【獣のいる世界共通・重要設定】
※第一部から適当に思いついたことをつどつど書いていました。
それとなく採用したりしなかったりと、本編とはっちょっとちがうかなあ?
雰囲気を楽しんでもらえればと思います。
【影獣にまつわる根幹設定まとめ】
かつて、遥か銀河中央で行われた武闘派勢力の大規模な抗争。その敗北と没落の果て、彼らの一部は辺境の惑星へと逃れた。それはこの星の人類の創生期と時を同じくする。彼らはその異質な存在と強大な力ゆえ、やがて“悪魔”や“神”と呼ばれることとなる。
オリジナル――それが彼ら武闘派の中心的人物たちを指す名だ。彼らはいつか再び中央へ返り咲く日を夢見て、密かに戦力の再構築を始める。そのために生み出されたのが「影獣」と呼ばれる存在である。(自己増殖進化可能なナノマシン集合体で構成されるクラウド型AI)
並行して様々なプロジェクトを施行したが、15000年前に最初に生まれたのは二体の影獣。
ひとつは「集める獣」――人の悪意や恐怖といった負の感情を吸い上げ、濃縮する存在ラウマ。
もうひとつは「作る獣」――その負の感情を材料に、新たな影獣を生み出す役割を担うノア。
彼女らが地球におけるすべての獣の原型である。
集められた悪意は、作る獣によって形を与えられ、新たな獣がオリジナルの意思で次々と“世にはなたれる”。これらの獣たちは人の負の感情を喰らい、時間とともに強大に、賢く進化していく。そしてある段階に達した影獣は、また新たな影獣を生み出す力を持つようになる。
成長を重ねた影獣はやがて“自我”と“知性”を持ち始め、外見も思考も人に近づいていく。それは単なる擬態ではない。オリジナルたちが仕込んだ因子によって、彼らは本質的に“人間に似た何か”へと進化するよう設計されていたのだ。
しかしこの動きは、当然ながら中央の現政権――銀河中心部連合国によって看過されるものではなかった。連合国は武闘派の動きを封じるため、監視要員を派遣し続けてきた。だが、あくまで監視に限られた彼らの行動には強い制約が課せられている。(【ただ二人が二人でいれるとき】の月の女神もこれ)
過去には、“神話”として語られるレベルの大規模介入も数度あった。極度に進化し人を越えた影獣の傀儡となった人類の国家同士が争い2度の大戦(3000年前に第一次、2950年前に第二次魔道大戦)その後に最後の神話的介入があり、勢力が衰え、今では連合側の関与は極端に縮小されている。この世界の崩壊に伴い、かつて“神の力”と呼ばれた科学技術・魔法技術が世界から消えていったのは、この世界の衰退によるものだ。(近未来的世界→近代程度の世界)
その一方で、監視員の中には地球人類に同情し、密かに技術を授けた者もいた。それがやがて“勇者”や“英雄”と呼ばれる人々の源流となった。(【ただ二人が二人でいれるとき】のリセの弓もこれ)
ユアの一族に伝わる「ペルクールの雷」もまた、そうした銀河連の技術の名残である。
現代において影獣たちの本来の目的――中央への帰還や軍事力再建――は、もはや失われている。多くは生き残り、悪意を食らい、ただ“生存と増殖”の本能に従って動くだけの存在となった。ユアたちが初期に出会った影獣はまさにそうした一体である。
しかし、ユアたちが今後ミルディス公国で遭遇する影獣たちは違う。彼らはかつてユアの父と相打ちになった、オリジナル(神や悪魔)に近い系譜(魔王とも呼ばれた者)の直系――強大な力と深い知性を併せ持ち、当時の“魔王”に迫る存在も含まれている。
そしてもうひとつの大きな真実。
“集める獣”であるラウマと、“作る獣”であるノアは、すでにその使命を忘れ、自我を獲得し、人ならぬ“神”のような存在へと昇華していた。人の姿を模し、人を愛し、しかし根源には獣の因子を抱えたまま――物語『わたしのつなぎたい手』と、続編『わたしがわたしになるまで』『わたしの手が届いたとき』は、やがて“救おうとする者たち”の物語へと繋がっていく。
そして最後の物語『わたしののぞむ形』にて、ユアとアミュアは6王すら救い、最後の魔王を滅ぼす。それは、長く連綿と続いた悲劇の輪廻に、ほんの少しの「つなぐ手」を差し出す物語である。
【影獣と人間】
