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第40話.姉妹逆転

まず初めに申し訳ございません。0時ぴったり投稿が出来ませんでした。理由は色々ありますので、予想していただければと・・・

今回もこの話をお楽しみください!

 朝食を食べ始めてだいぶ経った頃に、やっと先生が俺達の座っている席に来た。


「いやー、ごめんごめん。朝ごはんどれにしようか選んでたらめちゃくちゃ時間経ってたよ」


 先生は笑いながらそう言う。


「お姉ちゃん。みんなほとんど食べ終わりましたよ?」

「え、本当だ」


 華山からなかなか普段は聞かない冷めきった声のトーンで先生にそう言う。すると、先生は俺達の皿を見たあとに少ししょんぼりしていた。


「みんなと一緒におしゃべりしながら食べたかったな……」


(なるほど。普段は聞けない生徒の声を聞こうということか)


 とまぁ、別にそんな大それたことでもないのだろうけど。


「そんな事を今更言っても、終わったものは終わりですから、諦めて下さい」


 華山が少し本当に少ーしだけキツめにそう言うと、先生が少しだけ目を潤ませた。


「有理ちゃんのいけず」

「いけずじゃありません」


(なんか姉と妹の立場逆転してない?気のせいか?)


 そんなふうに思いながら華山姉妹の様子を見ていると、急に先生がこちらを向いた。


「え、何ですか」

「鏡坂くんは残って私のおしゃべりの相手になってくれるよね?」


 先生は下から俺を見上げるように上目遣い気味で目をうるうるさせてこちらを見てくる。


(その目は教師が生徒にしていいものじゃないっ!色んなところに怒られそうだから!というか気を抜けば惚れてまうやつ!禁断の恋が始まる予感!……それは無いな)


「えーと、俺的には遠慮したいと言うかなんと言うか……」


 口篭りながらそう言うと、華山が救いの手を差し伸べてくれた。


「鏡坂くんお姉ちゃんの相手は私がしておくので、もし部屋に戻りたかったら戻ってもいいですよ?」

「あぁ、すまん助かる」

「えー、私鏡坂くんとおしゃべりしーたーい」


 先生が子供のようにそう言うと、華山の方から冷ややかなオーラが溢れ出てきているのを感じた。


「お姉ちゃん?お静かに」

「はい……。ごめんなさい」


 華山のその一言で先程までとはうって変わって、物凄く先生は大人しくなる。

 普段の物静かな雰囲気の華山と全然違うためか、とても怖い……。


「あははっ、ユウも怒る時は怒るんだね」


 突然、空宮が笑いながらそう言った。


「当然ですよ。普段はあまり怒らないですけど、私も怒りますよ?主にお姉ちゃんに」

「えー、有理ちゃん私以外には怒らないのー?」

「そうですよ。お姉ちゃん以外の人に怒る理由がないので」


 華山がそう言うと露骨に先生は傷付いた様子を見せる。

 うむ、どちらの味方につけばいいのか分からない今日この頃。


「まぁまぁ、僕が先生の相手をするからみんなは戻っててもいいよ?」


 突然凛が空気を変えるべくそう言う。


「凛さんいい子っ!」

「えへへ、ありがとうございます」


 どうやら凛的には先生の相手をするのは満更でもないらしい。なんなら少し喜んでいるようにも見える。まぁ、無理に相手をするよりかはいいだろう。


「すみません、凛さん。姉の事をお願い出来ますか?」


 華山はまるで手のかかる子供を預ける母親のような物腰でそう凛に聞く。


「任せといて!」


 凛は大きく胸をそらすとそう言った。



✲✲✲



 先生の事を凛に任せて朝食の会場を出る。出たあとすぐの所にある階段を昇って、エントランスに出ると3人して全員ソファーに直行した。


「はぁぁ……朝からなんか疲れた」


 俺はどっと疲れてソファーに潜り込むように座る。


「お姉ちゃんがすみません」

「いや、いいよ。見てて面白かったし」


 華山が俺に申し訳なさそうに頭を下げると、隣から空宮が少し笑いながらそう言った。


(空宮さん?見てる側よりもやられてる側意外ときついのよ?)


 そう心の中で空宮に悪態をついていると華山が喋り始めた。


「それでも本当にごめんなさい。お姉ちゃん普段はもっと大人しいんですけど、この3日間久しぶりに羽を伸ばせて気分が高揚してるみたいです」

「まぁ、そういうことならいいんじゃないか?普段は忙しくて羽を伸ばす時間もろくにないんだろ。なら最終日の今日くらいは好きにさせてやってもいいんじゃないか?」


 そう言うと少しの間華山は考える仕草を見せた。もちろんものの数秒でまた喋り始める。


「ですけど、皆さんに迷惑がかかるかもしれませんし」


 華山がそう言うとすぐに空宮が応える。


「いーよそれくらい。普段は私達がお世話になってるわけだし」

「そう……ですか?」

「うん!そうだよ!」


 空宮の返事を聞いた後華山はまた考え始めた。


「でしたらお言葉に甘えて、今日一日姉の事をお願いします」

「了解」

「うん、任せといて!」


 そう返事をすると華山は顔を綻ばせて笑顔になる。それはもうとんでもなく可愛い笑顔で。



✲✲✲



「あ、おねえちゃんのうんめいのひとだ!」


 3人でしばらくの間談笑していると、後ろから随分と幼い声でそう言われた。


「へ?運命の人?」


 空宮はそう言って固まり、華山も華山で思考停止していた。まぁ、かくいう俺も、一瞬なんの事だったか忘れていた訳だが。


「こ、こら!迷惑かけちゃダメって言ったでしょ?」


 声の主は幼い声の主のさらに後ろから聞こえる。俺が振り向いて確認するとそこにいたのは、つい先程エレベーターの中で出会った姉妹だ。


「すみません、うちの妹がまたご迷惑を」

「いや別に大丈夫です」

「すみません。ほら、部屋に戻るよ?」

「はーい」


 姉妹はそう言うとすぐに俺達の元から去る。そして姉妹が去ってから少したった頃に、華山と空宮が復活した。


「ねぇ刻さっきのあれはどういう事?」

「さっきのあれって?」

「運命だかなんだかの話」


 食い気味に俺に問うてきた。華山も空宮の隣で興味津々な目でこちらを見ている。


「いや、今日の朝エレベーターの中であの姉妹とあって、今と似たような感じのやり取りがあっただけだよ」


 そう簡潔に返すと空宮と華山は何だそんな事かとでも言わんばかりの態度になった。


(あれ?聞いてきたの君たちだよね?興味失わないでくれるかな。悲しくなるから)


 あの姉妹のくだりがあってから10分ほどだった頃に凛たちが戻って来た。いよいよ神戸に帰る時が来たのだ。

 待ってろよ、我がワイハウス。


第40話終わりましたね。学校の先生って多分大変ですよね。いつもお疲れ様です。

さてと、次回は12日です。次回は間に合わせます。お楽しみに!

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