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ミトロジア  作者: ビタードール
一部】一章『アマノとジャック』
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第1話【魔界】

 翌日、目覚めたジャックは、周りを見て自分がアマノに拾われた事を自覚する。


「夢じゃなかったのか」


 朝食や着替え、朝の支度を済ませる。アマノは、ジャックを待つかのように紅茶を一杯飲んでいる。


「貴方は学校に行かないわけだし、教育の権利は私にある」

「勉強するの?」

「勿論、それに当たって毎日の予定を立てました」


 アマノは、円グラフのスケジュール表をジャックに見せる。


 円グラフの内容は以下の通りである。

 5時 起床、朝食、身支度

 6時 勉強

 12時 昼食、休憩

 13時 訓練

 19時 夕食、休憩

 20時 妖退治、街の異常確認

 21時 帰宅、お風呂、自由時間

 22時 消灯


 九歳の子供からしたら、虐待に近いレベルでハードなスケジュールだ。

 だが、ジャックは決して不満そうではない。


「訓練って?」

「妖を倒す時に必要な肉体的、技術的な訓練。詳しくは訓練時間に教えるわ」

「分かった」


 早速、アマノのスケジュール通り一日が始まった。


「まずは勉強。ジャックには人間世界で学ぶ勉強は勿論、神々の知識も学んでもらう」

「神様にも学問があるの?」

「ある。今日は、神々の法や常識、ルールなど基本的な事を学んでもらう」


 ジャックが最初に学んだのは、神々が使う力『魔法』だった。


「貴方には使えないけど、神や天使は魔法を使う。よくおとぎ話に出てくるでしょ?あの魔法よ。魔法は基本的に五つの系統がある」


 魔法の基本系統は五つ。

 火、水、風、光、闇。そこから雷や氷などたくさんの系統に広がる。

 誰もが一つは系統を持つ、例外もあるらしい。


「系統には1から5の数字でどれだけその系統の魔法が使いこなせるかが測れる。数字が高い程強い魔法を扱えるの」

「アマノの魔法系統と数字は?」

「私の場合は光が5、他にも治癒魔法や複雑な魔法も扱える。ちなみに神の中には五つ全ての系統を使える有名神も居るわ」

「五つ全部?」

「けど数が多くても数字が低かったら意味がないのよ」

「確かに」


 ジャックは、学校での勉強は嫌いだったが、アマノの授業は楽しく受けれた。それも、あっという間に時間が過ぎるほど。


 昼食を済ませ、時間が13時を過ぎると『特訓』の時間が始まった。


「最初は基礎練習よ。それも体のみを使った体術の基礎。武器を使った特訓は後々していくわ」


 ジャックが最初に習わされたのは、攻撃手段ではなく攻撃の避け方だった。


「ん〜、例えば私が貴方に拳を入れようとする。ジャックはどう避ける?」

「体を少しずらす」


 すると、アマノが突然ジャックのお腹を殴った。


「がぁ!?な、何を……」

「避けきれてないわ」

「いきなり殴ったからだよ」

「次は私の拳を受け流すように捌いてみて」


 アマノは、再びジャックを殴る。

 ジャックは、言われた通り拳に合わせ腕を持ってく。


「そう、それが『そらす』と言う技術。これから睡眠と食事以外は私の拳をそれで避けてね」

「まさか24時間365日常に不意打ちされるってこと?」

「そうよ」

「……分かった」

「次は投げよ」


 この日、ジャックは他にも多くの技を学んだ。 そして、それらを実戦で活かせるように体を鍛えたり、技を体に染み込ませるよう何度も繰り返し特訓した。


 17時近くになった頃には、ジャックは死にかけていた。


「はぁはぁ……吐きそう」