もともと居た人間をまねて影獣を作ったオリジナルだが、一度目の6王の時代の終わりに人類は絶滅してしまう。影獣だけが生き延びた世界に変化が起きる。影獣の中に人に変わるものが次々現れた。それは影獣の特徴を完全に失い、かつて居た人類の特徴だけを持った。ただし、かつての人類よりも高い魔法適性を持ち、繁殖力は弱かった。以降この世界では子供が生まれづらくなり、風俗に変化を持ったが常識となり定着していく。こうして分かたれた人類そっくりの影獣は、ただ人類として扱われ影獣達からも仲間とは認識されなくなっていく。やがて分かたれた人類は高度魔法文明を築くが、セルミアとダウスレムの代理戦争としておこした世界大戦により数を減らし、最終的にシルヴァリアの介入でほぼ全滅する。以降は流れ着いた七星賢者達の尽力も有り、人類そっくりになった影獣は人類として新たに発展し、今に至った。影獣同士では繁殖できるし、影獣の王クラスそれに準ずるものはそれぞれ影獣を増やすことが出来たが、人類そっくりになった影獣とは子を無せなかった。ただし影獣が自分を人類だと認識し変化を受け入れたときには影獣の特徴を失う代わりに人間となり子を成せるようになる。
【アミュア】
ルメリナ近郊にある泉の祠に女神ラウマの分体が取り残されていた。女神ラウマは世界各地のラウマ像と霊的接続をもっており、通信の遅延を補うため分体を作り定期的に自分に戻し作り直すといった作業をしていた。このとき集めていたエネルギーも回収するシステム。ある日ルメリナ近くの女神像にマルタスが攻撃し、この分体との通信に乗り本体にペルクールの雷が届く。激震の本体と切り離されて分体のラウマがその像に残される。その後22年間の孤独の中分体は自己を失いかけていた。そこにユアが現れ、会話し名を与えられる。半分この儀式では、分体に残っていた痛み(エネルギー)を半分ユアに注いで、分体の密度を下げた。名を与えられることで再定義された分体はアミュアとなり密度に合せたサイズの自分を再構築する。ほとんどの記憶を失い再構築されたアミュアはユアと歩き出すのだった。後に女神ラウマと直接見えた際には、アミュアの心からの希望を叶えるため女神はアミュアをユアと同じ年に再度設定し必要なエネルギーを与えらのだった。こうして異世界の魔法を覚え、女神ラウマの分霊並に魔力をもつ超人間が産まれたのだった。アミュア達分霊は老化しないので何年たっても容姿が変わることはなかった。
【スリックデンの成り立ち】
100年ほど前に過去に栄えた高度魔道化学文明の遺跡が発見される。
およそ2000年ほど前にあった、今では伝説として残る大災害。
それは世界を影であやつるセルミアとダウスレム他の獣の王たちによってなされる人類を使った代理戦争。2度にわたる世界的戦争。
その戦火が大きくなり、影獣たちの魔道技術や戦力が投入されるに至り、銀河連合中央政府より介入許可が下りる。
当時の監視者は殲滅兵器シルヴァリアとシルヴァリオの一対の竜型兵器(自己増殖可能なナノマシン集合体で構成されるクラウド型AI、自己進化できないのが影獣との違い)を投入した。この一対は雌雄で生殖を模した方法で増産可能だったが、オリジナル殲滅後不要とされ雄のシルヴァリオが銀河連合に処分され増産不可能となった。
それでもセルミア達の抵抗は大きく、世界は滅びに瀕したのだ。
高度な文明とともに。
そうしていまや伝説ともいえる古代の魔法技術が遺跡としてスリックデンの地に発見される。
これを抑えたのはミルディス公国にある七星賢者塔に居を構えていた七星賢者達。それはさらに過去に名をはせ集った7人の賢者によって起こされたという研究機関であった。
ミルディス公国に見切りを付け、塔も廃棄しスリックデンに移り拠点を作った。
元々公国内でも相談役のような感じで間借りしていただけなので、移動は早かった。
彼らは世界で失われたと言われている知識や魔法技術(2種複合魔術)も一部秘匿し存続していたのだ。
その賢者達ですら目をむく古代の技術である。
なんとか独占しようと、かの地の王家と交渉を持った。
最終的には取引が成り立ち、スリックデンの地は独立統治特別地となり、その後の発展へとつながったのだった。
