表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミトロジア  作者: ビタードール
一部】二章『愛を知らない神様』
80/170

第22話【グリード】その2

 アウトリュウスが見せたグリードと同じ魔法。その魔法は、グリードを取り囲んだ状態で爆破して見せ、崩れ掛けていた壁や天井を破壊尽くした。


「おほっ!やったなジャック!」


 爆風から姿を見せたグリードを目にし、アウトリュウスが子供のように飛び跳ねた。そのグリードの姿は、攻撃をしっかり受けており、息を切らせてその場に膝を付けている。


「はぁはぁ、まさか、私の魔法を打ってくるとは。コピー系の魔法ですかね?」

「さぁね。疑問を抱えてあの世へ行きな」


 アウトリュウスは容赦なく魔法陣を展開し、それを指に集中させてグリードに向ける。銃口を向けられている状況で、グリードは爽やかに目線を下げている。


「エル.フラルゴ」


 グリードがそう言った瞬間、教室全体の床が爆破した。


「上だ!」

「いや、天井が落ちて来る」

 

 上空へ逃げようとするも、天井も爆破によって落下し、瓦礫達が爆破しながらジャックとアウトリュウスを襲う。


「こっちだ!来い!」


 爆破を食らうアウトリュウスに対し、ジャックが素早く手を伸ばした。


「来いっ言うから会いに来たよ」

「喋んな」


 ジャックはアウトリュウスを抱えたまま天之月あめのづきを展開し、風船のようにゆらゆらと揺れる。爆破する瓦礫が落ちて来るも、傘の形をした天之月によって防御されている。


「戦闘中に仕掛けていたらしいな」

「そうだね。それに、向こうもやる気を出したようだよ」


 グリードは羽織っていた服をゆっくりと脱ぎ、腕捲りをしてその場で足踏みをする。そして、両手から出現した魔法陣に手を伸ばし、何かを取り出す。


「神器、爆魔亜刀ばくまつとう


 グリードが取り出した神器は、二つの銃剣だ。刀とも剣とも言えない刃は、刀より短くてナイフより長い。その刃の上に微かに見えるのは、小さな小さな銃口だ。とてもシンプルな形故、持ちやすく振り回しやすい。


「あの神器、銃剣か。奴の魔法と相性が良さそうだ」


 その神器を見て、アウトリュウスが困ったように眠たい目を下に向ける。


「知ってるのか?」

「うん。この狭い場所であの神器はかなり厄介だよ。近距離技の刃は勿論、あの銃口から放たれる遠距離技にも注意しなくてはならない。つまり、近付いても離れても不利ってことよ」


 神器に警戒する二人に、隙も油断もないグリードが神器を向けた。向けられた二つの銃口は、ジャックとアウトリュウスを完全に捉えている。


「実際に受けてみるといいですよ」

「あはっ!やばいよ!防御だジャック!」

「言われなくとも!」

「エル.フラルゴ」


 銃口に浮かぶ魔法陣から、一瞬のためを得て小さな魔法が放たれた。その魔法は弾丸より小さく、スピードに特化している。ジャックもアウトリュウスも目で追うのがやっとで、体が反応出来ない程に早い。


