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40王子の視線

説明された通り、フライパンに乗せるらしい。


競技に支障が出ない程度に、辺りを見回す。


周りの動きに注目しながらも、フライパンを片手に力を入れる。


位置についた妻達。


王女も並んではいるが、やる気はあまりなさそう。


王子と違って、危機的なものを感じない。


自分の立場がわかってないようだ。


国に帰ればまた、安定した生活を送れると思い込んでいるのだろう。


始まりは卑怯な状態で進んだのに。


真っ直ぐ、なんの道具も使わずに線を引いていけば後から、不都合な部分が出てくる。


だから終わりも、ぐちゃぐちゃ。


ヒノメールは冷静に分析して、彼女らの横に並び、参加する。


競技の審判が手を振ったので走り出す。卵がコロコロとしているが、重心をちゃんとしていれば転がらなくなるので転がさずに足を進める。


そうすると、一位になった。


日頃のストレッチや体幹が違う。


ゴールに着くと擬似夫が待っていた。


目を合わせると、彼によくやったと言われる。


ノイスの発言に、嬉しさで目元が緩くなっていく。


余裕だったが、それでも労りを言われると嬉しいものだなと実感。


二人で祝っていると、やはりあの2人が難癖をつけてきた。


呆れるばかり。


王子と王女は二人して、こちらにやってくる。


主催者たちは、「またか」と言う顔をしていた。


それに対して、自分と彼は冷静に対峙する。


「来ると思ってたが、愚直にも程がある」


二人の手がまた触れる。


大丈夫だと言われているのが自然と理解できた。


温度を分け合うと、勇気が湧いてくる。


ノイスはまたか、と男を睨みつける。


それに対するバカップル。


似たような難癖をつけて きたが、三度目の正直と言う言葉が本で紹介されていたのを思い出す。


そろそろこちらも、怒りを見せはじめた方が良いのかもね。


ノイスはあざ笑うかのように、二人へ忠告する。


こっちを怒らせるならば、違う方法でわからせるぞと。


二位でもないのに、文句を言うのがおかしい。


そう発言をすると、彼らはそういう問題ではないと言い出す。


じゃあ、何が嫌なのかと答えると辞退しろと、言われる。


「はぁ?」


するわけがないだろう、ノイスは答えた。


この大会にはちゃんとした権利を得て、参加条件を満たして参加している。


主催者たちもストップをかけていないので、何か不正をしたなどという判定も受けていない。


一体、何の理由を持って辞退なんて言葉を、連れてきたのか。


でも、思惑は丸わかり。


恥ずかしくないのかな。


妻の王女はといえば。


相変わらずノイスという男を、うっとりした目で見ている。


(言い分がめちゃくちゃ)


倫理観よ、早く戻ってきて欲しい。


ヒノメールはうんざりした顔で女を見た。


大会の参加者たる他の夫婦のチームも、この二人の夫婦を追い出してほしいと主催者たちに伝え始める。


「大会をダメにしてしまうぞ」


「ええ、あの二人はさっきから酷いわ」


「運営の人に抗議しに行く?」


当然のことだ。


彼女たちは楽しむために来たのであって、争うことをしに来たわけじゃない。


重い空気にする、この王女夫婦はいらない。


総意である。


大会の関係者たちも、騒動を起こしたので認めることになりつつある、といった具合。


(騒ぎになってきた)


早く退場させろという声。


主催者たちに自分たちもそう思うので早くなんとかしてほしいと、集まる批判。


会場全体が二人のことで、不快感を感じ始めている。


(自業自得ね)


王子たちは誤解だと言い始めたが、すでに口に出してしまっているのだ。


違ったとはもう訂正もできない。


「待ってほしい」


ノイスは彼らの動向を把握したいのか、止めようとする。


何がそんなに知りたいのかと、気になるし。


その先のために大会に参加を決めてるので、自分もそれに習ったほうがいいのかなぁと思った。


そのことを忘れさせるために声を張る。


ノイスとヒノメールは、彼女たちにももう少し、チャンスを上げましょうとみんなに提案する。


「ノイスさん、これでいいですか」


「ああ、頼りになるなうちの妻は」


被害者の自分たちが言うので、彼らも納得していく。


二人が言うのなら、と。


王子の視線がこちらに向く。


先ほどまでの侮蔑と嫉妬の視線とは、少し違う。


色のある視線。


その目は、恋を彷仏とさせる。


馬鹿にもほどがあると、内心頭に血が上った。


恋愛沙汰で、問題起こしただけはある。


今の視線の意味を知りたくなくて、ノイスの手を握ると、彼は握り返した。


王子の視線にも、敏感に感じ取ったのだろう。


王子も王子で王女も王女。


恋に酔っている。


酷い話だ。


自分が実は元国民と知れれば、これみよがしに言い寄ってくるかもしれない。


そんなの、絶対に嫌。


あの男には、近づきたくない。


視線が今も付いてくる。


顔も気持ち悪くなり過ぎているので、速やかに移動する。


王子王女も、視線だけはついてくる。


なんだかすごく疲れた。


王子たちもようやく諦めたのか、追えなくなったのか、こちらに目をかけなくなった。


人目から離れると二人して、安堵の表情をした。


彼も疲れていたらしい。


あの粘っこさは胃もたれ起こす。


お腹をさすると、魔キツネ達が大丈夫かとふわふわさせて、ヒノメールの顔を埋めさせる。


男もやりたそうにしたが、魔動物たちは何もさせなかった。


その代わり、ヒノメールがコマドリを手渡した。

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