第650話.レース
卒業祝いのための集まり。
その食事会が終わり私達は子供組と大人組で別れる。大人達は4人でまた改めてアルバムを見ているようだ。
「涼さんが不審者に襲われかけたあれは本当にヒヤヒヤしたなぁ」
「あー、あったねそんなことも」
「でも多分不審者からしたらその時の隼人の方がよっぽど怖かったろうなぁ。見たことないくらいブチ切れてたからなぁ」
「そりゃあ涼さんが危なかったんだから、仕方ないだろう。そういう篤人こそ綾香さんが校内のヤンチャ組に絡まれてた時はちゃんと怒ってたろ?」
「当たり前だろ。あんな奴ら何するか分かったもんじゃない」
そんな会話が両親の方から聞こえてくる。
うむ、母親組は綺麗過ぎて若い時苦労してたようだ。まぁ子連れ状態でもナンパされるような人だし、子供がいない若いときならむしろ当たり前なのかもしれない。
にしてもお父さんのブチ切れ案件はとても気になる話だ。普段から非常に温厚で特段怒られた記憶が無い。そりゃ多少のダメでしょ!みたいな小言を貰うことはあるが、けれどそれくらいなものなのだ。
私達は刻の部屋に移動して遊ぶことにする。
何やら現ちゃんが部屋を改造したらしく、モニターとゲーム機が設置されている。
「刻兄がいなくて暇だからね、新しく買っちゃった!」
ゲームソフトを両手に持ちながら現ちゃんは楽しそうに笑う。
「レースゲームか」
「そうそう、流行ってるからさ。私実況動画も沢山見てるからショートカットも知ってるんだよ〜!」
「えー、それずるじゃねぇの」
そんなゆるゆるの会話をしながら私達はベッドに腰かけてゲームを始めた。
某有名ゲームのキャラクターがレースをするこのゲーム。アイテムを使った戦略性や、各々のドライビングテクニックも必要とされるこのゲームは、ラフな感覚で楽しむ人にもガチ勢と呼ばれる人にとっても面白い作品となっている。面白い作品は総じてシンプルなゲーム性に奥深さを兼ね備えているのだ。
「わぁ!甲羅投げたの誰!」
「あ、俺だ」
「仕返ししてやるー!」
青い羽根の生えた甲羅を私は投げる。勢いよく飛んでいき先頭まで甲羅は進んだ。
「あれ、俺2位だからそれが当たるのって」
「私だよぉー!!うぎゃー!」
まさかの刻に代わって被弾してしまった現ちゃん。あの甲羅の勢いが強すぎたせいか、みるみるうちに順位が下がっていく。
「あぁ、最下位だぁ」
「ご、ごめんね」
「ううん。元はと言えば蒼姉に甲羅を当てた刻兄が悪い。だからロケット砲弾で吹き飛ばすよ」
「なんか怖いセリフが……」
ワイワイと騒ぎつつ私達はこうしてゲームを続けるのだった。今日は泊まらないから早めに切りあげることにはなるけど、でもこうやって遊ぶのも楽しいものだ。
第650話終わりましたね。作者はモンスターハンターが好きな人なですが、最近は久しく触っていなかったハンマーを使い始めました。アイスボーンの美麗なグラフィックに躍動感溢れるアクションはやはり映えますね。超楽しいです!
さてと次回は、8日です。お楽しみに!
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