第93話.シャワー
空宮と途中で別れて家に帰ると、二階にある自室に直行しベッドにダイブする。
そして枕に顔を埋めると足をじたばたとさせた。
自分の事ながら、なかなか乙女な行動をしているのは気のせいだろうか。いや多分気のせいでもなんでもないのだろうけれど。
「あいつは本当に……」
つい先程の帰りの出来事を思い出してしまい、また頬が熱くなってしまった。
「あぁ、もうっ!冷たいシャワーでも浴びて頭冷やすかっ!」
部屋で一人そう叫ぶと結んでいたネクタイだけ外し、諸々の着替えを片手に持って脱衣所に向かった。
✲✲✲
風呂場に入ると早速シャワーのレバーを捻り、冷たい水を出す。
出したその水を頭から浴びたまましばらく動かなかった。
「あー、冷たい」
至極当たり前のことを口にしながら、思考することを一時的にだが止める。
今は何かを考えるとその何かを全部空宮と結びつけてしまいそうだ。まず、アイスのことなんて考えたら絶対だめ。そんな事考えたら俺もう恥ずかしくて死ねる。
「あー、寒い」
シャワーの温度を制御してるレバーを捻ると、シャワーの温度を上げた。ただシャワーの温度はすぐに上がるというわけではないので、じわじわと上がっていく温度を肌で感じながら俺は待った。
一分ほど経つとシャワーの水は完全にお湯にへと変化して温かくなる。俺はそれを確認すると一度シャワーを止めて、シャンプーをワンプッシュ分手に着けた。
シャンプーの着いた手を頭に持っていき、俺はワシャワシャと洗っていく。今日の部活で外に出て写真を撮っていた時にじんわりとかいた汗が、綺麗に流れていく感じがして心地いい。
泡まみれになった頭をシャワーで一気に流してしまうと次は顔を洗い、次に体を洗い始めた。
✲✲✲
風呂から上がると、部屋着を着てそのままリビングに直行した。そして、リビングに入るとあらかじめソファの上にポイッと投げるように置いておいたスマホを取る。
スマホのロック画面を開くと、緑色の吹き出しで有名なSNSアプリLINEを開いた。
開かれたトーク画面に書かれている相手の名前は凛。
猫の赤ちゃんが二匹団子のように丸まって寝ている写真がアイコンの凛とのトーク画面を確認すると、早速文を打ち込んで行った。
『結局出店の案はどうやって出していく方向にする?』
俺がそのメッセージを送ると10秒もしないうちに既読が付いた。
(既読つくの早。スマホをずっと触ってたのかな?)
そんな事を思いながら凛からの返信を待った。
既読自体はもう付いているので、返信自体は多分早いだろう。
そう思いながら画面を見ていると、ピロンとスマホが鳴る。見てみればやはり凛からの返信だった。
『そうだね〜、やっぱりみんなの意見を一番反映させてあげたいから、クラスのみんなに案を出してもらってそこから多数決でも取ろうか?』
『そうだな。まぁ、やっぱりそれが一番楽でかつ確実だろうな』
『だね』
凛はそうメッセージを送ってくると、何か猫のキャラクターが誇らしげな顔を浮かべているスタンプをポンッと送って来た。
(うむ、こういう時はどう返せばいいのかな?)
俺は少しだけ思案すると適当に持っているスタンプを送り返しておく。
送信を終えた後はスマホの電源を切ってソファに寝転んでしまった。
「眠い……」
俺はそのまま朝まで寝る勢いで爆睡を始めた。
第93話終わりましたね。これ書いてる時にYouTubeでファイナルファンタジーの実況動画見てたんですけど、あれ面白いですね〜。ただただクラウドイケメンって言うことがよくわかりました!
さてと次回は28日です。お楽しみに!
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