「武器を使った特訓はもっと怪我をするし、もっと体力を使うから覚悟しといてね。今日はお終い、夕食にするよ」

「疲れた〜、バタリ」


 ジャックは、力尽きるように地面に倒れ込んだ。

 体も怪我をしてるし、酷く汚れている。


「早く来なさい。夕食出来たよ」

「はーい」


 ぐったりしながらも、夕食を済ませる。

 20時まであと20分、ジャックは目を閉じて体を休める。


 そして20時、眠っていたジャックをアマノが起こす。


「行くわよ」

「はい」


 * * *


 外に出ると森の中以上に暗くなっていた。


「森が明るいのはアマノの魔法?」

「そう。それよりジャック、今日の妖はかなり大きい。ほらあれ」


 アマノが指を指した方向には、5mくらいの巨体で太った人を連想させる妖が居た。


「ジャック、私達神は神器と言う武器を使う。神や妖は神器や魔法でしか倒せないの。貴方にも神器を渡してある……それを使ってあの妖を倒しなさい」

「神器?貰ってないけど」


 ジャックは、服の隅々を触りながら聞いた。武器らしい物は手元にはないのだから。


「皮の手袋から出るわ。その手袋はそういう神器。自分の意思で好きな時に出せる」


 ジャックは唾を飲み、神器が出る事を願った。すると、手袋からゆっくりと神器が出てくる。

 刃はジャックの体の半分、持ち手の場所もかなり長い。

 例えるなら、大きく長い彫刻のようなナイフだ。反りは黒いが、刃自体は薄いピンクだ。


「おお〜」

「神器の名は、『桃凛剣とうりんけん』」

「……行ってきます」


 木から飛び降り、妖に真っ直ぐと走る。妖もジャックに気付き、拳を繰り出す。

 だが、ジャックは刀を縦に構え、拳を受け流す。そして、そのまま妖の胸部を切り裂いた。


「とどめ」


 ジャックは、とどめとして妖の首をはねる。妖の頭は、地面に落ち、体も頭も黒いモヤになって消滅する。


「今日教えた『そらす』を刀で活かすなんて……やるじゃない。文句なしの合格」


 アマノは、ジャックの後ろ姿を見て少し嬉しそうに笑った。


 * * *


 ジャックがアマノと出会って一ヶ月経った。ガリガリだったジャックの体は、肌色が良く程よい筋肉が付いた。


「悪魔が居るって?」

「うん」


 ある日のこと、アマノは新聞を見ていてこの街の異変に気が付いた。


「この街の死亡率、他の街に比べて高すぎる。そしてこの新聞に載ってる死亡者リスト、調べた結果ある奇妙な共通点がある」

「死亡者の共通点?」

「死ぬ数日前、ある人は宝くじが当たり、ある人はハリウッド女優と結婚、ある人は不思議な力に目覚めてる」


 ジャックは、不思議そうな表情を浮かべた。一体何が言いたいんだ?と言いたそうな顔だ。


「つまり?」

「悪魔。それは魔界に住む種族で、かつては神や天使と敵対していた存在。教えたよね?」

「うん。黒い羽根の生えたあの悪魔」

「悪魔は人の願いを三つ叶える代わりに人の魂を奪えるの」

「つまり、そのリストに載ってる死亡者は悪魔に魂を売って死んだってこと?この街に悪魔が居るってこと?」


 理解した。だが、ジャックには疑問があった。


「質問いい?」

「どうぞ」

「一つ、悪魔は何を目的に魂を奪うのか?二つ目は一つ目の答えによって変わってくる」

「魂を喰らえば喰らう程強くなれるから、他に理由があるなら美味しいからかな」

「なるほど。じゃあ、なぜ他の悪魔は魂を喰らわない?悪魔ってのは力に興味ないのか?」

「今は人との契約は禁止されてるの。もし、契約したら悪魔の王に強制的に追放される。追放ってのは死ぬ事だと思っていいよ」


 ジャックは、パチパチと瞬きをし、アマノの目を見て目を細めた。


「矛盾してない?禁止されてるなら何でこの街の悪魔は人と契約して魂を喰らえてるの?」

「分からない。まだ悪魔と決まった訳でもないし」

