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25話 高等生筆頭からの召喚状

 ともかく高等生の筆頭がオレのことを探っているという話は放っておけない。

 なので身近なところからそいつのことを調べてみることにした。


 「なにぃ高等生の筆頭殿はどんなお方かだと? それはいい質問だ。わしゃあラカン魔法学院のことなら、入学する前からなんでも知っておるかんね」


 学院大好きだね、ガムラくん。

 というわけでクラス内でこのゴツイ、メガネ小僧に聞いてみた。相変わらず妙なイキオイのテンションで自慢げに話しやがる。


 「その方のお名前は【ゴウキ・オルドウ】! その家格こそ男爵家の下級貴族だが、その才知と武術はずば抜け、その才は学院はじまって以来のものと聞く!」


 男爵家か。ローズエリィ先輩の話じゃ大貴族の庶子だそうだから、オルドウは母方の姓だろう。庶子が本家の姓を名乗れず母方の姓を名乗るのはよくある話だ。

 しかしそいつがなぜオレを? 父方の大貴族とやらは関わっているのか?


 「頭脳明晰、実技優秀。すでに魔法兵団の幹部候補生入りが決まっておる。さらに高等生内では一大派閥を形成しており、まさに学院のカリスマ。ラカン魔法学院の帝王とも呼ばれているお方じゃあ!」


 なんともご大層な野郎だな。ともかくそんな有名野郎なら、調べるのは容易いだろう。


 「今年の筆頭といえば、中等生の筆頭殿もそりゃあスゲェぞ! その名はローズエリィ・サベッジ様! 女でありながらその実力は最強! その美しさに見合わぬ強さは伝説になってるほどだぜぇー!」

 「そっちは知っている。礼を言うぜガムラ。役に立ったよ」 

 「ああっ! 御対面式のローズエリィ様のことを聞きたかったのにぃ!」


 あの娘も妙なファンがついているもんだぜ。

 ま、それよりも【ゴウキ・オルドウ】か。どういった伝手で調べたものかな。

 頭の中でいくつかの情報屋の名前を思い浮かべて席についた時だ。おずおずと隣のわが娘、アリアが話しかけてきた。


 「あの、カスミくん。高等生筆頭のゴウキさんのことを調べているの?」

 「ああ。御対面式には来なかったが、そいつの噂を聞いて少し興味が出てな。アリアはなにか知っているか?」

 「その………お母さんから、ゴウキさんのことは機会があったら調べてほしいって頼まれているの。若手貴族のなかじゃ最高の傑物だから、父親に引き立てられたら厄介な敵になるかもしれないからって」

 「父親は? なんて貴族だか聞いてないか?」

 「すごい大物貴族だってのは聞いているけど。でも家名までは聞いてないの。とにかくゴウキさんのことで情報があったら私にも教えて」


 あの共和かぶれのクソ母親のために健気なことだぜ。お父さん、悲しくなっちゃうよ。

 と、感傷にひたる間もなくクラスの騒がし娘がオレの名を呼びながら騒いで駆けこんできた。


 「おーい、カスミィ! たいへんだぁ!」


 ちっこい体と頭のツインテールをブンブン振り回し、手には何かの書状を持って大騒ぎでエイミーがやって来た。

 

 「エイミーちゃん? どうしたの」

 「さっきそこでカスミあての召喚状を渡された! 送り主はなんと高校生筆頭のゴウキ・オルドウさんだ!」


 ゴウキ………! 直接来たか。いったいなんの用だ。

 エイミーが持ってきた召喚状を開いて読んでみると、次のような文章が書いてあった。


 『初等生筆頭カスミ・シドウへ告ぐ。ただいますぐに高等生校舎棟に居る筆頭ゴウキ・オルドウに面会するべし。ただし、途中軽く腕を試させてもらうため、助っ人数名の同行を許可する。なお筆頭の元にたどり着けなかった場合、召喚状に背いたこととし罰則を受けてもらうこととする』


 「やれやれ、たどり着けなきゃ罰則? 勝手なこったな。ま、こんな物騒な召喚にクラスのみんなを巻き込むワケにはいかねぇよな。一人で行ってくる」

 「待って! 私も行く」

 「アリアちゃんが行くならアタシも!」


 と、一番巻き込みたくないわが娘と、ついでに幼女が立候補してきやがった。足手まといは御対面式で十分だってのに。


 「お断りだ。高等生といえば、もうモンスター相手の実習もやっているプロになりかけの連中だろう。その腕試しが軽いもののワケがない。筆頭殿の情報は拾ってやるからおとなしく待ってな」

 「ダメだよ。これはお母さんからの任務なんだから。ぜったいついて行く!」

 「アタシも先生の任務とあらば引き下がれない。師匠。このエイミー、必ずやお役に立ってみせます! どうかご同行をお許しください!」


 ったく、小娘どもがそんな目で『修羅場に行く』なんて言うんじゃねぇよ。無謀な若者はいつだって大人を困らせやがる。


 「なんて言われようともダメだ。いいか………」

 ――「さっさと来い、カスミ。そいつらも来たいなら来させればいい。どうせ途中で脱落する」


 と、声をかけたのは意外な小僧だった。

 公爵坊ちゃんのサリエリ・クロノベル。そして傍らにはミチル・ベルナベッド伯爵令嬢もいる。貴族坊ちゃんお嬢様が庶民クラスに入ってくるとはよほどのことだ。

 


 「まったく。召喚状には『ただいますぐに』とあっただろう。なに女どもと遊んでいる。そいつらを説得する時間も惜しい。さっさと来い」


 どうやら召喚状をエイミーに手渡したのはこの二人らしい。


 「及ばずながら私も手助けする。この召喚状は妙だ。高等生が初等生の腕試しなんてするワケがない。きな臭い匂いがする」


 だろうな。だからミチルもアリアもエイミーも連れて行きたくないってのに。どうしてこんな無謀に行きたがるんだよ、お嬢さんたち。


 「言っておくが僕も行く。お前の手助けなどしたくないが、どうあってもカスミには高等生筆頭に会ってもらう。途中脱落などさせるものか」


 ちょっと驚いた。サリエリが妙に真剣な顔で妙なことを言いやがるから。


 「オレもちょうど高等生筆頭殿には会いたいと思ってたところだ。こんな頼もしい助っ人が大勢行くんだ。腕試しなんざ簡単に突破できるだろうよ」


 ヤケクソになって言った。たしかにコイツの言う通り、ヘタに説得するより脱落させた方が早そうだ。


 「カスミ、この試練を甘くみるな。高等生筆頭殿はこの試練にあたり、奴らを召喚した。学院の闇底に潜むヤツラをな……!」

 「なんだ、ヤツラって。なにが待ち受けてるってんだ」


 まさかこの大貴族坊ちゃんにご忠告を受ける日がこようとは。オレはオマエの大貴族後継者の地位を失墜させた憎むべき敵だろう?


 「その名は【屍ン嶮(しんけん)ゼミ十六受講生】!!!」


 坊ちゃんがその名を口にしたとき、やけに青ざめた顔をしていた。

 なんだ、そのどこかの大武會にでも出場しそうなヤツラは。

 やれやれ、本当にここは学校なのかよ

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>本当にここは学校なのかよ  創作ではよくあることです。学校らしくない学校。
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