第622話.香るクロワッサンの匂い
家に帰る道中に手に持つ紙袋からいい香りが漂ってきて思わずお腹を鳴らす。周りを1人でササッと見渡して誰にも聞かれていないことを確かめると息をほっと吐く。
誰かに聞かれていたらとっても恥ずかしい。
紙袋に手を伸ばして比較的小さめのパンを手に取った。香るクロワッサンのバターの香り。
そうこれだ、これなのだ。僕のお腹を鳴らした張本人は。
サクサクとした食感を楽しみつつ僕は帰路を1人歩くのだ。
夕方のこの時間。普段学校がある日ならこの時間帯からバイトに入ったりするのが一般的なのだろう。けれど、今の僕は学校が自由登校で暇なのだ。時間の空いたお昼からガンガンと働きに出れる。バイト先的にも平日のお昼に人手が増えてくれたのは単純に助かったらしく、こうして余ったパンを貰えるしで、非常にメリット高いわけだ。
家に帰ってからはママのお手伝いをしながら色々と自由な時間を過ごしている。最近は大学に向けてノートパソコンを買った。スマホとの関係も考えてMacBookにしておいたのだ。エアドロップが使えるのは本当にありがたい。
それと、僕は最近YouTubeでゲーム実況を見るのにハマっている。気がついたら自分もゲームがしたくなっていたので元々貯めていた貯金と入ってき始めたバイト代を合わせて据え置きのゲーミングPCも購入したのだ。まだコンピューターの性能が抜群に高いというわけではないので、引き続きバイトを頑張って性能アップさせていくつもりだ。
にしても最近はバイト先で貰ったパンを食べすぎて少しお腹周りにお肉が付いてきている気がする。
いや、付いたのだ。気がするのではない、確定だ。
体重計に乗った時も軽く過去最高記録を叩き出してるし、服を着た時は隠されるから分からないけど、下着姿で鏡をふと見た時に明らかに余計な贅肉くんがいるのが見えてしまっている。
ふーむ……これが俗に言うムチムチかぁ。
なんて一部の男の子に刺さりそうなワードでまとめては見るものの、女の子の僕としてはもう少し落としてもいいかなと思う。
いや、落とさないとこのままのペースで行けばさすがに後々しんどい。せめて運動して現状維持で耐えないと。
私は1人貯金以外の目標も強制的に立てつつ1人自室でアニメを見始めるのだった。
運動は明日から明日から。
そうやってダイエットに失敗してる人は沢山いるけど、僕はきっと大丈夫だ。
うん、大丈夫。
第622話終わりましたね。クロワッサンってどうしてあんなにいい香りがするんだろうと思いませんか?作者のバイト先の施設にはパン屋さんも入っているのですが、そこからいい香りがしてお腹が空くんですよねぇ。
さてと次回は、12日です。お楽しみに!
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