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第525話.文化祭の同人誌

 唐揚げを食べ終えてからグラウンドに出ているお店を色々とみて回る。

 文化祭には各クラスの出し物の他に部活の出し物というのもある。主に文化部がここでは活躍するのだが、今年は美術部と文芸部が合同で出した漫画がかなりの人気を博しているらしい。聞くところによると、印刷会社にてちゃんとした製本をしているので、クオリティが趣味のそれを超えているらしいのだ。初日から結構な部数を売り上げていたそうだが、2日目の今日もその勢いは留まるところを知らない。

 少し覗く程度に私達も専用ブースに寄ってみる。購入ブースの隣には試し読みのコーナーがあって、実際に買う前にそこで読むことも可能なようだ。こういったコーナーがあるお陰で安定かつ爆発的な売り上げを出しているのだろう。何せ確実に自分が面白い、気になると思ったものしか買わないからだ。そうする事で購入者の口コミで他の生徒にもどの作品がおすすめなのかという情報も広まりやすいしで、客足増加に帰結するわけだ。

 何作かあるうちの数作に目星をつけると、私はまず一つ目を手に取った。表紙と題名から察するにおそらくラブコメだろうか。随分と可愛らしい表紙で、これだけでも十分満足できる。しかし、中身を読んでこその漫画だ。読まずして何になろう。

 私は心してかかろうという気持ちのもと、いざ表示を捲り目次を超えて本編に入った。

 最初に視界に入ったシーンは返り血を浴びた女の子が絶望した眼差しで何かを見つめるシーン。

 一旦私は漫画を開く手を閉じることにした。

 ……ラブコメだと思ってたんだけどなぁ。何かとんでもないシーンから始まったけど?見間違いかな。

 そう思い込ませることにして私はもう一度開くことにする。

 あぁ……見間違いじゃないや。返り血浴びてるよ。

 何がどうなってこうなったのかはわからない。これはつまりあれだ。読めということだ。

 気になって私はまた次のページを捲る。最初のコマには返り血を浴びた女の子のものと思しきセリフが、真っ黒な背景に寂しく浮いていた。


『もう一回……なの?』


 どういうことなのだろうか。この言葉の背景を知るための情報が全く記載されていない。

 たまらず私は次のコマにも目を向ける。

 血の雫が滴り続けて地面に大小の血溜まりを作っているシーン。その血溜まりに朧気に反射して映る女の子。血溜まりを踏んで靴の裏に血が付くのも気にせず、女の子はひたすら歩き続ける。

 赤い足跡。女の子が作ったと思われるその足跡を追うような描写がある。どこにまで続くのかと思われた足跡は人気の無い路地裏にまで続いていた。

 薄暗い路地裏。壁には落書きなどがしてあり、お世辞にも治安が良さそうとは思えない。


『……リンネ』


 少し進んだ先にへたり込むようにして座る女の子がそう呟く。

 言葉の正確な意味は分からない。けれど、次のシーンでは女の子を中心として強い光が周りに広がる様な演出がなされた。まるで爆弾が爆発する時にするようなそんな演出の仕方。

 次のコマでは可愛らしい部屋の一角にある目覚まし時計を映し出すところから始まる。

 部屋の主と思しき人物の手が目覚まし時計の上をゆっくりと押す。表示されている時間は6時59分。その下には小さく7:00とも表示されているので、おそらく目覚ましがなるより少し前に起きたのだろう。そして映し出された人物は、先程の女の子だ。違うのは返り血を浴びていない点。同じ点はどこか絶望の残った仄暗い瞳だ。

 この女の子がなぜこうなって、最初のシーンは一体どういう意味なのか。その理由を知りたいと思って私はもう一度ページを捲る。が、そこにあったのは続きは購入してくださいね!の無慈悲な文字。

 なるほど、これは買うしかないよね。

 そう思いながら、他作品を読んでいる刻の隣で財布を開けて陳列されている私の読んでいたのと同じ作品を買うことにした。本の薄さに対して値段は500円とお世辞にも安いとは言えないが、それでも冒頭だけであれだけの興味をそそるような作品だ。満足させてくれるだろう。そう思って私は製本版を手に入れることとなったのだった。


第525話終わりましたね。作中にでてきた蒼の読んでいた作品ですが、作者の脳内では俗に言うループものを想定して書いています。ただあくまでループものという事しか考えていないので、続きが気になる人はお好きなように脳内で完成させちゃってくださいまし。

さてと次回は、2日です。お楽しみに!

それと「面白い!」「続きが気になる!」という方はぜひブックマークと下の☆からポイントの方をお願いしますね!

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