童貞、異世界へ転生する〜神様の手違いから始まる夢の異世界転生、苦労ライフ〜
最後まで読んでいただけたら光栄です。
「異世界転生」
それは新たな生を受け新しい世界に生まれ変わること。
思春期を過ごし、ある病にかかったものならば誰しもが夢見た現象。
かつての俺もそうであった。そう、あったのだ。
夢を見ていた人は何を思っていただろう。
どんなことを思い描いていただろう?
転生特典でチートもらって俺ツエーしたいか?自分だけのハーレムを作る?内政チート?
そんな現実を見ていないみんなに一言言いたい。
異世界転生はクソであると。
俺は神様の手違いによって死亡しまたも手違いにより異世界転生でチートが貰えなかったからだ。
ーーーーーーーーー
俺は気づくと何もない真っ白な空間にいた。
あたりを見渡すも先は見えず、壁があるのかも分からない。
体の感覚がなく、何故か体が暖かい気がした。
「俺どうなるんだろう……」
「誠に申し訳ございませんでしたーーー!!」
「うわ!?」
俺が一人つぶやいた時急に目の前に全身真っ白い白衣に身を包んだ老人が土下座で謝ってきた。
え?何この状況
全く現状を把握できず、ただただ混乱する。
とりあえず俺は現状把握のために話しかけることにした。
「あの、何の謝罪ですか?それとここはどこですか?」
「はい。そうですね。先に場所についてですが、ここら神界です。死んだ者の魂をあるべき場所に移すための場所です」
「と言うことは……俺は死んだのか」
この老人が言ったことを考える俺は死んだと言うことになる。
しかし理由がわからない。常に健康体だったはずなのに。
「はい。あなたは死亡しました。ただ……その……そのですね。理由が……」
「何か特別な理由があるんですね。ゆっくりでいいので話してください」
「はい。すぅーはーすぅーはー」
何か言いづらそうにしている老人を見てとりあえず少しでも話しやすいように促す。
そして、すぐに深呼吸を始めた。
そんなに言いづらいことなのだろうか?
でも、もう死んでしまったことを気にしてもしょうがない。
俺はゆっくりと老人が話し始めるのを待つ。
「私の手違いであなたは死にました」
「は?」
「ですから手違いで死にました。ごめんなさい」
俺は老人の答えを聞いた瞬間頭が真っ白になった。
え?と言うことは俺こいつの手違いで人生終わったってこと?
俺まだ彼女いない歴=年齢だったのに。
俺は気づいたら右腕を振り上げていた。
「ちょっとお待ちを!もちろん代案がございます!」
「何を待でと言うんだ!お前のせいで俺は十七歳で童貞のままだ!どうしてくれる!」
「ですので代案としてあなたを転生させますから……お願いですとりあえずその右腕下ろして!」
「………今なんと?」
今こいつから発せられた言葉に反応する。
転生と言ったか?
俺は振り上げていた右腕を元に戻し、両手で顔を庇っている老人に対して話し始める。
俺は少し今までの態度を反省し、態度を少し改める。
「すまない、ちょっとカッとなってしまった」
「……え?」
「先程君は……『転生』と言っていたと記憶しているが」
「はい確かに言いましたが……」
俺は聞き間違いえではないことを確信。
その後は老人の話を聞きたくなったため、優しく話す。
「詳しい話を聞かせてもらおうじゃないか?」
「こいつ……」
「何か?」
「いえ、なんでも」
最後何か言っていたような感じがしたが気のせいかな。
ーーーーーーーーーー
その後は俺と老人は少し話をした。
どこから出したのかわからないが神が指を鳴らすと一瞬でヒノキで作られたと思われる丸机と椅子が出てきてそれに腰掛けて二人で話をした。
話を聞いて最初に驚いたことだが、この老人は神らしい。
そして死因については心臓麻痺とのこと。
ただ、問題なのがその原因。
どうやら神は命の灯火を消すはずの人間を間違えて、俺の命を絶ってしまったらしい。
……さっきまでの俺ならこいつを殴っていたところだが、今では状況が違う。
死因なんざどうでもいい。
とりあえずさっきの転生についての話をしよう。
「話しはわかりました」
「本当に誠に申し訳ありません」
「いえ、人はミス……あなたは神ですがまずは誰もがすること。とりあえず頭を上げてください」
「はい」
先程からずっと頭を下げて謝罪をし続ける神に対して俺は頭を上げるよう促がす。
てか、ペコペコ下げすぎなんだよ。早く転生の話をしろよ!
「もう死因についてはどうでもいいです。さて、転生についての話を聞かせてもらいたい」
「死因について本当によろしいのですか?本来ならば貴方は「早く転生の話をしてくれよ!」……こいつ」
こいつさっきからうざい。ペコペコペコペコ。
死因の話とかどうでもいいからさっさとしろよ。
こっちはお前のせいで死んだんだ。
俺は何度も死因についての話がうるさかったため、ついに直で文句を言ってしまう。
なんか最後言ったかこいつ?
