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第73話.楽しみの始まり

「さてと、用意はこれだけでいいかな?」


 水着やバスタオルなどが入る大きめのカバンを、ドサッと床に置いてそう言う。


「いーんじゃない?あ、レジャーシートとかは忘れないでね?休憩場所の確保に使いたいから」

「了解」


 (うつみ)にそう言われたのでアウトドア系の道具が置いてある収納ボックスを開き、レジャーシートを取り出す。


「これでいいか?」


 片手に取りだしたそれを持ち(うつみ)にそう聞く。すると、(うつみ)は作業の手を止めてこちらを見た。


「うん、それでいいよ」

「オッケー」


 手に持っているレジャーシートをカバンの隅に上手い具合に入れると、ファスナーをシュッと閉める。


(にしても昨日の夜(うつみ)が帰ってきた時は驚いたな。なんせ、水着を買いに行っただけかと思ってたら、すごい量の紙袋持ってるんだからさ。聞けば買い物が楽しくてついやってしまったことらしいけど、お金は大事にしようね?)


「刻兄What time is it?」


 昨日の夜の出来事を思い出していると、(うつみ)がそう聞いてくる。


「今は、えーと、ちょっと待ってて時計が本棚に隠れて見えん」


 そう言うと、本棚に隠れた時計が見える位置まで移動した。

 後で時計の位置変えないといけないな。急いでる時に見えないから。


「えーと、今は9時20分だな」

「なるほどなるほど。蒼姉との待ち合わせが9時半だから、もうそろそろ出る準備しといた方がいいかもね〜」

「だな」


 鍵やら財布やらと貴重品を持っている事を最後に確認すると、玄関の方に荷物を手に持ちながら向かった。

 スニーカーを履き、解かれた状態の靴紐をキュッと結ぶと俺は立ち上がる。


「あ、ちょっと刻兄早いって!」

「あ、悪い」


 (うつみ)はどうやらまだ靴をしっかり履けていなかったらしく、焦りながら俺に声を掛けてくる。


「よしっ!」

「靴ちゃんと履けたか?」

「多分ね〜」


 スニーカーのつま先をトントンと地面に当てて、しっかり履けていることを確認すると俺の方を向き直り、拳を高く突き上げる。


「よーし、じゃあ蒼姉の元へ行くぞー!」

「おー」


 俺も(うつみ)にノリを合わせて拳を突き上げておいた。



✲✲✲



 自分の家から五分ほど歩くと空宮宅が見えてくる。

 今日は朝からずっと太陽がさんさんと照っているため、肌がやけるように暑い。


「あぁ……めっちゃ暑い。真っ白もちもちの私の柔肌が、こんがり美味しく焼けちゃうよ」

「美味しくなるんだったらいいんじゃないのか?」

「いや、よくないよ!?私の柔肌が焼けちゃうのは刻兄的にも良くないんじゃないかなぁ?」

「いや、別に?」

「くっ……!ダメだったか……」


 自分の感想を素直に言っただけなのだが(うつみ)の反応は想像とちょっと違う。

 しかしだ、(うつみ)の中学時代はテニス部だったから、結構焼けてたわけであって気にすることでもないと思うのだ。受験シーズン以前の姿に戻るだけであって。


「はいはい、よく分からないことは置いといて、空宮の家着いたからインターホン押すぞー」


 (うつみ)にそう言うとインターホンをカチッと押す。ピーンポーンという聞き慣れた音が鳴り、その後すぐに空宮の声が聞こえた。


「はーい」

「空宮迎えに来たぞ」

「分かった、今出るね〜」


 空宮は間延びした返事を俺に返すと、インターホンの音声はプツッと切れる。そして、俺と(うつみ)は空宮が出てくるまでの間必死に日陰を探した。


「ち、ちょっと?(うつみ)ちゃん?なんで俺の背中に隠れるのかな?」


 (うつみ)は俺の背中を盾にして太陽の光から逃れようとしている。俺が(うつみ)に聞くと(うつみ)は悪びれる素振りも見せずに、ケロッとしながら答えた。


「だって暑いんだもん」

「えぇ……」


 そう言うことしかできずに、(うつみ)をひっぺ剥がすことは叶わなかった。

 そんな会話をしていると空宮宅の玄関の鍵がガチャりと音を立てて開く。


「少し遅めの、おはよー!」


 空宮の元気な声で俺達は多少はこの暑苦しさから解放される。


「あぁ、おはよう」

「さ、蒼姉行こっか!」


 (うつみ)は空宮の手を握ると歩き始めた。


第73話終わりましたね!今回はは簡潔に、バレンタインのチョコが欲しぃぃ!

さてと次回は16日です。お楽しみに!

もしよろしければブックマークと✩もお願いしますね!

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