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第34話.夜の恋バナ後半戦

今回は途中空宮目線の部分が入りまーす。

「ねぇ刻くん」


 隣の凛が俺の肩をつつきながら俺を呼んだ。


「何だ?」

「刻くんは好きな人いるの?」


 凛はそう聞いてくる。

 どうやら凛は先程手を叩いた意味を、よく理解していなかったようだ。誰が好きな人がいるのかを分からなくするための対策だったのにな。


「教えん」


 俺はそう簡潔に答えた。


(きっとこう返しておくのが正解だろう。じゃないと本当に対策の意味無くなるしな)


 そう思いながらスマホの明かりを眺めていると、凛がまた口を開いた。


「またまた〜、本当にいないの?」


 凛は俺にそう聞く。


「いないし、いたとしても絶対に言わん」

「えー、教えてくれてもいいじゃない」


 言わないと言っても中々凛は折れてくれないようだ。


(いないものはいないんだけどなぁ。どないしましょ)


 困った挙句に一つの解決策を思いついた。


「じゃあ逆に聞くがな?凛は好きな奴いるのか?」


 余裕の態度で凛の答えをゆっくりと待つ体制に入る。凛とてさすがにすぐには答えられまい。


「いるよ」


 油断し過ぎていたせいで、今何やらとても重要な事を聞き逃した気がする。


「え、今何て言った?」


 凛にそう聞くと、返事はすぐに帰ってきた。


「いるよ」


 簡潔にそう一言だけ凛は言葉を発した。

「いるよ」と、そう言ったのか凛のやつ。


「まじ?」

「まじだよ」


 驚きのあまり思わず声を出すことが出来なくなってしまっている。その様子を見かねたのか、凛がまた俺の肩をつついてきた。


「刻くん固まってるけど大丈夫?」


 はっとすると、俺はすぐに返事を返した。


「あ、あぁ。すまん大丈夫だ」

「そう?ならいいんだけど」


 凛はふふっと笑うとまた喋り始める。


「ほら、刻くん僕は言ったよ?だから次は刻くんの番だよ」

「まじかぁ」

「まじだよ」


 凛の声はお巫山戯(おふざけ)のようなトーンで、でもどこかに真剣さを感じるものだった。


「はぁ、特に言うつもりはなかったんだがな」

「それでもだよ」

「そうだな……分かった」


 心を決めて口を開いた。


「今の俺には本当に好きな人がいない」


 しばらくの間2人の間を流れる無の時間。その時間はしばしの間俺達に会話という事を忘れさせた。

 しかし、このままではいけない。俺は凛の話しかける。


「おい、凛大丈夫か?」

「あ、うん大丈夫だよ」


 凛は大丈夫だと言いつつも少しぼーっとしているようだ。

 本当に大丈夫か?


「そっかぁー。刻くんは好きな人いないんだね」

「まぁ、いないって言ってもあくまで今の話であって未来はどうなるかは分からん。もしかしたらベタ惚れしてる相手がいるかもしれんし」

「刻くんに限ってそれは無いんじゃない?」

「確かに」


 俺達はお互いに笑うと、急に睡魔に襲われた。

 おかしいな、今日結構寝たはずなんだけど。



✲✲✲



 私達は刻が寝た後に女子達だけの会話に入る。スマホの電源も完全に落とし暗闇の中で女子達の恋バナが始まった。

 刻のいる方からは微かに寝息が聞こえくる。皆は刻を起こさないように静かに喋り始めた。


「まずは私と凛が好きな人がいて、ユウが好きなのか分からないけど気になる人がいるってことで間違いないね?」


 そう聞くと凛とユウが返事をしてくれた。


「そうだよ」

「間違いないです」


 2人の返事の声の中には少しの緊張と好奇心が含まれていた。

 それもそうだよね。好きな人の話なんだから。


「じゃあまずはその人の何が好きなのか、凛教えてくれるかな?」

「僕からか〜。ま、いいけどねっ」


 そう言うと喋り始める。


「その人はねとにかく優しいんだよ。それも意識的なものじゃなくて、無自覚でする優しさ。僕はそこに惹かれて、気付いたら恋に落ちちゃってたね」

「おぉ……」


 凛もしっかりした理由があって好きになった人がいるんだね。ユウもどうやら心に響いたらしく、布団の中に潜ってはわはわしている。もう可愛いくらいに。

 いや、ユウは元から可愛いんだけど。


「じゃあ次は私ですね」

「そうだね」


 ユウは布団の中から顔だけ出してそう言った。


「私の気になっている人の話ですが、その人は私のために色々してくれたりしてるんです。それでいて、私が唯一初対面で緊張せずに喋れることのできた人なんです」

「へー、あのユウが初対面で緊張しないって、相当な事だよ!」

「そんなに凄いの?」

「もちろん!」


 私がそう言うとユウもコクコクと凄い速さで頷いている。


「じゃあ次は私の番だね」


 私はそう言うと深く深呼吸をした。


「私の好きな人は昔っから私の事を見てくれていた。それでいつも近くにいてくれた。だから私はその人の事が好きなの」


 私はそう言うと自身の顔に熱がこもるのが分かった。凛もなんとなくそれを察したのか、それについて聞いてくる。


「あれ?もしかして蒼ちゃん恥ずかしくなっちゃった?」

「ち、違うもん!」


 私はそう言ってから右手で小さく握りこぶしを作り、軽く凛に当てる。


「あははっ、ごめんって」


 私達は寝ている刻の隣で静かに笑い合いながら話を続けた。

 朝まで時間はまだまだある。楽しまなくっちゃ!


第34話終わりましたね。最近は夜更かしのし過ぎで眠いです。皆さん寝てますか?

さてと、次回は30日です。お楽しみに!

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