「なんか最後言ったかな?」
「いえ……聞き間違いかと」
「そうか……ならいい。では早速転生の話を聞かせてもらおう」
「………分かりました。私があなたにした話は異世界に転生「それは本当か!!」……」
ついつい異世界転生という言葉を聞いた瞬間舞い上がってしまった。
だが、異世界転生させてくれるなら話は早い。
まずは確認すべきことがある。
チートだチート。
「特典は?」
「はい?」
「特典、チートだよ。あなたの間違いで俺は死んだんでしょ?ならそれくらいついてるのは当たり前では?」
「………私が用意できるのは属性魔法の好きな属性付与と無尽蔵の魔力のみですが」
なんかイラついている神はそう提案してくる。
素晴らしいじゃないか!
まさに俺ツェーできるじゃん
「……あのやはりご不満ですか?」
「いや問題ないよ。俺も大人だ、我慢しよう。それでお願いしよう」
「……何様だよ」
「何か言ったかな?」
「なんでもありません」
なんかさらに苛立ち増してない?
ま、別にいいや。
さっさとチートもらって異世界転生させてもらう。
「ならさっさと決めてください。属性は基本光、闇、炎、水、風、そして土です。上から希少価値が「土魔法で頼む」……え?」
「土魔法で頼む」
「………いいんですか?一番希少価値が低いやつですよ。今なら魔の存在を圧倒できる光や全てを焼き尽くす炎の魔法も「土魔法で頼む」……分かりました」
俺の選択肢に土魔法以外はない。
土魔法は万能である。
大規模な要塞も強力なゴーレム軍団も大量の武器の生成なんでもござれ。
想像した無機物ならなんでも作成できる。
それを超えるチートはないのだ。
「わかりました。属性魔法を土にしておきますね。続いて魔力のr「その前に異世界について聞かせてもらえないか?」……は?」
「……なんか怒ってる?」
「別にそんなことはないです」
よく考えれば俺は急かし過ぎていたかもしれない。
異世界転生したい気持ちが勝ってついつい話に割り込んでしまう。
そしてふと考えれば神から何も世界について聞いていない。
それを聞いてからの方が良いかもしれない。
それによっては属性変えてもらう可能性も……。
「はぁー多分あなたが想像しているような世界かと、剣と魔法のファンタジー世界で魔物がいます。……詳しいことは紙に情報を記入しておきます。それに従ってくれれば初日の生活はできます。あと、最低限の荷物、お金を用意します。1平方メートルほどの小さいですが、収納のためのアイテムボックスを使えるようにして中に入れておきます」
「ほう、アイテムボックスもくれると……だが無限でもいいのでは?」
「……チ、色々こちらにも許容できる範囲があるんだ……ります。ただでさえ無限の魔力だけでもやりすぎなんです。そこは少し察していただけると」
「はぁー」
まぁ、聞いた限りだと属性変更は必要ないな。
ただ、追加でアイテムボックスをくれるとは随分と太っ腹だ。
容量は小さいが、まぁないよりマシだろう。
しょうがない。ここは少し大人になろう。
「しょうがないな、ここはそれで納得してあげよう」
「……いちいち態度ムカつくな……。もういいですか?この条件でいいなら早速転生させますが?」
「よし、お願いしよう」
神の意見に俺は即座に返答。
神は俺の返答を聞くなり、右手を俺に向けてきた。
「それでは準備をいたします」
神はそう言いながらむけていた掌が光だした?
「今回はすいませんでした。あなたが異世界で幸せが在らんことを」
神はそう棒読みで言っていた。
まぁ、多少イラついたが、もう会うことはないだろう。
さて、まずは何を目指そう?やっぱり最初は絶世の美女の恋人作ることからかな!
そして視界が真っ白になり神が薄くなっていく。
「あ!魔力総量調整するの忘れてた」
「…………え?」
今こいつなんて言った?