「こういうの気になって止まない。ほんの少しむしゃくしゃする」

「そうね、私もそう思っていた。とゆうことで行きましょうか」

「行く?一体どこに行くの?」

「魔界」


 ジャックは唾を飲んだ。ジャックの魔界のイメージは、悪魔や死神が死者の魂を窯で料理してるイメージだ。だから、少し恐怖し、唾を飲んだ。


 *


 ジャックがアマノの手を取ると、不思議な空間が見えてきた。宇宙空間のような、時間が止まっているような神秘的な空間を移動している。


 数秒もすれば、不思議な空間が晴れるように消えて魔界に到着した。空や地が全体的に暗く、世界の色も闇のような黒や血のような赤や不気味な青などだ。


 そんな魔界の中でも、一番最初に目に入ったのは赤い月だった。まん丸い濃く赤い月が、今にも落ちてきそうな高さにある。


「怖いの?」


 ジャックは、無意識にアマノの手を離さず、強く握っていた。


「違う、いつ離していいか分からなかっただけだ」


 しかし、慌てて手を振り払う。


「そう。それよりあの街並みが見える?大きな門があるあの街並み」


 アマノが指を指した場所には街があった。恐らく、悪魔が住む街だろう。


「見える」

「あの街に悪魔の王が居るの。行くわよ」

「うん」


 街に着くと、二人の悪魔の門番がどっしりと構えていた。


「魔界に来るとは随分度胸のある神だが……一体何の用だ?」

「私の担当してる街で悪魔が人間と契約してるかも知れないの。王様に会わせてくれませんか?」

「今は無理だ。とっとと帰れ」


 一人の門番がアマノと話をする中、もう一人がおどおどとした様子でアマノを見始めた。


「長い白髪……貴方名前は?」

「アマノ、貴方が今頭に浮かべてる存在で合ってるわ」

「……お前、あのアマノ!……さっ、様だぞ」


 ジャックは、門番が慌ててるところを見て、


(アマノは偉い神なのかな?)


 と思った。


「え!魔女の子の!?あ、すっ、すみません。失礼な発言お許し下さい……ですが今は本当に入れないんです」

「そう、なら仕方ない。失礼した」


 そう言って、アマノがジャックを連れてその場を立ち去ろうとする。だが、すぐに門番が何か独り言を言った後に、アマノを引き止めた。


「お待ちを!今補佐官から許可が出ました。街に入れます」

「ジャック知ってた?私って運が良いの」

「今知ったよ」


 門を潜ると、街並みがジャックの瞳に映った。当然のように広がってる街並みは、ファンタジーの世界だった。下から上まで建物と言う建物があり、宙に浮いてる家や電線のような物もある。


 そんな中でも、すぐに目に入ったのは中央奥にある一番大きな建物だ。寺や城のような大きな建物だ。


「皆俺達を見てない?」

「多分私が神でジャックが人間だから」


 通り過ぎる者皆が二人を二度見し、ひそひそと話をしている。珍しい物を見るような視線が止まない。


 数分後、二人は一番大きな建物に到着した。

 門番は黙って扉を開け、当然のように建物内に入れてくれた。


「ここが悪魔の王が住む場所、魔境の屋敷よ」

「悪魔の王様、すなわち魔王はどこに居るの?」

「この建物の最上階、六階に居る」


 緊張と少しの恐怖を抱きながら、エレベーターに乗る。

 六階に着くと、エレベーターが止まって扉が開いた。

 目の前には、もう一つ寺のような大きな扉がある。


「先程のアマノです。入ってよろしいでしょうか?」

「どうぞ」


 扉の奥から低くて深い声がした。アマノは、ゆっくりと扉を開ける。


「これはこれはアマノ様、よくおいでになさった」


 扉の奥には、少し体が大きいよぼよぼでしわしわのお爺さんの容姿をした悪魔が居た。


(こいつが魔王?)

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