第530話.文化祭のお終い
時が過ぎるのは早い。
楽しい時間なら尚のこと。
校内では忙しなく生徒が駆け回り、文化祭に使用した道具類などを撤去している。
廊下から見えるグラウンドに残されたステージ。あれも明日野球部やサッカー部の男の子達によって撤去されるそうだ。作成に関わった刻達はお役御免らしい。
私はというと、担当の持ち場の仕事もすっかり片付いて今はぷらぷらとほっつき歩くくらいしかすることがないのだ。
暇なのかと尋ねられれば、暇だと答えるのが正しいだろう。
この片付けの後、生徒は体育館に集合し、そこで今年の文化祭の売上ランキングが発表される。昨年と同様に1位を取れるのが一番いいが、今年はどうなることやら。
その後は後夜祭だ。すっかり暗くなったグラウンドで自由に過ごしたり、体育館では文化祭中にシフト等で見れなかった人のためのバンドの演奏があったりする。とは言ってもだ、大半の認識では後夜祭は文化祭中に仲の深まった男女がさらに進展する期間程度にしか捉えられていない。つまり、純粋に後夜祭を楽しもうとする輩なんてそうそういないのだ。
さて、そんな中私はどうなのかという話だろう。
私の場合は仲が深まるどころか、既に付き合っている訳だが、それでも後夜祭の特別感というのは楽しんでみたいものなのだ。去年はそもそも付き合っていなかった上に、刻が早々に後夜祭を蹴って帰ったので私は女の子の友達と過ごす他なかった。ゆえに刻と過ごす後夜祭というのは初だったりする。だから、付き合っていても十分に楽しめる自信が私にはある。
随分と薄暗くなった空を窓越しに見ながら、対象的に電灯で明るい校内を見る。
「文化祭もおしまいかー」
高校生最後の文化祭が終わったのだ。この先、大学での学祭はあるかもしれないが、けれどそれはクラスのみんなと協力!といったものでは無い。ほとんどが有志によるもの。だから少し毛色が違う。
つまり、みんなが想像する青春溢れる文化祭は今日を最後に、経験する事が完全に無くなったというわけだ。
やはり寂しさというものはある。ずっとこの若さでこうやって生きて行けたらどれだけ楽しいだろうかと思うことだってある。けれど、これが確実に大人になるということなのだ。時間は待ってはくれない。私が引き止めようとしたってお構い無しに私ごと先に進んでいく。
「ん、やっと来た」
けど、待ってくれる"時"もある。
いや、"とき"違いか。
「さ、刻行こっか」
第530話終わりましたね。文化祭が終わる時は非常に寂しい記憶があります。作者は1年、2年と文化祭を経験出来ず3年生になって初めて文化祭を行えた世代です。最初で最後、本当はもっと楽しみたかったけれど、切なく終わるのはやっぱり悲しい。そんなことを覚えてます。
さてと次回は、12日です。お楽しみに!
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