長い研究の果て数十年前に大変な発見があった。
超兵器ともいえる重力魔法兵器を造る研究の一端が読み解かれた。
そうして研究者たる七星賢者達はスリックデンの地下深くに研究施設をつくり、第二の七星賢者塔とした。重力魔法発見の成果として様々な魔法体系に今も術式として残っているが、重力魔法そのものは禁忌とされ、研究も禁止されていた。
そして30年前に悲劇が起こる。
禁忌の発見とされて一部の公開をみた重力魔法など目くらましでしかなかった。
彼らが真に研究したのは影獣の技術。
人間より強大な力をもつ不死身の兵士、影獣そのものを作る研究。それは賢者塔の7つの機関によりそれぞれ分けて研究され、研究者個々にはそうと気づかせず影獣を作ろうとしていた。
影獣は無敵の兵としてだけではなく、無尽蔵のエネルギーとしても期待されていたのだった。
あらゆる角度から極秘に研究された技術により30年前一つの試作型影獣が人の手により作り出された。この素体となった少女はマルタスの友人で少し年上のあこがれの人でもあった。
14歳のマルタス少年もまた忌まわしい人体実験を受ける。それは数百人を使った複数実験で、成功例はマルタスだけであった。
その後不審を覚えたマルタスの調べで、あこがれの彼女はすでに影獣を生み出すと期待されたラウマ型といわれる獣に改造されていた。その彼女を使った増産実験中悲劇は起こり影獣の暴走と相成った。
マルタスは彼女のわずかに残った心に導かれ獣を滅ぼす。事後に彼女の喪失を知ったマルタスは研究所を無差別に破壊し逃走した。その後ラウマの祠をめざしたマルタス(事前に知っていた)は、血涙をもってラウマに激しい悲しみと怒りをぶつける。「お前がいなければ彼女は死ななかった!」叫びとともに繰り出されたマルタスの影獣の力はラウマ像を通し本体にすら届いたのだった。
そうしてラウマの現地分体たる彼女は切り離されたのであった。
【カーニャ姉妹】
七星賢者の研究機関にはカーニャの両親もいた、遺伝学生物学的な角度から研究に参加していた。
おりしもマルタスの騒ぎと同じ時期に長年の研究が実を結び、2体だけ成功生体を作り上げた所であった。(彼らはそれが影獣とは知らない)遺跡から回収された複数のサンプルから2体だけ生き延びた胚を取り出すことが出来たのだ。それは単独では増殖せず、死んでいるのと同じであった。彼らは研究の果て足りない因子がある、それは人の中にある。と見出し、長年子供に恵まれていなかった夫婦の合意の元人工授精した二人の受精卵を組み込んだのだった。
仮設どおり胚は分裂を始め、ほんの少し生き物に近付いていった。それは通常の人間の胚と違い何年もかけ赤子になっていくのだった。妻はそうして育つ未成熟な赤子にすら愛情を感じ、なんとか生まれてほしいと願うのだった。そのおりマルタスの暴走で研究所は破壊され、研究員もほぼ殺され研究はうやむやに消えていったのだった。
そして18年前。カーニャの両親はひそかに持ち出した胚をもって妻の実家に潜伏し賢者たちの生存を危うんだが、マルタスによって討たれたのか、どこかに移ったのか介入はなかった。
妻の愛情を受け続け二つの赤子は育っていったのだが、二つのうち一方にとある問題が起き成長が止まってしまう。
こうして双子として生まれるはずだった赤子は6年の差を持ち姉妹となった。現地の言葉でカーニャ(希望)とミーナ(未来)と名付けられ。
ミーナは生まれる前の成長障害のせいか体が弱かった。しかしなんとか6才になった折に、裏庭で遊んでいるとき、メイドに扮したセルミアに見出されてしまう。セルミアは少女の特異性を見抜き、虚弱なミーナに配下の種を植えつけ去るのであった。
同じころ、偶然隠されていた母の研究ノートを見つけてしまうカーニャ。
カーニャは当時12才だが、恐ろしく優秀で当時飛び級で魔法大学にまで進んでいた。
母のノートから推察し、自分の出自に気付いてしまうカーニャ。母は二人に名を送ったくだりが記入されたノートだけ捨てることが出来ないでいたのだった。その他の資料は念入りに破棄したのにもかかわらず。カーニャは両親に詰め寄る。全て話すようにと。すべてを知ったカーニャはミーナが心配であったが、大学を卒業後はハンターになり家には戻らなかったのだった。ときどきミーナの見舞いに行くのだけが帰省理由となったのだった。未だ両親との溝は埋まらず、ミーナには出自は全てふせてあるのだった。
