第488話.いつも通りの生活
推薦枠を争った自分アピールの戦い。
私と同じ大学の推薦枠を狙っている子が噂に聞くと私を含めて4名ほどいるらしく、実際に与えられた枠数は3だ。つまり必ず1人枠から外れてしまうということ。非情な現実だが、それがこの推薦枠争いというものなので、私は致し方がないと割り切る。
もちろん私がその1人になってしまう可能性だってある。けれど、そうなった時でも私は絶対に諦めない。一般受験でしっかりと合格は掴み取る覚悟だ。
もし私以外の子が外れた時は気の毒だとは思うけれど、あくまで思うだけ。私は純粋に喜ばせてもらう。性格が悪い女の子、そう思われても仕方がないが、それとこれに性格云々は関係ない。非情なルールの上で戦うのなら、闘争者も非情でなくてはならないのだ。
「ふぅ……結果は明後日か」
スマホのカレンダーを見ながら私は胸を手でさする。
変な緊張感がここ数日抜けなくて困っている。体に妙に力が入るというか、どことなく全ての挙動がぎこちなくなるというか。刻にも心配されるし、凛やユウも心配そうに私の事を見てるし。みんなも受験なのに私のせいで集中を欠かせたらいけないから何とか元に戻そうとするけれど、でもそう上手くもいかない。
「なぁ、今日は一旦勉強お休みして早く寝た方がいいんじゃないか?」
「でも……勉強しないと私頭がいいわけじゃないから、選考から落ちた時大変……」
「その時は俺も手伝うから。それに蒼なら難なく枠取れると思うぞ?そもそもの第一印象含めて、蒼は教師達からかなりいい子って共通認識があると思うからな」
「そうかな」
「うん。実際蒼はいい子だしな。わざわざ落とす必要も無いし、普段通り生活して、普段通り笑ってればいけると思うぞ」
刻のそういった励ましはとても優しい。
これで幾分か心が楽になる。私はにへっと笑いながら刻の胸を借りた。
「普段通りの生活するから、胸貸してね」
「ん、どーぞ」
私の頭を撫でながら刻は優しくそう答えてくれる。
ぐりぐりと額を胸板に押付けて、刻の匂いをふんだんに吸い込む。あー、とっても幸せ。刻の背中に手を回してギューッと抱きしめるともう一回匂いを吸った。
第488話終わりましたね。受験はしんどいですけど、頑張るしかないのがこれまた辛さを増す要因になってますよねぇ。作者も受験は嫌でした。はい。今年受験生の方は頑張ってくださいね。
さてと次回は、21日です。お楽しみに!
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