「嘘!?」


 その魔法は、当たると少し貫通し、内部から爆破した。それを諸に受けたジャックは、血を吐いて宙へと吹き飛ぶ。


「避けるんじゃなくて防御、そう言うべきだったな。わりぃ」


 避けようとしたジャックと違い、防御を展開していたアウトリュウスは、かすり傷で済んでいる。


「あと一人」

「ジャックはまだ生きてる。なら、俺ちゃんが守るしかないでしょ」

「叶わない夢を見やがって。神器、爆魔亜刀ばくまつとう

「略奪魔法、レッド.アッド.ブルー」


 アウトリュウスが魔法陣から取り出したのは、大きな黄色の本だ。更に、その本からゆっくりと見覚えのある神器が現れる。


「な、何だと……」


 その神器は、今もグリードが手にしている『爆魔亜刀ばくまつとう』だ。そして、お互いに同じ神器を構え合う。


「「エル.フラルゴ」」


 同時に放たれた魔法は、弾丸のように鋭く飛んで行く。アウトリュウスは先程のように防御を固めており、グリードも手の平に展開した魔法陣で防御する。


「自分の神器と魔法だろ?威力を見誤ったな」

「ちっ、私以上に魔力を込めてたのですか」


 グリードの左手は、爆破の魔法によってその場にもげ落ちてしまう。一方、アウトリュウスの右手から神器が消え、再び黄色の本から同じ神器を取り出す。


「やはり、コピー系統の魔法か。いや……コピーというより保持しているのですね?略奪魔法……てことは、その本の中にあらゆる魔法が詰まっているはずです」

「まあ、だいたいそんな感じ。あんさんがどれだけ凄い魔法や神器を見せようが、その分俺ちゃんもその凄さを見せれるってこと」

「だからと言って、この神器を扱える訳じゃない。貴方も分かってるはずですよ」

「分からない。何言ってるか分からない。さっさと来たら?」

「生意気言いおってからにぃ」


 グリードの左手が治癒魔法で治ると、アウトリュウスが鏡のように同じ動きをし、神器で攻撃を仕掛ける。お互いに通り際に神器を交え、離れた瞬間に神器から魔法を放つ。

 教室中を駆け回る二人は、神器がぶつかり合う音を響かせながら、そこら辺に爆破を起こす。

 一見互角に見える戦いだが、その差はすぐに出た。神器の扱い、魔法の放つタイミング、攻撃の素早さ、全てがグリードの方が上手だ。それも、その差は広がる一方。


「所詮コピー系統の技。やはり、オリジナルの私以上に技や武器を扱える訳ないですね。どうです?わざわざ真似しなくてもいいのですよ」

「気遣いご無用。さっさと来てよ」

「お望み通り。黄泉の国へ」


 アウトリュウスの挑発は、グリードをその気にさせる。先程よりスピードが早くなり、アウトリュウスが手も足も出ない状況になる。

 だが、アウトリュウスは瞬間的に戦闘スタイルを変えてほんの僅かグリードを翻弄する。

 手元の神器、爆魔亜刀ばくまつとうをグリードに向けて投げ捨て、もう片方の爆魔亜刀ばくまつとうから放った魔法で、その神器を撃ち抜き、起動を直角に変える。

 起動が変わった爆魔亜刀は、予想外の動きでグリードの背に刺さり、畳み掛けるように飛んで来たもう一つの神器も腹に刺さった。


「がはっ!?」

「ヘヘッ。やっぱし、瞬間的な変化に対応出来ないタイプだな。バイチャ〜」


 黄色の本から出現したピストルから放たれた弾丸は、容赦なくグリードの胸を貫いた。グリードは胸を抑え、血を吐いてその場に呆気なく倒れる。


「ヘヘッ。ジャック〜!終わったよ」


 倒れたグリードに弾丸をもう一発放ったアウトリュウスは、少し遠くで瓦礫に埋まってるジャックを気遣う。


「ううっ」

「大丈夫?」


 心配そうに眉を寄せるアウトリュウスは、ゆっくりとジャックを起き上がらせ、胸を撫でるように触る。当然、秒で殴られ、ジャックが素早く起き上がる。


「今回は助かった。どうも」

「そ、その仕打ちがこれ?」

「だからその程度で済んだ」

「ジャックって好き嫌い分かりやすい」

「ふんっ」

「俺ちゃんのこと好き過ぎる」

「何でそうなる――」


 突然だった。事が済んで話し込んでいたアウトリュウスの体が、なんの前触れもなく内部から爆破し、血や肉片がジャックにべっとりと付着する。


「ちっ……くそっ……」


 腹の中心から深く体が破損したアウトリュウスは、痛みと苦痛に耐えることも出来ずにその場に倒れ、苦しそうにもがく。

 慌てて治癒魔法を使用するジャックだが、その目線は自然と別の場所へと向けられた。


「嘘だろ」


 ジャックの目先にあるのは、先程グリードが倒れた場所だ。いつの間にか爆風で砂埃が舞っており、禍々しい魔力で溢れていた。その爆風から、徐々にグリードが姿を見せる。


「まさか、この私が子供程度に本気を出さなくてはならないとは……」


 エメラルドグリーンの髪、白い服、紳士的な声と雰囲気、それは間違いなくグリードだ。だが、姿が先程と違う。高身長の紳士から中性的な青年の姿へと変わっており、瞳も闇のように深い黒から赤くて鋭いものになっている。

 メガネも掛けておらず、服装も変わっており、全体的にシュッとした体型になって、得意げに爆魔亜刀ばくまつとうを手元で回している。


「まっ、もうその必要もなさそうですね。残りは英雄さんだけ……フフフッ、いい遊び相手になりそうです」

「それが、真の姿って訳か」


 グリードに疲労やダメージは見られない。寧ろ、先程より魔力とエネルギーに溢れており、状況が悪化している。


「アウトリュウス、借りは返すぜ。後はいつも通り寝てろ」

「くっ……ううっ……」


 ジャックの言葉はアウトリュウスに届いていない。治癒魔法を使用したというのに、大きなダメージが残っているようだ。


「ジャック、やるんだね?」


 瓦礫から飛び出たポム吉が、ジャックの肩に乗って震えながらグリードの姿を確認する。


「当然、修行の成果を見せてやるよ」

「ま、まさか」

「真理の義眼を使用する。でなければ、今の俺程度が奴と渡り会えない。ぶっ壊れたら時は……頼む」

「まかしぇろ!」


 アウトリュウスを後に、ジャックがゆっくりと羽根を広げる。その羽根は動物の威嚇のような物で、グリードを殺気と魔力で抑えているようだ。


「それが噂の魔王の羽根。体の倍大きい羽根を扱えるとは、流石英雄ですね」

「薄っぺらな態度はよせ。そののぼせ上がった薄ら笑みを見ると反吐が出るんだよ」

「フフフッ、酷い言いよう。でも分かりますよ。私も貴方みたいに神の力で調子乗ってる元人間を見ると……腹立たしくて仕方ないんですよ」

「安心しな。その腹立たしさもすぐに消えるぜ。その薄汚れた体と一緒に、綺麗さっぱりな」

「口の減らない子だぁ」

「三種の神器!天之月あめのづき桃凛剣とうりんけん魔漂線まひょうせん

「神器、爆魔亜刀ばくまつとう


 お互いに神器を構え合う二人は、見下ろし合いながら距離を取る。だが、天井が爆破し、瓦礫が崩れ落ちて来たことでその距離は一気に縮んだ。

 ぶつかり合う二人の周りは、激しい魔力が溢れ出ており、頑丈な教室を吹き飛ばし、邪魔になる壁や瓦礫を綺麗に消し飛ばした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