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09侵入者

しかし、奇襲しただけあり、これくらいなら大丈夫。


「だれだ!なぜ突然……!?」


「自分たちの吐いた言葉を思い出してくれれば自然と正解が分かります」


そうして、殴りつける。


「なにを?……ぐぅ!」


すかさず上からズン、と刃の先を突きつけて首を狙う。


「そ、そうか、この家の主」


そう言った男に蹴りを入れて吹き飛ばす。


重い装備でもしてない限り、蹴りで対処できる。


ノイスはその間観察しているようで、まだ木箱に座っている。


仲間に誘っている割には助けにこない。


やはり、傭兵など信用するに足りないな。


「ぐ、この、女ッ」


一人の男がなにかを光らせて投げる。


「!──ふ」


腹に力を込めて後ろに引く。


──ババババ


光ったなにかから出てきたなにかに体に痛みが走る。


小さくて幾つもある殺傷能力のあるもの。


なに、これ。


はじめてみた。


戦闘関連のものなんてなにも知らない。


一般人で、奪う予定だった家主にこれは。


いくら傭兵でも捕まる。


私は不法侵入と略奪しようとしたならずものを叩き出しているだけだから、捕まらないけど。


ノイスはそこで動き手をかざす。


「女一人に翻弄されてスモールビーストを使うとはな」


女に治療を施すために手をかざしたが、女からはなにをされたのかさっぱりだ。


男は微かに説くと男たちを纏めて斬り伏せた。


「なに?」


唖然と見ているしかなったヒノメールはノイスを見上げていた。


攻撃が終わると細かな攻撃により、動けなくなった。


スモールビースト。


傭兵もよく所持している集団用の武器だ。


多人数に対して使用するものを一人に使ったということ。


「回復した?」


戦時には見たことがなかった。


これがあったらもう少し楽だったのに。


どこの貴族も教えてくれなかった。


「便利ですね」


「少し高いがな」


「あの時ほしかったです」


「存在を知っていたやつがあのたたかいを仕掛けたやつらの中にいたなら、買えた筈だ」


やはり、愚か者たちだ。


大ッ嫌い。


「助けて下さってありがとうございます」


「駄賃としてうちに入れ」


真顔で言うので、本気なのだろうか。


「だれも信じてくれないのですが、戦うのが好きではないのです」


「あんなに楽しそうだったのにか」


「それは、まぁ、嫌々なのです」


断言するとノイスは驚く顔をせずにニヤリと笑う。


「どっちだって構わねぇよ」


(構わない?)


どういうことだろうか。


暗号?


首をかしげ、幾らか思考がこんがらがる。


「面白い顔をしてるぞ」


「な!──先におかしな発言をしたのですから、変にイジるのは意地悪です」


そういうふうにするから、余計に私からの信頼を失う。


膨れっ面を浮かべてもう一度、もう二度とたたかいに身を投じたくないことを通告する。


「知ってるやつは知ってるほど、お前は目立ったんだがな。時間の問題だ」


「いえ、さすがにここは辺境でございますから。そこまで騒がれることもないかと。ドラゴンの件が落ち着いたらあっという間に忘れ去られます」


倒されたばかりなのでまだ知らない人たちが戻ってくる見込みを考えて、暫く滞在するだろう。


追い払われたので、生きてはいるが戻ってくることは殆どないと私は思っている。


また攻撃されると分かっていて、本能で避けるはず。





また来ると彼は言い去った。


跡を濁さずは言ったものだ。


来なくていいですよと言ったのだが、聞こえなかったのかな。


彼ってとっても強引なのね。


傭兵なのだから当然と言えば当然なのか。


勿論、ヒノメールは押し入りされないのならお茶くらいは出す。


それに、仮に入って私になにをさせたいのかという疑問。


なんせ、もう戦うつもりはないのだ。


魔動物たちを守るためなら彼らとだって戦う気持ちでいるけれど、勝てなくてもね。


勝てなくとも勝つまでいくさう。


自分で自分をハリボテと呼んでいてもそれだけは決心していた。


あと戦の時は守るべきものが曖昧で、自分を守ることしか頭になかった。


よくよく考えると女一人に男だけしか居ないってどうなのか。


普通に考えて、貴族たちは下世話な想像をするし、あのたたかいを経て帰ってきた時点で貴族としては致命的である。


戦にメリットなぞない。


だから、こぞって貴族たちが拒否して私にお鉢が回ってきた。


魔動物たちを世話してからぐっすり眠る。


翌日、彼は朝から来ないので自分のルーティンを過ごす。


鈍らぬように槍を素振りし、朝の運動を済ませてから、うとうとする。


外を眺めて紅茶を啜る。


隠居生活は最高だ。


こういうの、スローライフって言うらしいじゃない。


その2日間、だれも来なくて平和だった。


新聞を読むとミスズィ・ノイスの名前があって、来ない理由を知る。


どこかの傭兵と戦っていたようだ。


来ると言ってもすぐに来るわけじゃないのね。


まあ、それはそうだよね。


彼らも暇じゃない。


私なんてそんな扱いよ。


みんな、端の端に手でちょっちょっと動かして放置。


分かってた。


やはりそういうことなので、信用ならない。


私にはこの子たちと自分だけあればいい。


町へ買い物に行くとドラゴンの追い払いに湧いていた。


タカノツメの傭兵たちが持ち上げられている。


呑気なものだな。


彼らは敵にも味方にもなる傭兵。


かつてこの国の敵としてあった時もあるというのに。


彼らを喜ばせているのは負けたら終わりだった戦いの代理人。


複雑なんてものではないモヤモヤ。


貴族だったから戦ったけど、これを見ると二度と国のために戦う真似なんてしたくない。


一体民衆はどちらの味方なんだろう。


自分たちを喜ばせる方に尻尾を振る人たちの横を通り過ぎて野菜を買い込む。


どこもかしこもタカノツメの話題。


女たちは面のいい男の話題にキャーキャー。


はぁ、憂鬱ね。


女たちはあの男が自国を乗っ取ろうとしたって知らないみたい。


みんな、新聞読まないの?


というか、そんなこと実はなかったと忘れていそう。


楽しくない、全部。

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