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35魔コマドリ

今後なにかミスがあったとしても、挽回し易くなる。


「次の競技は休憩挟んで1時間後らしい」


「どんなのですか?」


次はなんの競技だろうとわくわくする。


「お前にはあまり関係ないから言わなかったな。次は、妻姫様抱っこだ」


「……ん?ノイスさん」


「もう一度言わせる気か?」


「お、お願い、シマース」


「断る」


「ですよねえ」


断られるとはわかっていたが、チャンスがあるのならば聞いていくのもヒノメールなりの、歩み寄り。


魔コマドリがちるちると、ヒノメールの頭上に回る。


「あ、どうしたの?」


「あの鳥も魔動物なのか」


「はい。コマドリです。鳥でって、見ればわかりますよね。他にいうことは……この子は伝書が可能です」


「言葉が使えると?」


「いえ。言ったことを繰り返すだけなので話せるというわけではないので」


「伝書特化か。他にあるのか?」


「うーん。あったとしても見たことはないです。この子のおかげであの戦場で情報戦ができたので、恩人の一人です」


説明と紹介を兼ねるとノイスは「こいつがお前の秘訣か」とまじまじと見た。


傭兵団的にも、ヒノメールらの引き分けの理由の一つを垣間見れた気分なのだろうな。


「なんでこいつは、今ちるちる言ってる?」


「なにか伝えたいことがあるので、ちるちる言ってます」


ノイスが、ちるちると言う言葉を可愛いと感じた。


「ちるちる……ちるちる可愛い」


「お前の魔動物好きはわかったが、おれは伝言が気になる。早く聞きたい」


「いえ、魔コマドリについて言ったわけではないのですが……はい」


ヒノメールは、魔コマドリのクチバシをちょんと触れる。


「伝言をお願いします」


「チルチル!チチチ!」


魔コマドリは一度鳴く。


『あー、聞こえるか?もしもし』


「誰の声でしょうか?知りませんね」


『なぁ、もし良かったらこのコマドリくれねぇ?っていうか、おれのこと、わかるか?知らないおじさんの声なんて覚えてないかもしれないが、ノイスならわかるよな?』


「わかりたくない」


「それって、遠回しに知ってるって意味ですよね?どうしたのですか?」


なぜかゲンナリしている男に、首を横に倒す。


欲しいとか、魔コマドリを使いこなしている相手が普通ではないことは、確か。


ノイスは色男の色気を無意識に垂れ流すほど気が抜けたのか、とぼとぼと木下に行く。


ついていく。


魔コマドリはその間にも、音声を再生する。


『話が逸れたな!ヒノメールとお前はしっかり他国民として正式に認定し終わったぞ。よかったな。それと、ノイスの奥さんだからヒノメールは特別認定のリストに入れておいたぞ。じゃ、大会の結果を楽しみにしているぞっ。あ!お土産忘れるなよー』


魔コマドリはそこで音声を終わらせる。


結局だれがだれなのかわからなかった。


だれなのだろうと、首を彼の方へやる。


「誰なのですか」


「ラピトだ」


「えっ?……え!?」


ラピトというと、前に共に過ごした人だ。


「私の知るラピトさんはもう少し落ち着いていましたよ?なんだか愉快な人になってました。お酒飲まれましたか?」


「いや、おれの知るラピトだ。元はあんなやつだ。お前のときはお前が恐縮しないように気を使って抑えていたんだろ」


どうやら性格を抑えてくれたらしい。


別に弾けていても、逃避などしないのだけど。


違和感の理由はそれだったのだと思い出す。


どこかチグハグさを感じていたので、それが原因か。


「特別認定か……それなら万が一の時は助かるな」


「特別認定とは?不勉強で申し訳ないのですが」


「いや、民間人でも知る奴はあまりいない制度だ。特別認定っていうのは特定の国にとって重要な人物の身内になにかあったとき優先して権利を行使できる制度になる。そんなに使われることはないが、お前の場合は狙われているからな」


怖くないが、多少はなにか警戒しておいた方がよいのだろうか。

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