ーーーーーーーーー
ーーとある国、田舎の街周辺。
神の手違いによって転生してから約三ヶ月が経っていた。
現在俺は討伐依頼を受けている。
「大丈夫、大丈夫」
俺はそう自分に言い聞かせて、スーハースーハーと深呼吸をする。
はじめての討伐依頼。
緊張するのは当たり前である。
この三ヶ月間、俺がやっていたことは自分を磨くこと。
俺はクソ神の野郎のせいで、転生特典のチートをもらえなかった。
まあ、それ以外のものは貰えていたが……。
転生して始めて依頼を受けた時、ファンタジーで最弱に近いと言われていたゴブリンすら倒せず、俺はすぐに退散してしまった。
だから、その日以降、許される限り訓練をし続けた。
筋トレ、魔法訓練武器生成、武器を扱う訓練。
ただただ、ひたすらに貪欲に続けた。
その結果、最低限戦う力を身につけた。
本音を言うならもう少しやりたかった。
しかし、それは叶わなかった。
金がそこを尽きてしまったのだ。
訓練のため、節約生活をしていた。
漏れる制欲を我慢して、すぐ手を伸ばせば童貞卒業できる風俗も行かなかった。
だか、その生活も無理になる。
だから今回依頼を受けた。
「ぐぎ」
「ぎゃぎゃ」
ふと、その鳴き声が聞こえた瞬間俺はドキリと心臓が大きく跳ねる。
そこには会話しているのか、一メートルほどの背丈の緑の生物、ゴブリンが二体いた。
「?」
しかし、そのゴブリンは少し変わっていた。
本来、ゴブリンはボロい布を腰に巻いているのが普通なのだが、目の前のゴブリンは少し良い布でできた服を着ていて、手には50センチほどの小剣を握っていた。
「死んだ冒険者のか……」
一目でそう判断できた。
ゴブリンはバカだが、学習をする。
おそらく、ゴブリン討伐をした新人冒険者の荷物だったのだろう。
それを今では悠長に使っている。
こういったゴブリンは厄介だ。
早めに芽を潰さなければならない。
「ふーー」
俺はバレないように小さく深呼吸し、倒す算段を立てる。
俺はアイテムボックスから土魔法で作成した長さ10センチほどの投げナイフを8本取り出して、両指の親指以外の第一関節に投げナイフの穴を通してすぐに飛ばせるように準備する。
そして、俺はすぐにゴブリン二体に攻撃を……するわけはなく、追跡を開始した。
追跡を始め、およそ30分が経った。
追跡を続けるも、特に油断はなく、少しずつ距離を詰める。
現在俺は森の木々をうまく使い、ゴブリンとの距離はおよそ八メートル、かなり近づいている。
もう良いだろうか?
俺の投げナイフの射程距離はおよそ十メートル。
ここから飛ばしても問題はない。
しかし、もしも外してしまったことを考えるともう少し近づきたいのだが……。
正直、これ以上は近づけない。
ここにするか。
俺はゴブリンを仕留める位置を定める。
俺のいる場所からゴブリン二体の遮蔽物は何もない。
ここが絶好のチャンス。
俺は指にはめていた投げナイフを用意する。
「おい!」
俺は声をかけると共に一体のゴブリンに向かって8本の投げナイフを下から手グビのスナップを意識して投擲する。
「ぎょ!」
「ギギギ」
俺の投擲した投げナイフは2本ゴブリンの顔に、残りの4本は胴体に刺さる。
ゴブリン一体は驚きの声を上げるタイミングで倒れ、俺はまた倒れるのを確認しながらアイテムボックスから8本の投げナイフを取り出す。
そして残り1匹のゴブリンは仲間が倒れたのか、焦ったように声をかける。
「ギギャ!」
そして、仲間が殺されたことにショックを受けたのか切り掛かってきた。
俺は斬りかかってきた瞬間すぐに8本のナイフを飛ばし、土魔法を使い、俺から二メートル離れた位置に高さ5センチほどの瘤を作る。
「ぎゃー」
俺が投擲した投げナイフが刺さり、ゴブリンは悲鳴を上げる。
しかし、それで倒れずに走り続け俺に攻撃しようとする……がーー。
「ギアウ!」
ゴブリンは俺が生成したコブにつまずき倒れた。
俺はまた、アイテムボックスから投げナイフを八本取り出し、俺の方向に見ているゴブリンの目玉目掛けて8本投擲をする。
「ギア!」
俺の投擲した投げナイフのうち3本が刺さり、ゴブリンは死んでいった。
「はぁーー」
俺はため息をしながら、ゴブリンが完全絶命しているか、確認。
その後、ゴブリンの討伐証明と右耳、魔石を取り出し、地面に埋め処理をした。
そして、先程ゴブリンが使っていた武器を回収した。
「今日は運が良かったなー」
俺は誰もいない静かな森林のなかで一人呟いた。
今回、武器を収集できたのはでかい。
基本的に落ちていない武器や持ち物は回収した人に権利がある。
それを売ろうが使おうが自由なのだ。
俺は勿論前者、金になるので売る。
俺は武器を魔法で生成している。
そのため購入費を抑えられる。
この三ヶ月間、俺はひたすら投げナイフの訓練を続けた。
理由は戦闘素人の俺が一から身につけられる可能性はそれしかなかった。
そして、死ぬリスクが上がるため、近接戦闘はしたくない。
そういった理由で、指導者なしでも身につけられる投げナイフを選択し、購入費を無くすため投げナイフも土魔法で生成した。
作ったものはアイテムボックスにたくさん貯蔵してある。
一度の戦闘の最中武器がなくなることはないのだ……多分。
俺はクソ神の手違いによって魔力量は無限ではない。
それどころか素質がなかったらしく魔力容量も平均の五分の二ほどしかない。
そのため、戦闘で使える土魔法は相手を転ばせる瘤を作るか、あらかじめ作り溜めておく、土魔法の投げナイフを使用するしかない。
俺がこれからも夢を叶えるため、生き延びるためには努力と工夫、訓練を重ね、生活を続ける。
もともと夢に描いていた、チート、ハーレム、スローライフをすることはできない。
でも、考えてもしょうがない。
今後この世界で俺は生きていくしかない。
努力のみで異世界に食らいついてみせる。
そしていつか必ず夢を叶える。
美少女の嫁作って童貞卒業するのだ!!
読んでいただきありがとうございます。
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よろしくお願いいたします。
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