第540話.久しぶりの部活
寒さが本格化し始める11月。街中では少し早めのクリスマスに向けた準備がチラホラと見られ始め、CMでもクリスマスフェアなるものを謳った宣伝文句で売上アップを狙う企業も現れ始める。
クリスマスに向けて街が染まり始める中、人々は寒さに凍えるように小さくなりながら、羽織っているコートやマフラーに身を包んでいた。
さて、この季節は高校3年生にとってかなり重要な時期である。共通テストの約2ヶ月前という焦らずにはいられない季節であり、また推薦や総合型といった受験方法を取った生徒達はちらほらと受かり始める時期でもある。つまるところ余裕のある生徒と、全くない生徒が現れ始めるわけだ。教室の中をパッと見ただけでもそれは顕著で、俺や蒼、凛に華山といった面々は既に受験が終了しているためほのぼのと会話を楽しめているのだが、その他のクラスメイトは休み時間になってもずっと机に向き合って勉強し続けている。
こちらも迷惑をかけるわけにはいかないので、気を遣いながら日常を過ごすのだが、にしても時々感じる圧は少し怖いものがある。
噂程度にしか聞かないが、この時期のせいでクラス仲が悪くなることもしばしばあるそうだ。そうなったらひとたまりもないので、是非ともそうはならないで欲しいと思う。
「今日は部活に顔出そっか」
「だね。久しぶりに江草ちゃん達にも会いたいし」
「何か差し入れる?」
「んー、そうしよっか。購買でワッフルでも買って行ってあげよ」
なんて他愛もない会話しながら今日部活に顔を出すことが決定する。とはいえ、俺は今日バイトがあるので途中で抜けさせてもらうのだが。
✲✲✲
「あー!先輩達、いらっしゃいませー!」
元気よくそう言うのは俺達の後輩、江草早苗だ。茶色の毛先が少しウェーブがかった髪の毛を揺らして立ち上がる。後ろには小笠原と君嶋が座っていて、こちらの視線に気がつくとぺこりと会釈をしてくれた。
うむ、3人の仲は良好らしいのでこの部活の今後も安心して任せられる。
ほんの少しだけ会話をして差し入れのワッフルを渡すと、俺は蒼達を残して一足先に部室を出る。
交流棟の階段をのそのそと下りながらスマホで時間を確認する。バイトの開始時間まであと1時間。歩いてバ先までは大体30分もあれば辿り着くのでそこまで焦って行く必要はない。のんびりまったり気分でいきながら外に出た。さすがに夕方になってくると朝方よりも寒くなってくる。バイトから帰ってくる時はおそらくもっと冷え込むのだろうな、なんて考えも容易に出てきて、だからこそ昨年買っておいたチェスターコートがここでも役に立ってくれて本当に良かったと思う。
第540話終わりましたね。PhotoClubの面々は既に受験を終えたそうです。なのでフリータイムが多く、これからまた話に出てきますね。上木と凛の話も進むかも。
さてと次回は、1日です。お楽しみに!
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