第628話.ユウという存在
昼休みの食堂はとても混みがちだ。
3年生の半数が受験中ということもあって平常時に比べると空いてはいるのだが、それでもやはり混むものは混む。
私達は早々に端にある4人分の席を見つけるとそこを陣取るのだった。ちゃんとハンカチを置いて場所取りはしておこう。
食券を買いに列に並びどれにしようかなと悩む。
日替わりのA定食、B定食なんてものもあるが……うむ、悩みどころだ。唐揚げ丼やラーメンにそばなどメジャーどころも十分美味しいのでできることなら全部食べたい。けどそんな事をしたらお財布と体重にダメージが入りすぎてしまうのだ。
自分が買う番になるまでむむむとギリギリまで悩みいざ自分の番となる。
ふむ、こうなったらお金だけ入れて目をつぶって適当に押そう。私嫌いなものないし!全部美味しいから大丈夫!
そう決めるとどの価格が来てもいいようにお札を入れて目をつぶる。そしてくるくると指を回してからビッと券売機のボタンを押すのだった。
目を開けて余ったお釣りを回収し出てきていた食券を確認する。
なるほど、カレーうどんか。悪くない!
麺類の中でもトップレベルの人気を誇るうどんと、全人類が愛してやまないカレーの超融合。それこそがカレーうどんだ。嫌いな人なんて誰一人いない。そんな最高で完璧なメニュー。最後にこれを引き当てれたのも何かの縁だろう。
私はお箸とトレーを持って列に並び食堂のおばちゃんに食券を渡す。あとは呼ばれるまで待つだけだ。
✲✲✲
席に戻って足をプラプラと暇潰させながら3人が帰ってくるのを待つ。どうやら刻は人気どころのラーメンを選んだらしく、今現在人混みに飲まれているようだ。あれはしばらく戻ってきそうにない。そして凛はご飯の他に人気のスイーツも買おうと女の子集団に1人果敢に飛び込んで行った。現状無事が私から確認できるのはA定食を選んだユウだけだ。
ユウの周りはいつもは気にしていなかったが、こうしてみると少し人が離れて立つように見える。というか実際距離があるのだろう。私達はユウととても密接に関わってきたので気が付きにくいが、ユウというのはそもそもとても関われないような、そんな上のような存在だったのだ。それが何の因果かこうして関わるようになっただけで、他の人からすれば変わらずユウというのは遠くから見る存在なのだろう。
いや、しかしもったいないと思う。あんなキメ細やかでつるんと整った真っ白のお肌に、すっと通った鼻筋。自然と上を向くまつ毛に切れ長気味の大きな瞳。それを私達のように間近で見れないだなんて。損してる。
男子からしたらどうやって近づけばいいんだよ案件かもしれないが、女の子にはそのチャンスがある。けれどそうする女の子が少ないのも、やはり性別関係なく手の届かない場所の存在という認識なのだろうという感覚なのだ。
第628話終わりましたね。今日というかここ数日は全国的に雨模様な気がしますね。競馬に関しては雨が降るとそれもまたレース結果に関わりますからとても注意しています。
さてと次回は、24日です。お楽しみに!
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