、プレイヤーのレベルが低い」
「……結月さん?」
「いや、こっちの話だよ」
紗蘭も運営が新規プレイヤーを大量にかきこんでいるというような話をしていたことを、結月は思い出す。あの時は軽く流してしまったが、今になって結月は嫌な予感を感じた。運営は何を企んでいるのだろうか。大規模ゲームの開催、プレイヤーの総入れ替え、それとも街の規模そのものを拡大するつもりなのか。いずれにせよ、運営が次のステップに進もうとしていることは間違いない。結月は宝箱を開けた。
「これで結月さんもゲームクリアですね」
「うん」
あまりにもあっけない幕引き。これほど簡単なゲームは初めてだ。十二回目ということを考えても、慣れてきていることを考えても、何かおかしい。結月は違和感を胸中に抱えたまま入手した鍵を首のチョーカーに差し込んだ。