【生き延びた賢者】
実はマルタスの暴走から生き延びた賢者が一人いた。賢者は各研究機関の責任者にして七星賢者の代表の一人でもあった。彼は極秘で進められていた重力魔法の研究チームのリーダーで、表向きには存在しない研究所の代表でもあった。幸い彼のチームは最下層で研究しており、逃げ出す時間があったのだ。
いまだ研究途上の転送魔方陣を使い逃げた男は、未制御なその術式にて少し精神的におかしくなってしまったのだ。一緒に逃げ延びた研究員の半数はわけのわからない生き物になりはて、生き延びた半数もいびつな姿になったのだ。彼らはほとぼりがさめるとスリックデンの魔法街に居を構え、極秘の重力魔法を研究し続けていた。近年それは一旦の成果をだし、複合術式を重力魔法を使い封じ込めた魔法弾に仕上げたのだ。その唯一完成された技術は影獣たちですら遺失してしまった超魔法技術、複数属性の合成術式であった。闇と水と土の術式を重力術式でまとめ上げたそれは、魔法的制御で簡単に起動する一種の爆弾となったのだった。これの完成を知りセルミアはスリックデンに手をまわしていたのだった。やがてそれを使おうと思っていたダウスレムやカルヴィリスは退出し、セルミアは目をつけていたカーニャかユアに使おうと入手を試みた。火災を起こし、注意をそらすと唯一の完成品たる弾丸と、生き延びていた研究員たちの一部を影獣と成しつれさり、すべてを手に入れたのだった。
【アグノシア(精神攻撃型・封印魔法封魂弾)】
それは現代には失われた禁断の術式を編んだ弾丸の様な形をした一つまみのものとなる。
魔道拳銃やライフルで射撃可能で、目標に着弾すると起動式が発動する。
それは禁呪。弾丸の運動エネルギーすら変換し精神にたいして作用し魔法防御無視物理防御無視結界魔法すらすり抜け相手に作用する。
それは対象のもっとも辛い記憶を読みだし、そこに被弾者の魔力で半永遠に効果を発し、神をも封じる無力化魔法であった。
【ソリスの知識】
ソリス達の異世界、超魔法文明では、3種複合魔法すら実用化していた。それは一部の賢者や国によって秘匿されていたとしても存在していたのだった。ソリスは勇者パーティの賢者として、国の許可をもらい研究していたのだ。魔王たる黒死竜グラザーヴァスを倒すため。そしてソリスはその知識すらアミュアに伝授していた。利点と危険についても。一方ソリスの得意分野たる錬金術や魔方陣利用の儀式魔法はアミュアにはあまり伝えていなかった。(基礎は他の術式説明に必要なため総論としてのそれは教授していた)
【この世界の魔法について】
魔法は使用者の中にある魔力(術式や魔方陣を使用すれば外部や触媒を魔力とすることもできる)と言われる極小の粒子(クォークの一種)を術式や呪文と呼ばれる制御方式で体外に出し、用途に応じた魔力に変換し作用となる魔法を編み上げる。
術式や呪文は訓練によって脳内で再生し無詠唱とすることもでき、さらには資質も求めるが多重詠唱として口頭+脳内などのダブル・トリプルキャストが可能である。(最高の魔法使いソリスでも4重詠唱が限界)一度式として発動した魔法は術者の負担少なく制御できるよう組まれていて、発動中の詠唱行使は特別な組み合わせ(反応属性)以外は重ねて行使可能だ。
この魔力と言われるものの濃度により、行使できる魔法に制限がある。
ソリス達の異世界はこの魔力が豊富で、魔法文明の発する下地があったのだ。
一方でユア達の世界では影獣がこの魔力の大半を蓄えているため、世界にある魔力は少な目。ラウマはこの魔力にする触媒としてたくさんの感情を集めていた(変換効率が高い)
この魔力で初期にはノアが万単位の影獣を生み出していたが、ラウマとの接続が銀河連の攻撃で裁たれ1000年前にはノアの本体は滅ぼされ、ラウマの分体としてラウマの異空間(ナノマシンAIたるラウマの展開領域)にかくまわれていた。これがユアによるダウスレム攻撃の際に外にはじかれ、ノアが誕生した。




