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39寄ってきた王女たち

理解はしているけれど、こちらに寄ってくるのならば別問題だと思う。


「待ってくださいませ」


百の割合で、王女は妻と分かっていながら妹とバカにしているので、逃げてしまえばいいのだ。


王女はそろそろ、夫の様子を見に行かないといけないと思います。


次の種目に、出られなくなっているかもしれないので。


夫婦ペアの片方がいなくては、参加どころではないし。


付いてこなくなったのを見計らい、足の速度を緩める。


「やっと離れた」


「本当に」


「しつこいな。剣で傷つけたくなった」


「あなたが理性的で相手は幸運です」


「それはない。戦場であったら切る」


「私もです。機会があれば殴り付けそうです」


「絶対するよな。あんなアホがいたら、やられ放題になる。ああいうやつらほど戦場に来ないけどな」


二人で、あの人たちの感想を言い合うのは、先程の消化不良を解消するのにうってつけだった。


もしも、王子の夫があそこにいたら二倍うるさかったはず。


いなくなって幸いだった。


大会を放り出してしまいそう。


彼に次の大会は何の競技をするのか、と聞く。


すると、彼は次は男女別なんだと教えてくれる。


それならば自信があると、ヒノメールは体を伸ばす。


どんな競技でも、バッチコイ。


彼へそう宣言すると、すごく頼りになると褒めてくれた。


「部下に対して妻役を頼むのもいざという時に困るから、お前がいて本当によかった」


彼に褒められるととても嬉しくなるし、心が暖かくなる。


そうして二人は、次の大会の競技についての話し合いを進めた。


次の競技は、フライパンを持つらしい。


何を言っているのかわからないと思うが、新婚だろうとベテランだろうと。


妻と言えば、料理、料理と言えば妻と言うイメージを元にした大会の競技らしい。


フライパンを持って走るのかと思ったけれど、中に生卵を入れて走るらしいと知った。


それは面白そうだと、妻だけの大会に期待を寄せる。


男の方は何をするのかと聞くと、障害物競争と言われた。


「頑張ってくださいね」


夫側の方が体力勝負になっている。


自信のほどはと聞くと、余裕だと自信満々に告げてきた。


凄腕らしいので、そうなるのだろうとヒノメールも楽しくなる。


(この人ひついて全くなにも知れないというのは、今も不思議だけど)


凄腕だという情報だけ知る身としては、その実力を見てみたい。


2つの競技を優勝しているので、優勝候補。


だからこそ、あの王子は突然物申してきたのだ。


このままでは負けると。


器が小さい。


小さすぎる。


さすがだ。


叩き潰しがいがある。


あの王子には恨みしかないから、この日に乗じて恨みを晴らしてみるのも良いかもしれない。


想像だけでもコテンパンにしてきた。


今ならば、いつでもやれる。


彼女は薄く笑い、ノイスを伴って再び向かう。


すると、側に何組もの人たちが近付いてくる。


夫婦たちは、先程のことを心配していてこちらに声をかけてきた。


大丈夫ですか、大丈夫ですか、と聞かれてヒノメールは大丈夫ですと笑顔で乗り切る。


みんな、とても優しいなぁとほっこりする。


そんなことをしているヒノメールをさすのは、殺気めいた視線。


やっぱり、王女がこちらを凝視していた。


見るべきは自分たちじゃなくて、己の夫だと思うんだが。


その視線はヒノメールの夫、ノイスにも及ぶ。


彼女はまだまだ、懲りずに来ようとしている。


しかし、夫婦揃って目を合わさないので、バカップルたちは他の人たちを押し除けて来られないらしい。


こちらもこちらで、次の競技のことで頭がいっぱいだからこそ、邪魔されないでよかった。


あの夫婦は言い合いすらせずに、冷却している様子で立っていた。


王子たちはなにもしていないので、ずっと暇をしている。


競技別で男女別なので、二手に別れることになる。


ヒノメールはノイスに声をかけられて頑張れ、と言われた。


彼女は、はい、がんばりますと言った。


傭兵の夫は少し目元を柔らかくすると、感謝すると述べてくれたので頷く。


熟れた頬を、彼はゆるりとさする。


突然のことに驚いた。


「え?」


(な、なに、今のは)


それを受けて顔が赤くなる。


逃げるように、妻が集まる場所へ行く。


(今の何だろう……)


そこには、フライパンと卵が用意されていた。

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