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07話 代表選抜戦

 作品のテーマを『実の娘とつき合う』にしました。

 ヤバイけど書いてみたい。

 ここは戦闘用魔法教育の場というだけあって、魔法戦用敷地は豊富だ。

 その中で、一番簡易な結界の施された育成グラウンドにて代表争奪戦は行われる。

 模擬戦には厳重な結界内にて行われるのが普通だが、オレ達は初等生。この程度で十分とみなされているのだ。

 そして今オレは、候補のひとり、丸メガネのガキと対峙している。


 「フフフ、そんな魔力量でこのコダク村の奇跡の子と呼ばれた私に挑むとは。その勇敢さに敬意を表し、大いなる魔法の深淵を見せてさしあげよう」


 ったく、何かに影響されたようなセリフ吐くガキだな。

 ま、その年で貴族子弟に挑もうとするクソ度胸には興味がある。

 お前の魔法の深淵とやら、見せてみろ。


 「いくぞッ! 大いなる雹の竜巻よ、集いて教説の吹雪となれ!」


 あん?


 「我は問う、大いなる冬の支配者へ。世界を眠らすその偉大なる御身に……」


 あきれ果てたオレは、スタスタと丸メガネのガキに歩み寄る。


 「やめんか、この知識バカが!」


 思いっきり足をはらって転ばせた。


 「ぐあはあッ!」


 「ドデンッ」と転がった奴の顔に足をグリグリ。


 「いくら魔法戦とはいえ、一対一(ワンオンワン)で長ったらしい呪文を唱える奴がどこにいる? 隙だらけで百回殺されるわ!」

 「グッぐううっ。しかし、これが私の戦闘スタイルで……」

 「んじゃ、もっとマシなスタイルを身につけろ。前衛がいたとしても、お前さんの魔法は役にたたん」


 とにかく、これは魔法戦。いちおう魔法でシメなきゃな。

 丸メガネのアタマに小魔法杖で「コツン」とショック魔法を流し込む。

 丸メガネはマヌケな顔で意識を失った。


 「髭オーガ先生、次お願いします」

 「な、なに? 次だと?」

 「今、代表を決めるって言いましたよね? 次の候補者と戦わせてください」

 「フ、フン。言うじゃねぇか。連続して戦う気か?」

 「ええ、やらせてください」

 「ガムラを倒したくらいでいい気になるなよ。ガムラなどクラスで一番の小物にすぎん! 次の対戦相手に貴様は果てしない実力差を見るのだ!」


 その丸メガネを『はるかに高い、高すぎる壁』とか言ってなかったか?

 まぁいい。この髭オーガ先生、言うこともやる事もその場の気分で適当に、という癖があるみたいだ。そのつもりで合わせよう。


 「ではその実力、見せてもらうぜ。出てこい本命!」


 ――「次はあたしよ。覚悟しなさい」


 そう言って出てきたのは、子供ばかりのクラスの中でも、より一層小さいツインテール女子だった。こんな幼女と真剣勝負とは何の因果だか。


 「いいぞ。何でもいいからやってこい、ちびっ子」

 「ちび言うなーー! 魔法の天才【エイミー・アードールネ】よ!」


 「パシュッ」と魔法の矢(マジック・アロー)


 「おっ?」


 ヒラリとかわすが、意外な鋭さに少し驚いた。


 「なっ、かわした?」「魔法の矢をかわすなんて!」「いったい何者⁉」

 と、観客席から驚愕の声。


 ああ、ガキはまだ、魔法は放ったら当たるものと思いこんでいる時期か。

 しかし魔法の放出は術式による制御があるので、それを見切ればかわすのはたやすい。


 パシュッ パシュッ パシュッ


 多いな。当たっても大したことはなさそうだが、これは魔法戦という選抜試験。

 当たったら敗北判定出されるだろうし、面倒でも全部かわしておかないと。


 「ハァハァ、な……んで当たらない……のよ」


 「グラリ」ちびっ子の身体が傾く。


 やれやれ、やっと魔力切れか。

 ま、手こずる程度には手ごわかったぜ、エイミー。


 「と見せかけて、最後の一発!!!」

 「な、なにッ⁉」


 エイミーは倒れながら魔法の矢(マジック・アロー)を放ってきた!

 完全にタイミングを狂わされたうえ、それは今までよりもスルドイ。

 ヤバイッ、かわせない!!!


 「くッ、【炎の閃光フレイム・ライトニング】!!」


 オレの放った線状の炎はエイミーの魔法の矢(マジック・アロー)に直撃。

 魔法の矢(マジック・アロー)は消滅した。


 「そんな……」


 今度こそエイミーは「ガクッ」と倒れた。


 ザワザワ……ザワザワ……


 やけに観客の生徒たちがザワめいている。

 ま、多少は高度な攻防だったからな。


 しかしまいったな。フレイム・ライトニングは、今のオレの魔力のほぼすべてを使う術。

 つまり、もう一戦することは出来なくなったということだ。

 今日でカタをつけたかったが、持ち越しか。


 「カスミ君、強いんだね」

 「……アリア・メリベール」


 声をかけてきたアリアと見つめあう。

 なんとなく、かつて一緒にくらしてた頃の時間がもどったような気がした。


 「アリア、降りてくれないか。オレは筆頭にならなきゃならない理由がある。それに貴族組には少し手ごわい奴がいる。出ても勝てないぜ」


 「カスミ君でも?」

 「オレは勝つ。ま、今のままじゃ少しキビしいから、鍛えるがな」

 「そっか。でもね、私にも筆頭にならなきゃならない理由があるんだ。私はエドガー・コルナンの娘だからね」

 「なにっ?」


 どういうことだ? なぜオレの娘だからって、筆頭にならねばならない?


 「意味わかんねーな。その筆頭にならなきゃならない理由ってのを、教えてくれないか?」

 「私に勝ったらね。これでも私、強いんだよ」


 そう言ってアリアはかまえる。


 「いや、今は……」


 『魔力が尽きたから戦えない』

 そう言おうとしたが、言えなかった。


 成長した娘が、あまりに真剣な顔をしていたから。

 その緑の瞳が、何かを語りたがっているように見えたから。


 ……そうだな。たとえ負けても、ただ依頼を失敗するだけ。

 ずっと会いたくて話したかった娘が、こうして向き合ってくれてるんだ。


 「わかった。やろうか。魔法で語り合おう」


 アリア。君に話したいことが、たくさんあるんだ。


 



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[気になる点] >「と見せかけて、最後の一発!!!」 よくあるけど、声に出しちゃいけません。 [一言] >『実の娘とつき合う』 タイトルまで変更。やるんですか。
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